森内俊之のレビュー一覧
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苦しい。が、そこがいい
羽生世代の間違いなくトップを争って戦ってきたプロ棋士の半生記。
そのトップ棋士からみても圧倒的な力で棋界に君臨する羽生さん。
その背中を同世代として追い続け、捕まえようと懸命に追いかける半生。
見開き1ページの文中に何度も羽生さんの名前が登場し、羽生さんに憧れて、崇拝しつつも戦い続ける姿がなんだか少し苦しい。
永世名人の資格を羽生さんよりも早く手に入れた実積を持ちながらも、自身を選ばれし者でないと言う森内さんの文章は、なんだか四方八方をなにかに囲まれながら進んできたような不自由さを感じた。
でもそこが、リアルで、なんというか圧倒的にいい。
ビジネス書や自己啓発的な面白さを求 -
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人間の知能を超えたシンギュラリティ時代に、ニンゲンはすることがなくなるなどという話がある。
将棋の世界では、2013年、人工知能AIと対戦する「電王戦」で現役のプロ棋士が初めて負けた。その時から、人工知能に勝つことは困難になり、将棋シンギュラリティ時代となった。将棋は、人間対人間の勝負として行われている。そこに目覚ましく登場したのが、藤井聡太だった。将棋ブームが巻き起こった。人工知能は、正解に限りなく近い答えを瞬時に示してくれる先生となった。将棋の有効局面数は、10の68乗から69乗とされている。人間はとても、覚え切れるものではない。
人工知能が浸透することで、対局中の形成判断もリア -
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ネタバレ将棋棋士と言えば、羽生善治先生くらいしか知らないという方も多いでしょう。
この本の著者・森内俊之先生は、羽生先生と同年代で、小学生の頃からのライバルなのです!
40代になって竜王・名人というタイトルを手にした著者の勝負哲学は、合理的かつクール。
ドラマチックな逆転の好手に対しても、「プロ棋士の対局で驚くような逆転が生まれるのは、相手が致命的なミスをしたときだけだ」とバッサリ(笑)
(タイトル戦二日目の昼食にカレーを食べる理由も解説されてます!)
その一方で、ライバルの羽生先生への思いは強い。本当に強い(笑)
数えてはいませんが、平均すれば見開きに1回くらいのペースで「羽生さん」と言ってるん -
Posted by ブクログ
少し前に、森内俊之が会社の同期の中高生時代の同級生ということを知り、それもきっかけとなって読んでみました。
羽生善治の本を読んだ時には、「キレ」のようなものを感じましたが、森内俊之は、ひたすら謙虚で、この本からは、「キレ」のようなものはほとんど感じませんでした。
きっと、まったくタイプが違うんでしょうね。
将棋などで、強い者どうしが対戦するとき、同じ場面では同じように考えるものだと思っていたのですが、まったくそうではないのですね。
言われてみれば納得ですが、新鮮な驚きもありました。
ちなみに、タイトルの『覆す力』は、あまり中身と関係ないですね。
強引に結び付けられないわけでは -
Posted by ブクログ
ネタバレ一読して森内名人の円熟した人間性を感じました。謙虚に将棋に取り組み、敬い、親しんできた人生なのだな、というのを感じます。
将棋は完全な個人戦。
「勝負をひっくり返す妙手はないが勝負をひっくり返すミスや悪手はある」
「ミスは一回までなら取り返しがつくが二回やると取り戻せない」
「負けてもいい。負けるときは次につながる負け方をするべき」
羽生世代といわれる名人。羽生名人の強さ、棋風についても触れられていて、「これといった印象的な手はないのだがいつのまにか自由自在に局面をあやつられ、最後に負けてしまう」「羽生名人がミスをしても、実は何か意図があるんじゃないかと深読みしてこちらが自 -
Posted by ブクログ
勝負の世界に生きる人たちの考え方や習慣に興味を持って、羽生さんの「迷いながら、強くなる」の直後に読みました。私が完璧主義で打たれ弱い人間なので、厳しい状況でも前に進み続けるためのヒントが得られれば、というのがこの本を手に取った動機のひとつです。
自分を知って、受け入れ、自分に合った努力していくことで道が開けた、というのが本書の一番のメッセージだった気がします。そのためにはやはり余裕や自信は大事だな、と思いました。成功7割、失敗3割という言葉が出てきましたが、失敗との付き合い方、成功体験の作り方を私なりに考えていきたいです。
「ビジネスに役立つ勝負哲学!」というあおりから想像していたよりも自