釘原直樹のレビュー一覧
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インドネシア・ガルーダ航空離陸失敗事件は聞いたことがあったが、集団の心理をよく表している好事例として改めて学ぶことができた。集団が残酷になり個人ではしないような決断をしてしまうことはよく分かっているものの、理論としてまとまっている本を読むことは初めてだった。ベストセラーのサピエンス全史には、人間が繁栄した理由に大規模な集団として行動できる特異性が挙げられていたが、人間という種が持つ特殊な集団での意思決定という行為に改めて注目してみると、今の官僚機構や政治がある程度機能していることはすごいことだと思う。数百単位で行動する生物とすれば、蟻や昆虫、ヌーや魚など?が挙げられるように思うが、意思決定の高
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本書は、身につまされる本である。手抜きを無くすことにとどまらず、個人として、集団としてどうすれば生産性を向上できるかを解説している。
集団にとって手抜きが厄介なのは、それが周囲に感染っていくという特性を持つからだ。
手抜きとはなんであり、どうして起こり、どうやったら防げるのか?
本書では、その原因やメカニズムについて、数多くの実験や研究をもとに究明していく。
気になったことは以下です。
・ある会社では、会議が1日に占める割合は3割にも達している。非効率な会議の背景には、「社会的手抜き」のメカニズムが働いている
・集団のサイズが大きくなればなるほど、一人あたりの手抜きの量は大きくなる。集団 -
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「個人が単独で行った場合にくらべて、集団で作業を行う場合のほうが1人当たりの努力の量(動機づけ)が低下する現象」(p.ii)を「社会的手抜き」と呼び、「社会的手抜きと関連があるさまざまな社会現象を取り上げ、社会的手抜きの視点から分析」(p.239)した本で、具体的には「生活保護の問題、投票率、仕事中のインターネットの私的利用、八百長、集団浅慮、援助行動、カンニング、リスク行動、腐ったリンゴ効果、フリーライダー効果など」(同)を扱っている。
おれは教員をやっているから、もちろん個人の発達の課題とか、カウンセリングとか、そういうものにも興味はあるけど、むしろそれよりも学級経営や集団授業をする視 -
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【文章】
とても読み易い
【ハマり】
★★★・・
【共感度】
★★★★・
【気付き】
★★★・・
手抜きの要因
・低い評価可能性…「がんばっても評価されない」
・努力の不要性…「自分がやらなくもアイツがやってくれる」
・手抜きの同調…「アイツもさぼってるなら自分もさぼる」
・緊張感の低下…「いつも同じ作業ばかり」
ブレストは社会的手抜きが発生しやすい。
解決を探すのではなく、問題を悪化させる方法を探る「リバース・ブレイン・ストーミング」などが有効。
システムである人の集団から手抜きを無くすのは難しい。手抜きをする人も多様性の一部であり、それを意図的に排除してしまうとシステムが崩壊す -
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■社会的手抜き
個人が単独で作業を行った場合にくらべて、集団で作業を行う場合のほうが1人当たりの努力の量(動機づけ)が低下する現象を社会的手抜きという。
■社会的手抜きの原因
・「道具性」欠如の認識:「自分が頑張っても、それが集団全体の業績にはあまり影響しない」
・「努力の不要性」の認識:他の人がしっかり仕事をしているので自分が頑張る必要はない
・「評価可能性」欠如の認識:たとえ頑張ってもそれが他の人にはわからないので評価されない
…日常、指導的な立場にある人が緊急時でもリーダーシップをとることが明らかになった。上司は上司として、父親は父親として、その役割を果たそうとする傾向がある。よ -
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集団での作業努力が個々人の努力量の総和よりも低下する現象「社会的手抜き」を、綱引きや居眠り、生活保護や投票に至るまで数多くの具体例を提示しながら、その対策について論じている本。
ここで明らかになるのは手抜きが、ただの怠惰だけではないということだ。
例えば、仕事中にインターネットの利用などのサイバー手抜きを行うと気分転換ができたり、士気の上昇などが確認されている。また、集団サイズが大きい場合において、手抜きに対する許容度が大きければ、社会的手抜きの悪影響を受けにくいといった報告もある。
このような手抜きの性質を筆者は、1.努力の不要性、2.道具性、3.評価可能性を挙げて説明を試みている。
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