清水一浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
哲学初心者ですが、世界で爆発的に売れたということで手に取りました。難しい個所も多くすべてを理解したわけではありませんが、本書の核となる「新しい実在論」の骨子は理解できました。これについてはかなり丁寧に説明されているので哲学初心者でもガブリエル氏の主張は理解できると思います(同意するかはまた別問題だと思いますが)。形而上学での存在の扱いをテーゼ、構築主義による考え方をアンチテーゼとするならば、そのジンテーゼとして「新しい実在論」が提示されていると解釈しました。
本書の前半では存在するとはどういうことなのか、ということで新しい実在論についての説明が続きますが、個人的に興味深かったのは後半部分です -
Posted by ブクログ
「本書では新しい哲学の原則を示してみせたいと思っています。~中略~すなわち「世界は存在しない」ということです」
といきなり大風呂敷を広げたうえで、「世界は存在しない!」というキャッチーな主張の理由を、今までの様々な哲学の歴史をおさらいしつつ、やさしく説明してくれます。とても読みやすかった。(と言っても自分は読むのに2ヶ月以上かかったけど)
それにしてもこの煮詰まった時代に、いきなり「新しい原則を示す」という野心がすごい。もはやロマンチスト。
そして説明されるガブリエルさんの主張は、多様性の時代にフィットした哲学という感じで、とても面白かった。
なぜ世界は存在しないのか、を要約すると、
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Posted by ブクログ
タイトルに興味があって読んだのではなく、現代の哲学界で天才と言われるマルクスガブリエルさんがこんなにも若い方だったということに驚いて読んだ。
ある程度哲学の本は読んで少しわかったつもりになっていたけれど、まだまだ分からない難しいことが多かった。
世界が存在しない理論についてもなんとなくそうなのかとくらいにしか理解できなかったけれど、読んでいてとても腑に落ちたことがあった。
世の中には無数の意味の場があって、しかもそれらが互いに独立しているわけでもなく、独立していないわけでもなく、複雑に絡み合って存在していると。
最近はすべてを自然科学で説明しようとする傾向があるけれど、それも一つの意味の -
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最近とみに注目されているらしいマルクス・ガブリエル、2013年のベストセラー。邦訳は2018年講談社選書メチエなので、入手しやすい廉価設定かつ、ごつくない。
一般読者向けに自身の哲学を平易に記述したものなので、すこぶる読みやすい。ただし、文章は読みやすいが言っている内容はかなりラジカルな部分もあり、丁寧に読むために、私は時間をかけた。
非常に良い本だった。極めて論理的であり、例えばバートランド・ラッセルのように明快である。
本書で言う「世界は存在しない」というテーゼは、「あらゆるものを全て包含するような『世界』は存在しない」ということであって、物理学的な「宇宙」や、個人の意識と生活に基 -
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ベストセラーにあまり触手が動かない僕だが(読むのがとんでもなく遅いので読みたくても読めないだけ)、こういう本があるからやはり油断してはダメだ。僕は、この著者の主張に対する反発と同意を同時に覚えながらこの本を読み進めた。こういう読み方ができる本は意外に少ない。
僕はここのところずっと、「科学で世界を説明する」というアイデアにシンパシーを感じてきた。特に分子生物学や脳科学の分野における成果を見るにつけ、人間と世界に関わる全てが自然主義的に説明される可能性は高いと思えたし、そのプロセスも十分に知的興味を刺激してくれた。今もこの期待感は全く揺るいではいない。
しかし、同様の立場に立つ本を読み -
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Posted by ブクログ
一般向けという触れ込みだったように記憶してますが、十分に理解するのに手間取ってしまいました。
新しい存在論というテーゼは、世界は存在するすべての領域がその中に現れてくる領域、「すべての領域の領域」であるために、「果てしない派生のなかで果てしなく増殖していく無数の意味だけが存在する場」であるがゆえに「世界は存在しない」という論理なのだと思う。
唯物主義や構築主義を否定する論理はすべてを理解するには至ってないが、それぞれに理論を証明できない部分があることが何となく分かったし、特にそもそも事実は存在せず我々が一切の事実を構築しているのみという構築主義は人間軽視の感があって寂しさも感じるところ。
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Posted by ブクログ
世界はなぜ存在しないのかという大胆な問いについて考えている本である。
なぜ世界が存在しないのか。
それは、世界はそれぞれの人が切り取った場で意味が変わってくる。
なので、世界は存在しない。
加えて、形而上学は事象の詳細それぞれのリアリティを考えられないことが欠点であると大胆に述べている。
最後には人生の意味とは生きること。尽きることのない意味に取り組みつづけることと実存主義にも触れて終えている。
感想
人生の意味を考え続け、取り組み続けけること、
これは普遍的に人類が取り組まないとならないことであろう。
そうしなければ、自由から逃走し続けることと、アノミー的な自殺者がついえることはなくなら -
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Posted by ブクログ
「新しい実在論」を説く若手哲学者による哲学書。
訳語がですます調なのと、卑近な例が多く使われていて、思ったよりも読みやすい。
どうも近年?の哲学は、観察する側とされる側(主体と客体というか)のどちらに重きを置くかの論争になっていて、本書の著者はどちらにも重きを置く立場らしい。
同じものでも見る人によって見え方が違うというのは至極当たり前だが、量子論的とも言えなくはない。
著者がいう「世界は存在しない」ことの理屈は理解できる(わかりやすく図解までされている)が、それは「世界」の定義によるところが大きく、言ってしまえば「全知全能の神(いるとして)を作ったのば誰?」という問いにも似ている。
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Posted by ブクログ
哲学の本としては、異例に評判になっているらしい。
「現代思想」の本としては、わりと読みやすいかな。
ある意味、当たり前のことを言っている感じもする。
この本が評価されるということは、これまでの哲学が極論というか、話を必要以上に難しくしすぎていたということか?
ポストモダーン思想をある程度読んだ人には、この「新しい実在論」は、ちょっとしたコロンブスの卵に思えるかもしれないが、あまり哲学を読んでない人、つまり「素朴な実在論者」にとっては、この本自体が「ポストモダーン」な相対主義の本に思えるかもしれない。
だって、普通の人は、目の前の「現実」がもしかすると本当は存在しなくて自分の心が「構築 -
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