釘原直樹のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
筆者の中公新書の本を読んで面白かったので、追加で購入。
内容的には同じことが書かれているけれど、この本の方が読みやすく、また「手抜き」を少なくするための考え方や方法が詳しく載っている印象。
結局のところ、人は面倒くさがる生き物なんですね。この面倒くささを逆手に取ることで、じゃあこっちの方が得かな、楽かな、という意識にさせることもできる。うん、なるほどね。
これに関しては、オプトイン(自分にその意思があれば選択)、オプトアウト(反対したい場合のみ選択)方式も挙げられている。
たとえば、駐車場に白線を引くとか、靴を置く場所に靴型の枠を取るとか、こういったことをするだけで、行動が修正される。
面白いのは神の目効果で、電柱の鳥居マークしかり神様が見ていることを意識させることで、一定の行動変化に繋がるらしい。
まぁ、そんなもの一切効かない人もいるだろうけど、それはやる気のあるなしではなく、社会性という所で何か考えることがあるような気がする。
数字が大きくなるほど、共感が低くなるというのも覚えておきたい指摘だった。
二万人の中で一万人救えます、と、二十九万人の中で二万人救えますなら、前者に寄付をする率の方が高いという。
一万人と二万人の違いというより、確率の違い(前者は半分救えるわけだし)は関係ないのか?と思いつつ……。自分にとって関係があると思えるかどうかは、もちろん行動の大きな基準なんだろう。 -
Posted by ブクログ
組織などの集団において、どうして手抜きやフリーライダーが現れるのだろう。
たとえば、作業内容に要因があるのか。
集団のまとめ方、指示の仕方なのか。
その人の生い立ちや性差、性格によるのか。
様々な方向から検証が行われているので、読んでいると、自分が考えるヒントになった。
結局のところ、手抜きを生じさせないことは難しそうだ。
特に、外発的な動機付けでは限界がある。(まぁ、ここは予測していたけれど)
しかし、集団における内発的動機付けってどうやってやるの?というところも、第8章でヒントが散りばめられていて、ありがたい。
そして、手抜きは時に周囲のためにも必要になってきたりする。確かになぁ。 -
Posted by ブクログ
なぜ人は集団になると怠けるかを中心に関連する行動分析の話、生活保護の問題、仕事中のインターネット私的利用、スポーツなどに広がり思っていたよりは楽しく読める。
チームで働いている私にとって、最近のチーム内の行動の理解が、深まったなと思う文章が幾つかあり、その感覚は面白かったな。
【学び】
社会的手抜きが生じやすいシーン:評価可能性が低く、自分のパフォーマンスが自分の報酬とならない場合、自分が努力しても集団全体のパフォーマンス向上に殆ど役に立たない場合
集団でブレーン・ストーミングを行って出た意見より、単独でアイディアを出した作業の方が、多くの良いアイディアが出た。
ブレーン・ストーミングは集団のメンバーに主観的満足感をもたらす傾向があるが、アイディア創出数は個人より劣る。
→先日自社で行った研修もまず、自分の意見を考えてから、ブレーン・ストーミングだった。理にかなっているのか。
リスクホメオスタシス:チェック体制を多重化したり、安全技術を導入したりすることによりリスクが低下したと認知すると、かえって人間の行動はリスクを高める。チェックは二人までが良い。それ以上だと機能しない可能性あり。
スポーツ選手が「応援よろしくお願いします」と言うが、試合の勝敗にはそれほど大きな効果は無いようである。
集団の中に腐ったリンゴが一人でも入れば、作業効率は低下するが、複数いた場合でも低下率はあまり変わらない。
腐ったリンゴに罰を与えるより、腐っていないリンゴを活性化させる方が効果的な改善方法である。
罰は長期的には与える側にも、受ける側にも良い結果をもたらさない。また、努力とは無関係に与えられる報酬は動機付けに影響しないが、努力とは無関係に与えられる罰は動機付けを極端に低めてしまう。
報酬と罰の効果は非対称である。 -
Posted by ブクログ
あらゆるシーンにおいて起こる、「社会的手抜き」について多くの具体例をもとに一般向けにまとめられた一冊。
多くの実験例が挙げられていて、その方法論を眺めるだけで面白いです。
「そうやって、被験者に思い込ませて条件付けをするのか、なるほどなー」というノリで見ることができます。
一時期の「ブレスト万能説」はちょっと怪しいということがわかりました。
「とりあえずブレストしよっか!」と言ってくる意識高い風の人には気を付けようと思います(笑)
結局、社会的手抜きを完全になくすことは難しいとの結論ですが(そりゃそうだろう)、そうやってエネルギーの調節をすることで、人はそれぞれの場面での役割を演じているのではないかと思います。そうしないとパンクしてしまいそう。
ただし、動機付けや意識の持たせようである程度は「社会的手抜き」はコントロールでき、そこの工夫がリーダーの力のみせどころ。そのあたりについては深くつっこまず、特に目新しさも無く……。
筆者も書いているようにあくまでも一般向けの心理学入門書なので、論理の飛躍がないようにまとめると、こうなるのは仕方がないように思います。
そういう点も含めて、丁寧かつ誠実な入門新書です。 -
Posted by ブクログ
一人だけで行動する場合と集団でやる場合。どちらのほうが一人あたりのパフォーマンスがあがるのだろうか?
