天久聖一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説の書き出し(架空であり仮想)だけを416個も集めた、変わり種の名作集。
アメトーークの読書芸人の回でも取り上げられた話題本。
テーマなしの自由部門と、「傷」「父」「恥」「吉田」などテーマが決まった規定部門に分かれていて、タイトルになっている「挫折を経て、猫は丸くなった」というのは自由部門の一作品。
書き出しで「これ読んでみたい(読んでみよう)」という本の選び方をしたことがある人は、本好きの中には結構いるはずで、書き出しはとても大事。
この本にもそういう風に思った作品がたくさんあったけれど、小説が実在しないのがとても残念。笑
実際にある小説の名作書き出しを集めた本を作っても面白そうだと思った -
Posted by ブクログ
ネタバレたった一文(もしくは数行)で、読み手の想像力が無限に喚起される。種田山頭火や尾崎放哉などの自由律俳句を読んでいるような、そんな気分にさせられる。説明はまさに蛇足であり、読み手にすべてを委ねた姿勢は潔く、そして、言葉の力、面白さを存分に味わうことが出来る。
私が好きな作品は以下6作品。
※ネタバレ含みます。
「メールで始まった恋は、最高裁で幕を閉じた。」
「子どもが母親にお菓子をねだっている。おばさんはカートを体のように扱っている。肉に半額のシートが貼られた。レジは空いている。私はスーパーでフラれた。」
「朝顔は咲かなかったし、君は来なかった。」
「父の七回忌に、私にそっくり -
Posted by ブクログ
小説の書き出しばかりを集めた作品。
実際にある小説の書き出しではなく、インターネット上で募集して、沢山のユーザーから生み出された「書き出し」が掲載されている。
後に続く物語がとてつもなく気になったり、短歌や詩のようなリズミカルで風流なものもあって、それだけで1つの作品として完結していたり、クスッと笑えたり、「これはやられた!」と思わぬネタに不意打ちを食らったり、短文の中に意外と奥の深いストーリーや人間関係が盛り込まれていたりして本当に面白い。やっぱり、日本人は情報をコンパクトにまとめて、限られた少ない文字数の中で壮大な物語を表現する天才だと思います。これは今も昔も変わらない。
特に気に入っ