鈴木智之のレビュー一覧

  • 「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代

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    1990年代以降の少年犯罪報道に焦点を当て、そこにおける「心の闇」なる言葉の使い方から犯罪報道の社会的役割について述べられた論考。少年犯罪言説で頻繁に使われるようになった「心の闇」なる言葉が、現代の若年層そのものをある種の「病理」として描き出し、そこから社会を「理解」してしまうスタイルが如何にして広がっていったかが立証されている。

    少年犯罪者、さらには若年層をめぐる「不可解さ」をめぐるメディア上の(読者も含めた)やりとりが社会の転換すら生み出してしまうという点を指摘しているという点で、おそらく多くの社会学者に反省を迫るものであるかもしれない。1990年代から現在に至る若い世代を「切断」してし

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    2013年12月12日
  • 個性を活かす経営と人事 認知・非認知の経営学

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    個性の違いと採用後のパフォーマンスとの相関やその後の教育による成果がどこに出てくるかなど、経営と人事にまつわる最近の研究成果がよく分かる1冊。特に解雇の難易度が高い日本では、採用を誤ると教育に手が取られてしまうなどの失敗が繰り広げられることになるが、戦略的な採用にまで遡って取り組もうとするには、このような研究の進展が有効だと思った。

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    2025年10月19日
  • 採用面接論 無意味論を超えて

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    採用面接の学術研究がしっかりと書籍になっていることは想像していなかった。入職後のジョブ・パフォーマンスを予測して採用面接の質問を考えることは重要なことと思いますし、日本企業では対応が遅れていることも実感しています。早く戦略的な採用面接を実施していかないと、双方で小手先の面接対応が横行して、日本企業のパフォーマンスがどんどん落ちていくことになるのではないかと心配になった。

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    2025年10月05日
  • 郊外の記憶 文学とともに東京の縁を歩く

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    歴史から、地形図から、昔の地図から…そういった視線での「町歩き」。アニメや漫画、小説等の「聖地巡礼」もそれに含まれる訳だが、副題の通り文学作品を元に、作品内部の登場する人物の心境、作品自体の解説を行いながら、作品に登場する場所を当てはめていき、その土地の近代からはたまた氷河期までの記憶、著者自身の記憶を巡るのが主な内容である。
    ブラタモリよろしく、川を見ると崖を探したり州を探したりしてテンションを上げる私だが、自然的ではなく、文化としての境界や記憶を垣間見る戦後の波に飲まれなかった土地を見るのも面白いなと、特に国立の部分では強く思った。

    田舎者的には東京近郊というだけで郊外…?と思うこともあ

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    2021年10月10日
  • 「心の闇」と動機の語彙 犯罪報道の一九九〇年代

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    「心の闇」という表現そのものに焦点を当てた一冊。

    第一章ではライト・ミルズの動機の語彙論を引き、「動機が判る」という事は一体どういう事なのかを論じる。
    二章では新聞記事を通じて「心の闇」と言う表現が使われ出し・一種の形容表現と化し・そして情報の受取り手に対しても広がって行った課程を酒鬼薔薇事件の記事から抽出し、「心の闇」というタームが理解しなければならない/が理解することは到底出来ないという二つの意味を同時に発している、と論。
    三章では「心の闇」という言説が広く使われ始めた酒鬼薔薇事件に対して大学生に対して行った質問から、情報の受け手側の受容の形式――「動機が判る/判らない、またどうすれば判

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    2014年02月02日
  • 村上春樹と物語の条件 『ノルウェイの森』から『ねじまき鳥クロニクル』へ

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    ネタバレ

    ノルウェイの森よりもねじまき鳥の解釈の方が面白かったです。こんなに読めたら楽しそう。ただミクロな視点で読書すると日が沈む。僕らには時間がないんだ!!

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    2014年08月19日