天久聖一のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ小説の1行目、1文目ってなんやゾクゾクさせてくれるよね。たった1行で、主人公がどんなやつか、どういう状況にいるのか想像できるものもあれば、「どういうこっちゃ!」と先を読み進めたくなるものもある。
好きだったのを以下に。
「挫折を経て、猫は丸くなった。」
「音楽性の違いで解散した三人は、同じ工場に就職した。」
「迂闊だった。褒め上手を敵に回すとどうなるか、ちょっと考えれば分かったはずじゃないか。」
「五の倍数に対してすら素直になれない日もある。」
「全てを失ったが、残尿感はある。」
「ユニクロに行くためだけに着る、ユニクロではない服を用意している。」
「人が避けた席には、それなりの理由がある。」
「誰かと戦っている内は、自分と戦わなくていい。」
「彩度の低い部屋でグリーンピースが目立っている。」
「全員かかってこいよ。鍵を掛けたアカウントでつぶやいた。」
「そう、いつだって鮭フレークはこんなふうに余る。」
「二次会になって互いの薄毛に触れはじめた。」
「初めてのキャラメルフラペチーノに、利休の心は震えた。」
「揉みたいものがまだ、友の睾丸だった頃だ。」
「先週の飲み会を思い出しながら走り、自己ベストを更新した。」
「怒っている童貞で、暖をとった。」
最後のやつとかどういうことやねん。うちも書き出してみたくなったわ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレデイリーポータルZで連載されている企画が元。
こういう、自由律俳句的なものが好きなのですよ。
「小説の書き出し」という切り口だけど、
文章の断片からいろいろな妄想が広がる世界は同じもの。
これまでも『カキフライが無いなら来なかった』『偶然短歌』など読んできましたが。
こういう短い文章は、その置かれ方(空間、配置やフォントなど)と、
読む時の自分のコンディションにかなり大きく左右される。
ネタバレになるが、私のお気に入りは
「キンモクセイだけを嗅ぎたいのに、銀杏が肩を組んでくる」
「まだ謎は解けていなかったが、酔った勢いでリビングに全員を集めた」
「自家用ヘリで現れた新入社員は、すべての桜を散らしてしまった」(テーマ・桜)
「倒産寸前で、もう何も売るものがない我が社、今日の株主総会で、
取締役五人をアイドルグループとして売り出すことが決まった」(テーマ・アイドル)
「深夜、ストリートビューで佐々木さんの家へと向かった」(テーマ・中学生)