高木徹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
面白い本は、電子書籍でも一気読みしてしまうんですね。
というか、電子書籍はどんどんリンクして読みすすめられるので、かえってヤバイ。
本書は、「戦争広告代理店」で一世を風靡したNHK報道ディレクターによる、<今起きている>情報戦を描いたものです。
「戦争広告代理店」と、その後に続く「大仏破壊」が激烈に面白かったので、高木さんの新刊が新書で出るというのには驚きとともに期待が高まりました。
その期待を大きく超えて、素晴らしい内容でした。
「戦争広告代理店」を読んで、面白かったと思った方にはお勧めです。
ごく最近の話題にも触れていて、知らずに居たことが多いです。
インターネット時代は、 -
Posted by ブクログ
国際メガメディアを使ったPR戦略が,国際政治を動かし,冷戦後の世界の紛争に多大な影響を及ぼしている。ボスニア紛争で注目されたこの手法が,国際世論をどう動かしてきたのか,その力学を,ビンラディンやボストン爆破事件,2020オリンピック招致を巡る駆け引きを通して眺めていく。
民族浄化というバズワードを設定し,切り取りやすいシンプルで明快な発言(サウンドバイト)をメディア受けする要人に語らせ,ミロシェビッチを極悪人として描くことで(サダマイズ),「セルビア許すまじ」と人々の感情に訴えかけたPR会社。その手口は洗練されていて,プロパガンダの新潮流を感じさせる。重要なのは,決して法に触れる行為はしないこ -
Posted by ブクログ
○NHKのディレクターで、数々のドキュメンタリー作品や著書のある、高木徹氏の著作。
○国際的に行われるメディア戦略や、情報戦の重要性について、アメリカのPR会社の担当者への取材や、メディアのキーマンへの取材、具体的な情報戦略の過程や結果を通じて、これからの日本のメディア戦略のあり方を描いた作品。
○単なるインタビューやニュースだと思っていたことの裏側に、これほどまでに深く・幅広い戦略が練られているということを初めて知った。また、とても興味深かった。
○単純にテレビや新聞を読んでいるだけでは分からないが、これからは、裏側の戦略についても、目を向けてみたい。 -
Posted by ブクログ
面白い。国際政治の舞台におけるPR会社の暗躍を描いている。
数ある一つの論点でしかなかったセルビア紛争を国際社会の主要論点化し、かつクライアントであるボスニアを善玉・相手国であるセルビアを悪玉に仕立て上げるプロセスが、非常にドラマチックに描かれている。
ゼロから作り出すことはできないが、クライアント国が持っている特徴のうち、良いものを最大限に引き出し宣伝する。また相手国が持っているネガティブ要素を誇張も含め最大限宣伝する。その宣伝方法においても、ロジックではなく感情に訴える。説明するのではなく、その映像や画像が引き起こす連想を戦略的に狙い利用すると。
痩せた上半身裸の白人・有刺鉄線。
何も説 -
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戦争広告代理店 高木徹 講談社
事実を断片的につなぎ合わせ
捏造されていく憎悪による恐怖社会を綴る
克明なドキュメント
ペンの力は往々にして
感情的なエコ贔屓を誘発し
武力を上回る狂気の暴力を発揮する
そこに利害を目的とする冷徹な
広告業が関わる情報戦を展開するのが
物質至上世界である
アンネの日記がそうであったように
世界中の人心を動かすこともあるし
綿密は計略によるキャッチコピーと
イメージ操作で生み出すことも可能だ
ホロコーストや民族浄化の一言で
一方的に偏った情報が世界を駆け巡り
凶器となって一人歩きし出し
手の付けられない勢いで
無垢な民衆を手玉に取り洗脳してしまう
一部分を -
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ネタバレドキュメント 戦争広告代理店
情報操作とボスエア紛争
著者 高木 徹
講談社
2002年6月30日発行
1990年代に起きたボスニア紛争。チトーなきあとのユーゴスラビアでは、スロベニア、クロアチア・・・と次々と独立をしていったが、3つめのボスニア・ヘルツェゴビナの独立の際、それに反対する新ユーゴスラビア連邦の実質主体国であるセルビアが非情なる軍事攻撃をしたとして国際的な非難を浴び、すっかり悪者になり、国連から追放され、後のコソボ紛争後には大統領が逮捕され、長期にわたって裁判にかけられる中、獄中死したという歴史がある。
現在(本が書かれた2002年)、セルビアの首都ベオグラード(旧ユーゴ -
Posted by ブクログ
「重要な情報こそ外部に発信し、それを武器とすることが国際社会で不可欠。情報戦とは、情報を少しでも多くの人の目と耳に届け、その心を揺り動かすこと。いわば出す情報戦。・・・いかに他の人に伝えるかが勝負」という前書きの筆者の説明が本書の内容を端的に表すもの。それを、ボスニア戦争、ビンラディン、オバマなど実例を使いつつ、具体的な展開を説明していく。日本への提言もあり。
名著であることは疑いない。但し、前著の戦争広告代理店の内容をまとめたというボスニア戦争時の情報戦の内容が非常にインパクト強く良く纏まっている一方、それ以降の話題がやや長くインパクトがボスニアほどではなく、読書の高揚感が徐々に薄れていく -
Posted by ブクログ
ボスニア紛争時におけるPR戦略の内幕について書かれた本。
著者はNHKのディレクターであり、「NHKスペシャル」の取材を元にテレビでは伝えきれなかった部分などを書き表したものである。
ボスニア紛争戦争時、10代だったので戦争そのものがあまり記憶にないけれど、登場人物であるミロシェビッチの名前は記憶している。
ということは、それだけメディア(とりわけテレビ)に取り上げられたことの証とも言えるだろう。
どのような内容でミロシェビッチの名前が登場したかは記憶にないが、本書を読む限り、それは悪者としてであろう。
今でこそ、政治家もPRを戦略の一つにするけれど、当時から諸外国ではそれが当たり前のことであ -
Posted by ブクログ
今(2016年)からたった25年ほど前までは、「如何に情報を守るか」が主流だったように思います。当時は「情報を出す」行為は基本として「ディスインフォメーション工作」の一環として存在し、それをどうやって見破るかが主眼だったと記憶しています。
現代においても「情報を守る」ことや「ディスインフォメーション工作」は当然存在しているのだと思いますが、それよりも、現代の情報化社会では「情報を出すことで、世論を形成する」ことが、より大きな影響を社会に与えることを本書は教えてくれます。
本書は序盤で、今では一般にも有名になった「ボスニア戦争」におけるルーダー・フィン社によるPR戦略で戦争の勝敗をも左右させ