鈴木智之のレビュー一覧
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『自分が何に惹かれているのかがわからないということだ。そしてもう一つは、その仕掛けを読み解いていくと、一作家の文学的な個性を超えて、私たちが生きている世界、この時代の現実をとらえる新しい視点が得られそうな気がすること』―『序章 時空間をめぐる小説』
ああ、自分と同じような感覚で柴崎友香を読む人が居る。頁を幾らも捲らない内に、そう思う。何に惹かれるのかを言語化できないまま、読み続けている作家。まさかその作家を読み解こうとする学者が居るとは。それが本書を手に取る切っ掛けではあったけれど、自分の中に巣食うもやもやとした印象や思考が言葉に置き換えられている、という錯覚を覚える。著者である社会学者、鈴 -
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1990年代以降の少年犯罪報道に焦点を当て、そこにおける「心の闇」なる言葉の使い方から犯罪報道の社会的役割について述べられた論考。少年犯罪言説で頻繁に使われるようになった「心の闇」なる言葉が、現代の若年層そのものをある種の「病理」として描き出し、そこから社会を「理解」してしまうスタイルが如何にして広がっていったかが立証されている。
少年犯罪者、さらには若年層をめぐる「不可解さ」をめぐるメディア上の(読者も含めた)やりとりが社会の転換すら生み出してしまうという点を指摘しているという点で、おそらく多くの社会学者に反省を迫るものであるかもしれない。1990年代から現在に至る若い世代を「切断」してし -
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私は、部下の問題行動に困って、本書を手に取りました。結果として、部下の問題行動を変えられるかは微妙なところです。
しかし、それよりも、もっと人間の行動原理なる部分や、ダークトライアドという特性について理解することができ、非常に参考になりました。
なぜなら、自分自身にも、この『ダークパワー』なる部分に思い当たる節があったからです。
完璧な人間はいない。
まさにその通りです。
いかにして、
自分の反社会的な部分な、
弱みを、
表や行動に出さず、
組織に適合する、あるいは、
その職場に適切と認められる行動を取れるか、
それが組織の中で活躍するには不可欠であるし、
まさにそこがキーポイントだと思 -
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歴史から、地形図から、昔の地図から…そういった視線での「町歩き」。アニメや漫画、小説等の「聖地巡礼」もそれに含まれる訳だが、副題の通り文学作品を元に、作品内部の登場する人物の心境、作品自体の解説を行いながら、作品に登場する場所を当てはめていき、その土地の近代からはたまた氷河期までの記憶、著者自身の記憶を巡るのが主な内容である。
ブラタモリよろしく、川を見ると崖を探したり州を探したりしてテンションを上げる私だが、自然的ではなく、文化としての境界や記憶を垣間見る戦後の波に飲まれなかった土地を見るのも面白いなと、特に国立の部分では強く思った。
田舎者的には東京近郊というだけで郊外…?と思うこともあ -
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「心の闇」という表現そのものに焦点を当てた一冊。
第一章ではライト・ミルズの動機の語彙論を引き、「動機が判る」という事は一体どういう事なのかを論じる。
二章では新聞記事を通じて「心の闇」と言う表現が使われ出し・一種の形容表現と化し・そして情報の受取り手に対しても広がって行った課程を酒鬼薔薇事件の記事から抽出し、「心の闇」というタームが理解しなければならない/が理解することは到底出来ないという二つの意味を同時に発している、と論。
三章では「心の闇」という言説が広く使われ始めた酒鬼薔薇事件に対して大学生に対して行った質問から、情報の受け手側の受容の形式――「動機が判る/判らない、またどうすれば判