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「情報を制する国が勝つ」とはどういうことか――。世界中に衝撃を与え、セルビア非難に向かわせた「民族浄化」報道は、実はアメリカの凄腕PRマンの情報操作によるものだった。国際世論をつくり、誘導する情報戦の実態を圧倒的迫力で描き、講談社ノンフィクション賞・新潮ドキュメント賞をW受賞した傑作! (講談社文庫)
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Posted by ブクログ
私は昔から民族紛争に興味があった。だから旧ユーゴで起きた悲劇も知っていた。偶然にも大学に入ってからセルビアに行く機会があって、偶然にも現地の大学生と交流する機会があったから、本当に軽い興味本位で、セルビア人女子大学生に、そのことについてどう考えるか聞いたことがあった。(彼女は教育専攻で、歴史教育の観...続きを読む点で面白い話を聞けそうだと思っていた。) 今でも覚えてる。美人で凛々しい彼女の顔が厳しくなり、血相まで変えながら、「全部、資料を読んだ?左から右まで全部。ボスニアの資料もセルビアの資料も、もちろんアルバニアのも。それら全部読んでから聞いてる?あなたがそんな軽い質問聞いたところでこの戦争はわからないと思う。」と言ってきた。 私は質問したこと自体を恥じ、深堀することを恐れてあまりその話題に触れないままここまできてしまったんだけど(だって全ての資料は読めないから!!)、やっとこの本を読み終えて、彼女がなんであんな強い口調で私に詰問したのかわかった気がした。「あなたもPR戦略に乗った歴史を学んでいるんでしょ?」彼女はそう言いたかったんだと思う。 私たちが見てる政治ってなんだろう。歴史は?戦争は?正義って何?人の感情を巧みに探り当て、ピンポイントで狙ってくるPRは大きな力を持つ。世界の“事実”は広告の力でできている...リアルにそう思えてくる。 だからこそ、私は情報に対するリスペクトとコストをかけたいと思う。 おそらく高木さんには、まだ載せてない情報があると思うんです。時効になったあたりでもう一度書いて欲しい。 とても良い本を読んだ。 おすすめします。 l
いやー面白かった 政治はいかにメディア戦略が大事か 大衆にどう見えるかによって世論は大きく変わり、それにより政策が決まっていく 戦争でさえも。 どう立ち回るかってのは政治に限らず全ての仕事で効いてくるわけだよなぁ 私はド下手ですが
本書は2025年からの視点で見れば新しい古典になりつつあると思う。当時(1990年代)は一方向性のメディアの活用がPR戦略において重要であったが現在はSNSを活用した戦略が不可欠だ。その点が古典であると言えるだろう。 また本書で述べられているような手法は、その後のあらゆる場面で応用されある種、使い...続きを読む古された手段となっているだろう。そして受け手の大衆からしたら彼らの手法に辟易としているのではないだろうか?この陳腐性が古典であると考える2つ目の理由だ。 話は飛ぶ。あまりない例だがプロの手が入った情報戦略よりも素人がだす切迫した情報の発信の方が多くの方から共感を浴び窮地から逃れるという点に置いて、素人のPR手法が成功するケースもあるにはある。 当然インターネット時代においても広告代理店の影響力は広告戦略においてますます増大していると言える。先の兵庫県知事戦においてもPR企業の暗躍により現職の再選が実現したと言われている。 しかし、上記のような例外のケースも我々は知っている。正直に言ってPR企業の存在の必要性は理解できても倫理的に拒否感を抱いてしまうが、それを避けるためにこの手垢のついたPR戦略とは違った戦略の構築が必要になってくるだろう。 キーワードは、徹底的に正直になる、ということではないだろうか?世の中において反倫理的な行動をしないという人物、法人は皆無に近い。その中で自らのネガティブな情報も徹底的に開示し理解、共感を得ることは状況を有利にすることが出来る可能性もある。当然許容範囲もあるだろうが… ミスリーディング上等の力技によって大衆を煽るような従来のPR手法では大衆の情報選択の高度化によって通用しなくなるのではないだろうか?
