天久聖一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ小説の1行目、1文目ってなんやゾクゾクさせてくれるよね。たった1行で、主人公がどんなやつか、どういう状況にいるのか想像できるものもあれば、「どういうこっちゃ!」と先を読み進めたくなるものもある。
好きだったのを以下に。
「挫折を経て、猫は丸くなった。」
「音楽性の違いで解散した三人は、同じ工場に就職した。」
「迂闊だった。褒め上手を敵に回すとどうなるか、ちょっと考えれば分かったはずじゃないか。」
「五の倍数に対してすら素直になれない日もある。」
「全てを失ったが、残尿感はある。」
「ユニクロに行くためだけに着る、ユニクロではない服を用意している。」
「人が避けた席には、それなりの理由があ -
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Posted by ブクログ
ネタバレデイリーポータルZで連載されている企画が元。
こういう、自由律俳句的なものが好きなのですよ。
「小説の書き出し」という切り口だけど、
文章の断片からいろいろな妄想が広がる世界は同じもの。
これまでも『カキフライが無いなら来なかった』『偶然短歌』など読んできましたが。
こういう短い文章は、その置かれ方(空間、配置やフォントなど)と、
読む時の自分のコンディションにかなり大きく左右される。
ネタバレになるが、私のお気に入りは
「キンモクセイだけを嗅ぎたいのに、銀杏が肩を組んでくる」
「まだ謎は解けていなかったが、酔った勢いでリビングに全員を集めた」
「自家用ヘリで現れた新入社員は、すべての桜を散ら