阿井渉介のレビュー一覧
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たぶん知らない人が多いと思います、この作品も、そして作者も。
しかし、この本はいい。理屈抜きにいい。
冒頭が最もいい。
極寒の北海道。その新雪の原野に、二条の車輪の蹟が続く。
そして、その先の大木に、列車が一台引っかかっているのである。
雪原を走り疲れて、眠っているかのように。
この美しさは、北国に生まれ育ったものにしか分からない。
作者の阿井氏は北京生まれということだから、たぶん真冬の厳しさと美しさを
知り尽くしているのだろう。
推理小説(それもこれほどの超越した「あり得ない状況」を設定した物語)の書評に
顛末をあらすじで書くような野暮はしない。
ただ、読んでみてほしいと、願うばか -
Posted by ブクログ
ウルトラマンタロウほか7人の刑事などのテレビドラマの脚本を手がけ、推理小説など多数執筆。
気ままに作家活動をして70を過ぎて自宅に戻った作者。
そこには視線が定かでない寝たきりにも等しい母親が。
兄弟には頼らぬと決めた母の介護。
何もわからないところから、始めるが。。。
脳梗塞に見舞われ入院、リハビリ病院へ。
病院、医師といえどもいろんな違いがある。
理不尽な対応をされたり、医師とも思えぬようなヤクザのようないし。その医師は睡眠薬で何人もの人を強姦氏事件になった。
100歳を過ぎるようになると、だんだんとはっきりしたる時と、朦朧とした時のサイクルができるように。
自宅で、近所の人や様 -
Posted by ブクログ
身長数十メートルの怪獣ゴジラに襲われたという青年。少女誘拐。バラバラに切断された彼女の遺体写真。しかし誘拐と思われた少女は無事に戻る。…も、銀河鉄道に乗ったり、恐竜時代の地球に行ったと言う。
さらに北海道では、ミステリアス銀河列車が60人の乗客とともに消える。車掌だけ保護されるも、宇宙を旅して月面や火星に行ったと証言。しかも、黒こげの死体ひとつを乗せた客車3両と蒸気機関車は、空を100キロメートル以上飛び、原野のただ中、天へ昇りゆく途中とでもいえる格好で、樹高20数メートルの巨木の上に、まるで船が座礁でもしたかのように、引っかかって発見される。
それから、妖怪ぬりかべやカラスてんぐの目撃情報。 -
Posted by ブクログ
推理小説家の著者が海に憧れ乗り込んだのが、東京大学海洋研究所調査船・白鳳丸。ニホンウナギの産卵場所を探しての探索行。
ひたすら海に憧れ「マグロ船にでも乗り込めないか」と思案していた著者が、どういうはずみかニホンウナギの産卵場所の調査隊に参加してしまう。最初は「とにかく海に出たい」というだけの気持ちだったのが、どんどんウナギにのめり込んでいってしまうのが面白い。
『ドクトルまんぼう航海記』に憧れていたと本人が書くだけあって、文体的にも雰囲気的にもちょっとそれを感じさせる。やや古風な表現もあって、そのへんはすきずきかもしれない。
ただの航海記ではなく、「冒険」を求める少年のような熱情が非