NHKディレクターの筆者が遠いバルカン半島での紛争マネジメントの逐一を丁寧な取材で描き出した良作。ユーゴスラビア連邦(セルビア共和国)と積年の紛争を抱えるボスニア・ヘルツェゴヴィナ共和国が、国際広告代理店であるルーダー・フィン社のジム・ハーフのサポートを得て、如何に国際社会のサポートを得て、国際的な...続きを読む外交交渉で取るに足らないボスニア・ヘルツェゴヴィナ共和国を檜舞台に立たせたか、メディア対策と演者の振り付け、場合によっては共和国軍事顧問や関係者の更迭など手段を選ばない緻密な戦略によりPR業務を遂行した様が描かれる。外交とは如何に砂上の楼閣であるか、一部のスキルをもった人間の技で多国間関係が築かれているか、国際社会の現実が描き出される。
ボスニアヘルツェゴビナ紛争における影の律役者、アメリカのPRカンパニーに焦点を当てたドキュメント。ユーゴから独立したばかりの一小国がいかにして国際社会の支持を勝ち取ったのか。戦争においては軍事力だけでなく情報戦を制することが重要であるということがよくわかる本である。一民間企業であるアメリカのPRカン...続きを読むパニーがアメリカのメディアを動かし、ついには国連の支持まで取り付けた一方、動き出しの遅かったセルビアは孤立を深めていく一方であった。戦争に限らずビジネスにおいてもいかに情報戦を制し、指示をとりつけていくのが大切かを学べた本であった。
昨今の戦争において、武器以上に恐ろしい力を持つものがある。それは情報である。PR(public relations)とは、CM政界、官界などが、公共において価値のあるものを大衆に伝えて、信頼や協力を得られるように広告活動をすることである。本書は、あるアメリカの広告代理店が、セルビア共和国の紛争に対...続きを読むして、情報によってどんな力を発揮するのか、その過程について注目していく。 チトーが亡くなった後、ユーゴスラビア連邦内は分裂して次々に独立する。ユーゴスラビア連邦政府は依然として残っているが、政権は実質セルビア共和国の大統領ミロシェビッチが掌握した。そんな複雑怪奇な旧ユーゴスラビア諸国であるが、なかでも複雑なのがボスニアヘルツェゴビナである。本書によると、この国家の民族構成は、四割強がモスレム人(中世オスマントルコ、キリスト教からイスラム教に改宗した人々の末裔)、三割強がセルビア人、二割弱がクロアチア人となっている。このような多民族国家は、民族間の対立が激しく、ボスニアヘルツェゴビナ内のセルビア人は独立を望んでいた。 アメリカ、ルーダー・フィン社のジム・ハーフは、旧ユーゴスラビア内の紛争に向けて、政府と協力してボスニアヘルツェゴビナ側を支持しようと目論む。彼は世論形成するために工夫するが、相手の話を聞く、慎重に言葉を選んで答える、この二つは原則として守っていた。またルーダー・フィン社の方針として、明らかな不正手段に加担せず、モラルを重視すると誓う。このようにたとえアメリカ側が有利な戦略を立てた場合でも、露骨な不正を働かなかった。 先ほど述べたように、たしかに不正行為はしなかったが、その代わりに言葉を巧みに使って相手のイメージを下げた。そこで誕生したのが「民族浄化」である。「ジェノサイド」や「ホロコースト」など、セルビアをナチスと同等の扱いをしてしまうと色々とまずいため、新たな言葉でセルビア共和国およびその指導者のミロシェビッチに対する印象操作を行った。しかも短期間のうちにさまざまなメディアで同じ発言を繰り返すことで効果をより高めた。その結果、セルビア共和国のイメージはよりいっそう悪くなった。このように、情報が武力以上の力を世界中で発揮した一例だと本書を読んでわかるだろう。 著者は日本の外交当局のPRセンスについて言及しており、アメリカの高級官僚のように、民間から役所と官僚組織の外での経験がないため、組織として膠着状態であると批判する。この状態が続くと、国家としての日本の勢いが今後弱まるという。
ボスニア紛争について知りたくて購入。 戦争広告代理店という題名に気になりました。 読んだ後の感想は戦争広告をする広告代理店というよりは 小国同士によるPR戦争の内幕。 如何にしてボスニアヘルツェゴビナはPR戦争に勝利し、セルビア共和国、ユーゴスラビア連邦は敗退したのか?
