アン・モリスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ経営者側にありがちな認識や思い込み。それは、「自分たちは、あらゆる面で最高のサービスを提供できる」「問題の原因は従業員にある」などと考えてしまうこと。しかし、このような思い込みは結局、凡庸で不満足な状態に陥るだけだ。「全てにおいて最高」は不可能。経営者には、特定のサービスで最高を目指すために、何かを犠牲にする勇気と覚悟が必要である。
このような戦略を立て、自己点検・評価をする際に重要なのは、顧客の話を聞くこと。つまり、顧客の目にどう映っているかを基準に、顧客にとっての優先度と提供するサービスの質の高さを一致させることである。
また、当然ながら卓越したサービスにはコストが発生する。誰かが負担しなければならない。解決方法は主にふたつ。顧客に割増料金を払ってでも利用したいと思わせるサービスを提供するか、顧客が喜んで仕事をし、サービスを生み出すプロセスの一翼を担ってもらうかである。
そして、あるサービスモデルを企業の強みとして徹底するためには、普通のスタッフが、普通に行動するだけで良質なサービスを提供できる仕組みづくりとサービス重視の企業文化の醸成が必要である。この二つの関係で「明確性」「伝達」「一貫性」の実践は欠かせない。
結局は、従業員は会社に対して奉仕したいという意欲を抱いているし、顧客もサービス体験の創出に参加したいと思っている。このことに気付き活かすための設計と風土づくりが、経営者にとっての顧客サービス戦略の原点だといえるのだろう。 -
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「サービス・マネジメント」クラスで講師が薦めていた本、第3弾。
「サービスを制するものは~」に近く、教科書的1冊。
【全てが最高には無理がある】
顧客が重んじていないサービスは削る。この難しさは、意図的に弱点をつくる、辞める、質を落とす、努力を怠るということへの心理的抵抗だ。しかし、あるところで圧倒的に勝つのであれば、求めていない所で負けることを覚悟しなければならない。
→全ての人を喜ばせることが、私たちの仕事では「ない」
【誰かがコストを負担する】
利益の計算を忘れず、片思い型奉仕は辞める。何からコストを下げれば良いか?一番カネがかかっているところ。それが特定できないなら、まずは顧客との接点を減らす。
※顧客の反発を買うケースは、アンフェアではないと感じるとき。どのような「暗黙の約束」のもとで、顧客がその企業を利用しているかどうか考える。
→肝心なことは「不公平感」を与えないこと。その上で、「これまでやってたから」などカチッ・サーとやっている作業にメスを入れる。そのためには、真実の瞬間を洗い出すことから始めるべきである。
【悪いのはスタッフか?】
平均レベルのスタッフが卓越したサービスを提供できるようにする仕組みが必要。多くの企業はスーパーヒーローを雇っているつもりで職務設計をしているが、実際に働いているのは生身の人間。
問題の原因は不適切な人たちの行動ではなく、好ましい人たちの不適切な行動。卓越したサービス=設計×文化、が肝。
→生身のスタッフが集団皿回し状態にならない仕組みを作ることが大切。
【サービス業における顧客とは?】
サービスのコストを引き上げ、質を引き下げる。この現象はどの企業にもあり、事前告知もなく、おまけに顧客は自分たちの行動に後悔や罪悪感はない。顧客とは「無給で、不慣れで、やる気のないスタッフ」だ。
→規律を守らない顧客は、罰を与えるのではなく、規範型アプローチを考える。つまり、恥の意識や罪悪感、プライド、他社への迷惑、に働きかける。 -
Posted by ブクログ
サービス業が製造業と違って生産性が悪くなりやすいのは不確実性が高い(顧客&場合によって求めるものが違う)から。多様な顧客に合わせるために不要なサービスを行っている企業は驚くほど多い。
差別化したサービスを提供するためには「どこの質を下げるか」を決めることが重要。場合によっては顧客の切り捨てもやむなし。
そうすることによってサービス品質向上とコストカットを両方達成できる。
また、顧客をサービスモデルの一要素と考えて従業員同様に教育or一部業務を担ってもらう(セルフサービス)ことも効果的。このとき気をつけるのは目的をコストカットにしないこと。顧客が自分から動きかつ満足する部分を担わせること。(スーパーのセルフレジは×、空港のセルフチェックインは○) -
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■サービス提供の4原則
A.・原則1:「全てが最高」には無理がある
あらゆる面で高水準のサービスを提供しようとすれば、精彩を欠いたサービスしか生み出せない。良質なサービスを実現するには、どの側面でサービスの質を高め、どの側面を切り捨てればいいのか、その判断を、自社の顧客について深く掘り下げた上で下す必要がある。
・原則2:誰かがコストを負担しなくてはならない
うまく機能しているサービスモデルには、高い水準のサービスを継続するための予算を安定的に賄うメカニズムが組み込まれている。例えば、顧客に快く上乗せ料金を支払ってもらう、コスト削減をサービス向上につなげる、といった方法がある。
・原則3:悪いのはスタッフではない!
