チョーサーのレビュー一覧
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日本語訳がいい
数百年も前のイングランドの古典。原文ではもちろん読めないので本の評価は日本語訳に負うところが大きい。
この時代の本は東西を問わず服装や持ち物のこまごまとした表現に文字を費やすなど、読んでいて興味を失いやすいが、この本の日本語訳は簡潔で読みやすい。
しかも、カンタベリー物語全章ではなく面白そうな章を記載しているので通読も比較的簡単。 -
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ネタバレ下巻では修道僧の物語、尼僧付きの僧の物語、第二の尼僧の物語、錬金術師の徒弟の話、賄い方の話、教区司祭の話、の計6話を収録。
どちらもルネサンスを代表する文学作品といえるデカメロンとカンタベリー物語。前者は人間賛歌の色調を常に感じる作品でしたが、後者カンタベリー物語は、上巻こそデカメロンに似ていた雰囲気ですが、最後の下では宗教関係者の話が多く、トリは教区司祭の話で締めくくられました。この点は著者チョーサーのキリスト教的価値観が強く反映されているのかなと感じました。人は罪を避けて生きるべき、と。
なお、教区司祭の話は、主に7つの大罪(高慢、妬み、怒り、怠惰、貪欲、貪食、姦淫)についての説教につ -
Posted by ブクログ
ネタバレまずは高貴で気高い「騎士」の説明から入る。彼は騎士道を愛し、従者も1人だけ連れていた。次に「女子修道院長」。微笑む姿は誠に無邪気で恥ずかしそう。食事作法に良く熟達しており、スープを一滴たりともこぼさない見のこなしに加え、フランス語を巧みに操った。彼女は秘書役の修道女1人と司祭3人を連れていた
→この時点で7人いる
次に狩りが好きな「修道士」。他の修道士達と違って、聖アウグストゥスの教義に則れば仕事にあくせくして働かなければならないことに反感を持っており、狩りにご乱心なのだ。
次に「托鉢修道士」。奔放で陽気な、大変位のある重要人物。大変優しく懺悔を聞いてやり、快く赦免を行なっ
た。名をヒュ -
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中世イギリスの詩人ジェフリー・チョーサー(1343?-1400)による物語群、1380年代末頃から晩年にかけて執筆か、未完。
チョーサーはロンドンの裕福な市民階級出身で、宮廷に仕えながら外交官として大陸へも渡っている。そこで、ダンテ、ボッカチオ、ペトラルカなど当時のイタリア・ルネサンスの詩人たちの文芸に触れ、その影響をイギリスにもたらすことになる。同じ時期にダンテの『神曲』(1321年完成)が当時の知識層の共通語であったラテン語ではなくトスカーナ地方の世俗語で書かれたことでイタリア語形成の基盤となったように、チョーサーが『カンタベリー物語』を当時のイギリスの教養語であったフランス語やラテン語 -
Posted by ブクログ
面白く無い訳じゃないけど、期待してたほどじゃないという感じ。
でも、解説を読んで改めて考えてみるとなるほどこれがどういう意味で評価されているのかがよくわかる。
軽いタッチの短編を登場人物たちの語りという形式で統合した作品なのだが、そこには当時の科学的見識が満載。
著者であるチョーサーの博識ぶりが伺える。
語り口の軽妙さもおしゃれで、センスがいい。
おそらく僕の知識では本作のすごさを理解しきれないため、この程度の評価になってしまうのだろう。
今後、いろいろな本を読んで行ったら、僕自身のレベルアップにしたがって段階的に評価の上がっていく作品なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
長えええええええええええええ!!しかも文字小さいよさすが岩波文庫さん。読み終わるのに1カ月ちょいかかってしまった。
というか、訳注が膨大。こんなにくわしく調べた訳者桝井さんに敬礼!
さて『デカメロン』の影響で書かれたといわれるこのお話。私はどちらかというと、小さい頃読んだ『クレヨン王国』シリーズのたんぽぽ橋のお話を思い出した。
世界史とキリスト教をかじっているとより楽しめると思う。聖書から引用が多いらしい。
それも、女性が痛い目にあった話の後には男性が痛い目にあう話をと、構成がとっても素敵だと思った。むしゃくしゃしながら読まなくてよかった。……と思っていたのに、話の順番はチョーサーが最終決定し