【感想・ネタバレ】超進化論 藤井聡太 将棋AI時代の「最強」とは何かのレビュー

あらすじ

「最年少名人」「史上初、八冠」で大注目!
藤井竜王・名人解説本の決定版!!!
読めば将棋が100倍面白くなる!!
〝ガチ勢〟も〝観る将〟も〝にわかファン〟も必読の書!!!


14歳2か月、史上最年少のプロデビュー後、
次々と将棋界の記録と常識を塗り替えていく藤井六冠。
異次元の力とAI(将棋ソフト)という2つの激流の中で、
将棋の世界は急速に大きくそのスタイルやロジックを変えつつある。

〝羽生世代〟レジェンド棋士が読み解く
〝令和の覇者〟の「異次元の強さの秘密」と、
彼が切り拓く「将棋の未来」とは――。

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Posted by ブクログ

 人間の知能を超えたシンギュラリティ時代に、ニンゲンはすることがなくなるなどという話がある。

 将棋の世界では、2013年、人工知能AIと対戦する「電王戦」で現役のプロ棋士が初めて負けた。その時から、人工知能に勝つことは困難になり、将棋シンギュラリティ時代となった。将棋は、人間対人間の勝負として行われている。そこに目覚ましく登場したのが、藤井聡太だった。将棋ブームが巻き起こった。人工知能は、正解に限りなく近い答えを瞬時に示してくれる先生となった。将棋の有効局面数は、10の68乗から69乗とされている。人間はとても、覚え切れるものではない。

 人工知能が浸透することで、対局中の形成判断もリアルタイムでわかるようになった。プロの棋士同士でも「今優勢なのか、劣勢なのか」の判断が容易につかない。将棋は人工知能と対決から共存になった。

 ここに、シンギュラリティ時代の人工知能に対しての向き合い方がわかる。

 この本の著者は、1971年うまれで、羽生善治と同年である。第80代名人、竜王、王座、棋王などのタイトルを獲得している。同年であるが故に羽生善治の天才ぶりをしっかりと見つめてきた。著者は、その羽生善治を破って登場した藤井聡太がなぜ強いかを分析する。

 藤井聡太が14歳の時に、50歳の羽生善治に勝利している。14歳2ヶ月で、4段昇級しプロ入りを決めた。その後、2016年に、62歳年上の加藤一二三に勝ち、プロデビューを果たした。その時、公式戦初勝利の史上最年少記録を14歳5ヶ月で更新した。その後29連勝という偉業を成し遂げた。そして前人未到の八冠王になったのである。とにかく、若き将棋界のスーパースターとなった。眩いばかりの実績である。

 藤井聡太の強みは、小さい時から詰将棋が好きだということにある。2015年3月の詰将棋選手権で史上最年少優勝を果たした。その後5連覇する。それが、終盤に強いと言われる要因である。AI将棋に出会ったのが、中学2年の時だった。藤井聡太は、AI将棋をうまく味方に使っている。
 藤井聡太の通算勝率は8割を超えている。2023年7月で331勝66敗(8割3分3厘)。7割超えれば一流と言われる。羽生善治は、2218局で通算勝率6割9分4厘である。

 著者は「本人の傑出した天賦の才と、ひたむきな日々の研鑽の賜物」という。将棋に必要なことは、深く正確な読みと判断、そして決断力であり、メンタルの強さと平常心を持っている。藤井聡太は常に最善手を追い求めている。さらに自分が指しやすい形に持っていく。最後まで諦めない勝負の姿勢がある。勝負の達人だった大山康晴15世名人は、「人間は間違えるので勝負がつく」という考え方である。将棋は好手で勝つゲームではなく、いかに悪手を指さないかで差がつくゲームである。

 藤井聡太はいう「確信がモテない段階で勝敗をはっきりさせにくい手を選ぶのは、やはり危険なので、そういう賭けのような一直線の手は、迷う時には選択しないようにしている」
 将棋には、美しい、筋がいい、際どい、味がいいという美学も存在する。
 藤井聡太はいう「自分も常識にとらわれず将棋に向かっていく、革新的なところを大事にしていきたいと思っているんです」「指していく中で、自分の棋風のようなものが出せればいいなとは思うんですが、特徴は裏を返せば、弱みになってしまう可能性もある」「対局は決断の連続なので、対局の時だけは、自分を信じてあげることが必要かなと思っています。どういう状況であっても、自分を疑ってしまうよりは、自分を信じて指そうと」

 藤井聡太は、将棋の本質へ迫る純粋な思いがある。
 この本を読みながら、藤井聡太のひたむきな将棋の思いがよく伝わってきた。まさに、将棋に真正面から立ち向かっている。2002年7月生まれ。現在22歳。さて、この将棋の天才はどこまで上り詰めるのか?そして、藤井聡太を破るものは誰か?楽しみである。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

元名人で永世名人の資格を持つ森内俊之が分析する藤井聡太論。

これまで様々な棋士が藤井聡太を分析したが、実際の棋譜を用いて分析していたので説得力があった。
また羽生九段との比較論も面白かった。

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2023年12月05日

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