河野多惠子のレビュー一覧

  • 逆事

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    リアリスティックでミステリアスな短編集。ごく普通の日常の風景の中に存在する微妙な空気や突然襲ってくる恐怖が、読者の前に繰り出される。いやいや、繰り出されるというより、放り出される、といった方が正しいかもしれない。そして、目の前に放り出されておろおろする読者の様子を、著者はどこかで微笑んで見ているような気がする。

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    2018年11月18日
  • 考えられないこと

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    表題作.このような戦前と戦後間もない時期の話を書ける人がいなくなった.こういう時代があったことを忘れないことが大事だ.「歌の声」ではオペラへの愛着が迸り出た文章だ.淡々と話が進む中で,ふと考えさせられる件がとても快適だ.

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    2015年12月06日
  • 逆事

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    いずれも著者の経験と小説の中間にあるような日常小説。ごく普通の日常が実は非凡さに満ちていることに、我々読者は衝撃を受ける。そのことを一人密かに感じ取る主人公の感性に驚かされる。高齢の著者の最近の作品であるのだから、半分の年齢の我々は、心して感性と向き合わねば、と思う。

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    2011年11月20日
  • P+D BOOKS 幼児狩り・蟹

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    河野多恵子という人は
    暴力を介してしか愛情を実感できない人々について多く書いた
    谷崎潤一郎からの影響を自認していたようだが
    時代のコメディアン谷崎とは決定的に異なる薄暗さを抱えていた
    敗戦によって失われた父性信仰への憧れを
    そこに重ねることもできよう

    「幼児狩り」
    10にも満たない男児ばかりに性的な目を向けてしまう女
    なぜそうなったのかよくわからないが
    夜は残虐な夢を見て楽しんでおり、いろいろ拗らせていることが窺える

    「劇場」
    オペラ劇場で出会った美女
    彼女の夫は、見た目に彼女とは不釣り合いなせむし男だった
    主人公は彼女らの佇まいに性的なシンパシーを受け
    マゾヒズムに目覚めてゆく

    「塀の

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    2018年11月04日
  • 逆事

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    河野多恵子さん、初挑戦。
    エッセイのような、小説のような。
    泥棒に入られたことが間違いなくあるだろうなと思いました。
    たぶんあれはエッセイで、小説にもしたんだろう。
    すごく色々なことを思って書いたんだろうなと思いました。

    私にはなんとなく難しくて、たぶん河野さんが伝えたいことのいくらも分かりませんでした。
    他のも読んでみたいです。

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    2011年10月04日
  • 逆事

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    たんたんと説明が進み暮らし向きが分かる話が多く、なぜか、怖い思いをした場面(ニューヨークでのマンション侵入、大学の宿舎で突然なる警報機)が印象に残りましたが、あまり深刻な雰囲気で語れるわけでもなく妙なズレを感じます。

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    2011年09月23日