宮脇俊三のレビュー一覧
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鉄道紀行作家の大家、宮脇俊三氏のいわずと知れたデビュー作。
発表当時の反響がいか程であったか、当時5歳だった僕がリアルに知る由もありませんが、鉄道マニア、特に乗りつぶしマニアという人種が世の中にいる事を世間に広く知らしめた作品。今で言うところの「鉄子の旅」みたいなものでしょうか。
とは言え、本書をマニア向けと色眼鏡で見てしまうことは全くの誤りで、これはもう立派な文学であり、一代記です。「墓石を彫り上げたような」というご本人の感慨にも成程と納得させられるものがあります。もっとも、氏の作家人生はここがスタート地点だったわけですが。
サラリーマンとして人並み以上の働きをされ、家長として程ほどに( -
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鉄道紀行の大家による、異色のミステリー短編集。全18話(雑誌連載当時は20話だったらしい)に殺人シーンは一度も出てきません。それでも人は死んでいるかもしれない、あるいは全て思い過ごしなのかもしれない。描かれるのは、殺してやろうという、あるいは殺されるかもしれないという心理描写。その心模様が地理にことさら造詣の深い作者による風景描写と織り交ざって、何とも不思議な読後感を与えてくれます。
本業ではないジャンルだけあって、筆致にはどこかぎこちない部分もあります。特に、女性の一人称語りには少々違和感が。でもこれ、"プロ"のミステリ作家には書けない作品でしょうね。門外漢だからこその -
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私が小学生の頃話題になってましたが、まさかこの歳になって読むとは思わなかったです。っていうか、読み鉄なのに何故今まで気がつかなかったのだろうと(苦笑)
物語のスケールの大きさにもびっくりしましたが、ディーゼル機関車が客車引っ張っていたり、荷物車が繋がっていたりといった昭和レトロな鉄道風景の描写が、とても懐かしい気持ちにさせてくれました。
又、私も時刻表読むの好きなんで(笑)タクシーで追いかけたり、時間調整でどこかへ寄ったりする場面では、思わず頷いちゃいました!
今は地方でも新幹線が走っている様な時代になっちゃったけど…やっぱり鉄道の旅は、こういうゆるい感じの方が好きだなぁ〜。 -
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小学生当時、時刻表が何よりの愛読書だった。
クラスに同様の友人がいたので孤立することはなかったが、多くの共感を求められる趣味でなかったことは確か。
そんな中、この本を読んだときの衝撃や如何に。不遜にも「仲間がいる」と内心叫んでしまったことを思い出す。
しかも著者は財力にものを言わせて新幹線も寝台特急も乗り放題。関西始発の夜行に乗るため新幹線との乗り継ぎという離れ業もなんなくこなす。
当時はもちろん会社人間が休みをとることの厳しさを何一つ知らなかったので、とにかく羨ましかった(笑)
いつかこんな大人になってやると思いつつ…果たしてなれたのかな?
2万キロはもはや超えられない壁、なのに全線完乗は未 -
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なんとなく気になって購入。いやあ、面白かったです。
百?先生ほどの鉄道好きではありませんが乗り物の中では鉄道が一番好きです。出かける際、大人数ならば車窓を楽しむもよし、本を読むもよし、友人と語るもよし。飽きたら寝ても良しな鉄道旅行がすきなのです。コレが車での旅行になりますと運転手に気を使ってお酒も飲めないし助手席で寝るなんてもってのほかですしね。
自分は数字に弱い人間なので時刻表なんて見てもトンと合点のいかない人間なのですがこういう見方があるんですねえ〜 そうなんだ。色々な線に乗ってみたくなりました。とりあえず是非北海道は鉄道で楽しんでみたいなあ〜 でも冬の季節に出かけるのはちょっと… -
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本の薄さに比して字の小さなボリュームたっぷりの時刻表の旅だった。綱渡りのような乗り継ぎや、うっかり寝過ごしたために想定外の美しい風景に出会ったりと、国鉄全線の完乗を目指した、時刻表を駆使した旅の紀行文。
私は鉄道ファンと言う訳ではないが、この著者の文章は読んでいて引き込まれる。ほとんど感傷的な気分などは書かず、かと言って冷たい訳ではなく車窓の美しい風景を知識とともに書き記す。見たままの事実を並べただけで書き手の意図が伝わるような、クスッと笑える部分も多い。
今の時代では書くと問題のありそうな描写も多々あるが、今の時代も書かないだけで気持ちはそうなんだよなー、なところが楽しい。
全線完乗し