栗田隆子のレビュー一覧
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ロスジェネ、非正規雇用といった属性を持つ筆者、栗田隆子氏による世間への批評が書かれた本でした。
フェミニズムの視点を中心とした鋭い指摘が多い印象。日常生活を過ごすなかでいろんな人が感じていた言葉にならない不安や理不尽を上手く文章にしていると思いました。
また、筆者の生活で生じた出来事から問題提起されることが多いので、批評というよりもエッセイのような感覚でも読むことができます。
しかし、取り上げる問題の一つ一つが、それだけで多くの議論を交わす必要がありそうな内容
(例:賃労働をしていないという点では同じ属性である専業主婦(夫)の人と、投資家ではどうして社会的な見方や扱いが異なるのか?)への考察が、紙面の都合で短絡的になっていると思いました。 -
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私は、大学までは「普通」をやってこれたが、大学院以降は定期的に心身の調子が崩れて、「脱落」した感じがある。今も二度目の休職中だ。
思い返すと小学校以降は保健室に逃げたり、嫌いな授業は仮病で遅刻・早退したり、、
幸い致命的ないじめなどはなく友達もいたので、普通に「普通」をやれているつもりだったが、子どもの私なりになんとか「普通」をやれていなんだなと感じている。
「普通」になれないことへの劣等感、打算的なズル休みではなく行けなくなってしまったときの自己否定感、「ちゃんとした病気」だったら…という免責を求めてしまう感じがものすごく共感した。
大学院に行けなくなった時、血液検査やMRIなど様々な検査をしまくったが、異常はみつからなかった。良いことなのだが、異常があってくれればよかったのにと少しガッカリしてしまったことを思い出した。あれは免責を求めていたんだなあ、
やるせなさと戦い続けていることに絶望的な気持ちになる時もあるが、私のこの感覚を他人(筆者)と共感できたことは少し励まされた。 -
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ネタバレまずはとにかく著者は全編通して「怒り続けている」ということ。
そうだよな、その通りだなと思うところが多々あったのにあんまり染みなかったのはなぜなのだろう。
文体か、生のまますぎる怒り成分が多過ぎに感じられるからなのか…
せっかくの(?)働けない当事者からの貴重な考察であるのに、訴え部分が霞んでしまっているような。
タイトルの一部ともなっている「働かない、働けない」について切実に苦しんだ当事者や関係者の人には手に取られるでしょうし、頷けるところもあると思われます。
でもそういう立ち位置の人に関心のない社会ジャンルの本を手に取る人には…どうだろう?
まぁ著書はそういう人には理解も同情も求めていないだろうとは思うのですが…(となんとももやもやした感想ばかりになってしまう)
巻末を見て、本書が書き下ろしでなくウェブ掲載の文章をまとめたものと知り、それでどちらかと言うとエッセイ風味強めなのかなと納得。
そもそもまとめたものの問題提起本という立ち位置でもなかったのかなと。
怠け者列伝(p160)はちょっと面白かった。
文中に引用されていたシモーヌ・ヴェイユの言葉「不幸があまりに大きすぎると、人間は同情すらしてもらえない。嫌悪され、おそろしがられ、軽蔑される。(p104)」が真実すぎる、と衝撃を受けました。 -
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高学歴女子の貧困 女子は学歴で「幸せ」になれるか? (光文社新書) 新書 – 2014/2/18
君の実家が自営業なら、院に進んでより深い知識を学んでもいい。でもそうでなければ、諦めて就職しなさい
2015年12月27日記述
大理 奈穂子氏、栗田 隆子氏、大野 左紀子氏
水月昭道氏監修の本である。
大学院生、非常勤講師、大学非正規職員の理不尽さは
昔に比べれば多少は世の中に浸透したように思う。
ただ大理氏の指摘するようにその中でも女性はより不遇に使われている。
企業内においても女性の役員数は日本は世界に比べ圧倒的に低い。
企業だけでなくやはりアカデミックの世界でもそうだったのだ。
本書の記述が稚拙という感想があるようだ。
しかし本書は学術論文ではない。
一般社会に向けて少しでも分かりやすく伝えるのが第一なのだ。
少々ラフな表現が入るのは問題ないのである。
本書では男子や理系との比較もある。
グラフやデータを用いて説明しているので実感と合う印象。
ただこれは女子だけの問題ではなく若手の男性非常勤講師も同様に非常に厳しい事に変わりはない。
それにしても正規雇用されている大学教授との格差は本当に酷い。
論文をまともにかかない人間も年功序列で昇格していく。
実に馬鹿馬鹿しい。
今どきの海外勢との厳しい国際競争に晒されている民間では決してあり得ない制度が維持されているとしか言えない。
日本のアカデミズムに私学助成金を投入するのはやめた方が良い。
こういった非正規講師や学生にバウチャーを直接支給するやり方に方向性を変えるべきであろう。 -
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【制度に乗れたか否か】
高学歴貧困女子とそうでない人の違いは何か。「制度」に乗れたか否か、この一点だ、と。乗った人は、それがコネであったとしても自分の実力と考え、乗れなかった人は仕方がない理由をこじつけられる。
何も女子に限ったことではないのでは、とも思うのだが、しかし女子教育という制度がまた、女子をある枠に当てはめようとする。高学歴はあるとき場違いにもなり、ますます居場所が狭くなっていく。
高学歴貧困になるかもしれない娘を持つ身としては、冒頭からしばらく続く愚痴というか弱音というか、喜べないそれにジットリとした気持ちで読み進める。
救いがない。
最後の「アート系高学歴女子のなれの果て」が、読み物としての愉しさを含んでいて、少し安堵するものの、ご本人が救われているかはわからないが…。 -
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ネタバレ「高学歴ワーキングプア」の作者監修の高学歴シリーズ第2弾。
非正規(非常勤講師)となってしまい不安定極まりない環境におかれ、研究上、職務環境上、生活上問題を抱える女性高学歴研究者の内状が大変勉強になった。
私も女性ではないが、元高学歴ワーキングプア状態を5~6年経験したものから言わせていただくと
「事実は、ご縁とタイミングが良かっただけある。しかし、専任教員になった人間は決してこのことを認めたらがない。」(p43)
これに関しては同意できませんね。特に私のまわりにいる人々(研究者)は不遇の期間が長かろうが短かろうが皆さん同じように「ご縁(運)とタイミングだよね!」って言ってます。
このような細かいところに関して???はありますが、それが、本書の目的でもあった、「現代における高学歴女子の内実」をあぶり出したことにマイナスに作用したことは全くない。大変面白い一冊である。 -
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女で未だテニュアのないPDの研究者(のたまご)である私は、まだ「実力があればテニュアは得ることができる」という理想世界を信じている方です。
でもたとえ今後テニュアという特権を得たとしても、それを自分の実力のおかげだと正当化して得られなかった人を仕方ないと考えるような、排除の論理を振りかざさないようにしたいと改めて思いました。
あと、今のように私が非常勤の立場を楽しめるのも、今は一時的に学振のおかげ、そしてそれが切れたあとも楽しめるとしたら、旦那や比較的余裕のある実家の存在や自分が女であることの「おかげ」であり、それは裏返せば自分の首を絞める甘い蜜であることを再確認しました。