1992年3月のボスニア・ヘルツェゴビナの独立宣言を機に勃発した、ムスリム人、セルビア人、クロアチア人の3民族によるボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(本書では、「ボスニア紛争」と呼んでいるので、以下、「ボスニア紛争」と呼ぶ)における「PR戦争」を取材し、「NHKスペシャル 民族浄化~ユーゴ・情報戦の内幕...続きを読む」というドキュメンタリー番組をプロデューサーとして制作した筆者が、その番組を書籍化したのが本書である。番組は2000年10月29日に放送され、書籍は2002年に発行されている。 ボスニア紛争では、「モスレム人=被害者」「セルビア人=加害者」という図式が出来上がり、ユーゴスラビア連邦への経済制裁や国連追放、NATO軍によるセルビア空爆にまで結びついた。しかし、実際にはそのような単純な話ではなかったということを、筆者は本書に以下のように記している。 【引用】 私は、バルカンで起きた悲劇には、セルビア人だけではなく、モスレム人にも、もう一つの紛争当事者であるクロアチア人にも責任があると考えている。それでも国際世論が一方的になったのは、紛争の初期の時点で、それまで国際的な関心を集めていなかったボスニア紛争に、「黒と白」のイメージが定着してからだ。このイメージは、その後のコソボ紛争でも、セルビア人=悪、の先入観のもととなり、NATOの空爆にまでつながった。 【引用終わり】 紛争の初期段階で、ボスニア・ヘルツェゴビナは、自国の独立の正当性と、セルビアによる不当な弾圧を訴えるために、外相を世界中に派遣する。外相は、国連・EC・アメリカ・アラブ世界等、あらゆる場所で、それを訴えるが、なかなか関心を呼ぶことは出来ない。特にアメリカでは、バルカンというヨーロッパでも中心とは言えない地域での内部紛争という理解をされ、期待していたサポートを得ることが出来ない。 そのような状況の中、ボスニア・ヘルツェゴビナは、アメリカの大手PR企業と契約を結ぶ。そして、PR企業は、セルビア人=悪、ボスニアヘルツェゴビナ=被害者という世論をつくるために、様々な活動を行う。本書は、その実際の活動を描いていく。 結果的に、ボスニア・ヘルツェゴビナは、意図通りの成果を得ることに成功する。その成果を得るために、PR企業の活動が果たした役割の大きさは正確には測定できないが、本書を読んでいると、仮にボスニア・ヘルツェゴビナがPR企業と契約せずに、単独で活動を続けていたとしても、絶対にこのような成果を得ることは出来なかったであろうことは、想像できる。 感想はいくつかある。 まずは、国際政治、特に地域の深刻な紛争の当事者が、このような形で、営利企業であるPR企業を活用しているということに対しての驚き。紛争は軍事力だけの闘いではない。世の中を味方につけられるかどうかによって、結果は大きく変わるということだ。今回のロシアのウクライナ侵攻についても、ロシア=悪という構造が出来ているが、ここにも、何らかのプロの仕事の結果が影響しているのかもしれない。 次に、本書に登場するPR企業、および、このプロジェクトを担当するチームのプロとしての仕事の鮮やかさに感心する。大胆な戦略と細心の注意を払った実行。それらの作戦が実際に効果をあげていく様子は、読んでいて一種痛快であった。 また、本書中に筆者も書いているが、こういった国際政治を舞台にした情報戦で、日本はちゃんとやれているのかという心配。政府、外務省にこのようなプロはいるのか、あるいは、外部のプロをきちんと活用出来ているのか。いや、出来ている感じは受けない。 約30年前の出来事を扱った、約20年前に発行された本であるが、そのような古さは全く感じず、楽しく読めた。
ボスニア紛争の裏でボスニア・ヘルツェゴビナのPR企業としてルーターフィン社がどのように立ちまわったのか。 どのようにして国際世論を作りセルビア人を悪者に仕立て上げたのか。 普段私たちが触れているニュースも背後で発信者の思惑があることを忘れてはならないと思った。
これは映画にできる! 次々に起こる驚きの展開! ここに書かれている内容は、まさに外交の真髄。 真髄を外部エージェントがセットアップする驚き。
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