人間に限らずネズミやゴキブリなどの動物もほかの個体から「見られてる」場合は、気分が高揚しパフォーマンスがあがることがわかっている。チームのメリット。
一方で個人が単独で作業をした場合よりも集団で作業をした場合の一人当たりの努力の量が低下する現象を社会的手抜きという。チームのデメリット。
本人がサボってるつもりはなくても心理的にさぼってしまっう。これは心理学者のリンゲルマンによってリンゲルマン効果として名付けられた。
意思決定の場合も、三人集まれば文殊の知恵になるケースもある一方で集団的浅虜もある。これを防ぐには、リーダーは聞き役に徹し、最終決断をする場合にはじめて意思表明するとことをジャニスは提言。またリーダー抜きの会合をするとか集団の構成員の凝集性を高めないなどが対策。150
では社会的手抜きを回避するにはどうすればいいか?214
監視したり罰をあたえるのは効果なし。社会的手抜きをしない人を選考することが大事。その逆に腐ったリンゴは早期排除が重要。割れ窓理論と同様に波及する。227 -
Posted by ブクログ
ネタバレまず、タイトルにある「社会的手抜き」とは何かというと、それは以下の通りであ。
「このように、個人が単独で作業を行った場合にくらべて、集団で作業を行う場合のほうが一人あたりの努力の量(動機づけ)が低下する現象を社会的手抜きという。」(p.11)
例えるなら、運動会の綱引きで、周囲が一生懸命綱を引いている中、顔だけ引きつらせて綱を引くフリをしている、そんな感じでしょうか?
褒められたものではないですね。
でも、そんな褒められたものではない社会的手抜きですが、かのビートルズも社会的手抜きをしていたという研究が紹介されています。
この研究結果が面白い!
「その研究では1963〜70年の作品の中162曲について、曲の良し悪しと、ジョン•レノンとポール•マッカートニーそれぞれの単独作品であるのか、それとも両者の共作であるのかについて調べられ、分析がなされている。(中略)もし共作(とくに1996年以降)のほうが単独作よりも質が悪いということであれば、共作では手抜きをしていたことになる。質の指標として曲がシングルカットされたかどうかということ(出来が良かったものはシングルカットしたと、当人たちが述べている)と、人気投票であるビルボードマガジンのチャートの順位を用いた。分析の結果1967年以前はジョンとポールの単独作品のシングルカット率は37.7%であり、共作は52.9%であった。しかし、67年以降はこの傾向が逆転し、単独作品が21%で共作が15.4%となった。チャートランキングについてもこれと同じような傾向が見られた。『ハロー•グッバイ』という1967年の共作の中に、『君はイエスと言い、
僕はノーと言う。君は止まれと言い、僕は進め進めと言う』という歌詞がある。2人の志向性に違いが生じ、共同作品には単独作品ほどのエネルギーを注がなくなったということかもしれない。」(p4)
恋人同士の別れの曲かと思っていましたが「ハロー•グッバイ」って、そういう意味だったんですね!
そんなビートルズの不仲(?)を曲にして売っちゃうのもどうかと思いますが。
でも、こんな例を元にして、自分の身に置き換えて見たとき、結構思い当たりませんか?社会的手抜き。
私の周囲にもありますし、私自身も恥ずかしながら、そういうところあります。
本書を読むうち、そうやって自覚が芽生え、対策も思いついてきます。
心当たりのある方、一度手にとってみたらいかがでしょうか?