サービスにおいてスタッフが担う役割は大きいが、サービスはスタッフ次第というわけではない。重要なのは、サービスモデルの設計だ。うまく機能しているサービスモデルには、従業員の「能力」と「意欲」のレベルを高めるための合理的な仕組みが備わっている。
・原則4:顧客をマネジメントせよ
顧客はサービスを受けるだけでなく、サービスの提供プロセスに関わってもいる。例えば、旅客機の乗客が搭乗の際にまごつくと出発が遅れかねない。従って、顧客についても“訓練”するなど、マネジメントする必要がある。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ分析、整理はもとより、事例もふんたんに紹介されており、参考になる
<メモ>
成功の原則①全てが最高には無理がある。②誰がコストを負担するか③
悪いのはスタッフでない。
④顧客を、マネジメントせよ
何を下手にやるかということ。顧客が何を重視しているかをマッピングする。コンジョイント分析
コスト調達メカニズム①気持ち良く値上げする。②コストカットがサービス改善につながるようにする③サービス向上がコスト改善になるように④顧客に仕事をさせる
コストを払ってもらえるかは顧客が企業にどういう関係性を、感じているかによる。友達であれば難しいし、安いが、売りで有れば、可能
悪いのはスタッフではないより
平均レベルの社員が質の高いサービス提供できるようにすること
覆面調査、煩雑度グラフ化、ギャップ解消 従業員を変えることが難しければ業務の複雑度を変えてやるしかない。その際に縦割りに注意。コミュニケーションを意識。時にはITも有効
顧客をマネジメントせよより
サービスの顧客はサービスを生み出すプロセスにも関わっている
サービスモデルのみならず、文化も非常に重要。 -
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優秀なリーダーの定義とは、一体何なのかと考えてしまう。
この問いの答えは、一つだけではないはずだ。
様々な解答がある中でも、個人的に腹落ちしているのは、次のものだ。
「本当のリーダーとは、次のリーダーを育てられる人のこと」
当たり前のことであるが、このことに気付けない人が意外と多い。
昔のリーダーは、先頭に立って部下を引っ張る人。
今のリーダーは、周囲を巻き込んで、議論しながら進める人。
そんな手法の話も出てくるが、「優秀なリーダーの定義」と言われてしまうと、やはり何か物足りない。
「次のリーダーを育てられる人」は、分かりやすい。
結局は、私利私欲で動くリーダーは、部下から信頼を得られない。
あくまでも利他の精神で、会社や社会の利益を考えて動けるかどうかが大事だと思う。
そう考えると、「利他的な未来思考」が重要となり、その具体的な形式が「次のリーダーを育てる」ということに繋がってくるのではないか。
昨今は「管理職罰ゲーム」とすら言われてしまう。
どんな形にしろ、リーダーになることが損だと思われているのは間違いない。
今の管理職は見るからに大変そうだし、昔よりもとにかくルールでがんじがらめにされている。
管理職が辛くなって、メンタルダウンすることも普通にある。
動きづらい世の中になったものだが、それでは昔がよかったかと言われれば、そんなことは絶対にない。
時代が大きく変わり、管理職にはその変化のマネージメントを求められている。
働き方改革で残業が減ったのは、非常に良いことだ。
パワハラ、セクハラもご法度で、部下との個人的な呑み会もできれば避けた方が無難。
そんな中で仕事の結果は求められる。
成果を出さなくては、自分の評価が下がってしまう。
自分が若い時に現場で働いていた状況と、現在は変化の差が激し過ぎる。
ガバナンスは益々強化される方向だし、SNS対策も重要だし、AIももっと使いこなしていかなくてはいけない。
複雑化し高度化する業務に対し、果たして自分は対応しているのだろうかと考えてしまう。
頭では理解しているつもりでも、本当の意味で実践できているかどうかは、検証のしようがない状況だ。
私自身、確かに「成果を出さなくては」と力んでいたのは間違いない。
本書では、力むことすらも否定されてしまう。
「じゃあ、どうすればいいねん!」
と何かを投げつけたくもなるのだが、本書では、2017年に深刻な経営不振と不祥事に揺れていたライドシェア大手「ウーバー」の改革劇を例として示している。
著者のフランシス・フライ氏は、まさにその渦中に乗り込み、組織の劇的なV字回復を導いた人物なのだという。
巨大企業が崩壊の縁からどのように蘇ったのか。
その鍵は「信頼の三角形」というシンプルなフレームワークだという。
信頼とは、実はあやふやな感情論ではない。
明確な3要素によって構成されているとのことだ。
1. 真正性(オーセンティシティ):嘘偽りのない自分自身であること
2. 論理(ロジック):考え方や判断に筋が通っていること
3. 共感:相手の感情や立場を深く理解しようとすること
この三角形のバランスが崩れたとき、組織の信頼は崩壊する。
そして、それぞれの要素が欠如したときに現れる「サイン」の分析が、実に秀逸で面白い。
「真正性」が欠けるとき、リーダーは本当のことを言わなくなる。
「論理」が欠けるとき、リーダーの話は無駄に長くなる。
「共感」が欠けるとき、リーダーは相手の話を聞かなくなる。
思わず苦笑いしてしまうほど、リアルな指摘だ。
ビジネスの現場で「あの人の話はなぜか響かないな」と感じるとき、たいていはこの三角形のどこかが欠けている。
話が長い上司は、実は自分の論理に確信が持てず、言葉の量でごまかそうとしているのかもしれない。
あるいは、相手の話を聞かないリーダーは、「自分は多忙でそれどころではない」という利己的な姿勢を見透かされている。
ウーバーの改革において、著者が行ったのは特別な施策ではない。
この「信頼の三角形」を一つひとつ泥臭く修復し、リーダーたちがメンバーに対して真正性、論理、共感をもって接する環境を整えただけだ。
結果的に、どん底だった組織はV字回復を遂げる。
かつて不満を募らせていた社員たちも、自発的に「ウーバーTシャツ」を着て誇らしげに働くようになったということだ。
信頼を築く上で、特に現代のビジネスパーソンにとって難しいのが「真正性(オーセンティシティ)」の確保だろうと思う。
私たちは職場において、どうしても「仕事ができる完璧な自分」を演じようとしてしまう。
弱みを見せたら舐められてしまうのではないか。
失敗を認めたら評価が下がるのではないか。
そうやって仮面をかぶり、鎧をまとってしまう。
しかし、本書は真逆の真実を教えてくれる。
人間は、完璧なサイボーグのような存在を信頼するわけではない。
むしろ、不完全さや弱さを素直に開示し、失敗から学ぼうとする人間味のある姿にこそ、心を寄せ、信頼を深める。
これは、自分自身のかつての上司を振り返っても、共感できる部分だ。
リーダーが「実は自分もこの分野はよく分からない」「今回は私の判断が間違っていた」と素直に言えるかどうか。
この一言が言える組織には、強い「心理的安全性」が宿る。
失敗を隠さず、前向きなエラーとして全員で共有できるようになるというのだ。
AI時代だからこそ際立つ「人間的信頼」の価値があるという。
現代社会は、AIをはじめとするテクノロジーの進化によって、目まぐるしい変化の渦中にある。
データ分析や論理的な予測、効率的なリソース配分といった業務は、現時点でもAIの方が圧倒的に早く正確に答えを出してしまう。
そんな時代に私たち人間に残された役割とは何なのだろうか。
結局、人間同士の「信頼」と「共感」しかないと考えている。
AIは膨大なデータを処理することはできるが、自ら意思を持って誰かを信じたり、誰かの痛みに寄り添って涙したりすることはない。
「この人と一緒に仕事がしたい」
「このリーダーのためなら、もうひと踏ん張りしてみよう」
そう思わせる感情の揺らぎや納得感は、生身の人間同士の関わりからしか生まれないだろうと思う。
一言で表現すれば「人間力」ということになるが、これはこれで非常に難しい。
「信頼の三角形」のうち、「論理(ロジック)」の補強はAIが得意とするかもしれない。
しかし、「真正性(オーセンティシティ)」と「共感」を注ぎ込むことができるのは、心と身体を持った人間だ。
テクノロジーが進化すればするほど、リーダーシップという営みは、より人間臭く、より温かみのあるものへと原点回帰していくのではないだろうかと思ってしまう。
AIを利用しつつ、どうやって人間力を磨き続けるのか。
難しい問いであるが、古代ギリシア時代に哲学が流行ったように、歴史を繰り返していくのだろうと思う。
これもまた原点回帰。
やはり基本に戻って、コツコツと正直にやるしかないのだ。
(2026/1/9金)