TONOのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初読では海の世界の結末はキャンパスが全部持って行った感が強いことと、現実世界で美和がどうやって立ち直ったのかが書かれないことに物足りなさを感じたが、何回か読み直すにつれ、これしかなかった結末だったと思うようになりました。
まず、三人の人魚の兵隊の選ぶ道。
最強のひとりは人魚を守ることに対する違和感や倦怠を抱きながら、たった一人の人魚を救うために戻り、そしてそれが終わった後、自分が作った元いた世界のジオラマでその生を放棄した。
一番若い子供、そもそも珊瑚の作った世界の核でもある兵隊は人魚たちと共に珊瑚の作った世界から違う海へと出発する。
そして、最後の兵隊は『人魚の兵隊』として陸で人魚を守る道を行く。
珊瑚にとってソルトは失った淡い初恋対象の親友の現身(空想の世界だから逆だけれど)であり、彼が彼女自身の分身であるコーラルと物語の外へ向かうというのは区切りがついたということなのだろう。
幸せな家族がある日いきなり崩壊して、自分の出自すら不明という世界の終わりを見てしまった珊瑚が逃避した世界が終わり、新しい家族の物語が始まるという最終回。
きちんと輪が閉じているのは実にTONO作品らしい。
そして、ばっさり切り捨てごめんなのもTONO作品らしい。
例えばボイルの過去の思い出はなんなの?とふつう具体的に描きそうなものだが、あれはあくまでもボイルに普通の生活があったということの象徴とソルトの存在によりそれが呼び起こされ、人魚たちの理不尽さにいらだちを感じ、普通の兵隊ではなくなっていることが物語なのであって、それ以上書かない。
美和の立ち直りについても、具体的には書かない。
あくまで珊瑚が彼女をどう見るのかが問題なので彼女が立ち直ったということだけが物語上必要なのだ。
読者としては書いてほしい反面、それをいれると物語が散漫な印象になるかもしれないとも思う。
だから、この結末はベストだと思うのだが、淡々と閉じていく最終回は賛否両論になりそうだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ全巻読破。ネタバレありです。
さて、にちゃんまとめでも悪名高き『チキタ★GUGU』。
トラウマ漫画・後味の悪い漫画でとてもとても有名な作品です。
……なのだが。
まず一巻、ほわほわしたキャラクタが人間殺すだの美味いだの言ってるよオボア。
ラー・ラム・デラルという存在は、ばけもので、主人公であるチキタを喰おうとしたところ、とてもとても苦くって不味くって手が出せず、ばけものたちのあいだで「どんなに不味い人間でも百年経てばとても美味しくなる」という噂を信じてチキタを育てることにしました。
チキタの汗や涙はばけものたちにとっては猛毒で、ラー・ラム・デラルはいろいろな存在に変身できるばけものでした。あるときには男性、あるときには女性、あるときには子供、鳥やら魚やら。そしてそのからだは不死身であります。
そんなチキタとラーのへんてこりんな日常。
チキタの両親はとても有名なまじない師だか祓い師だもんで、チキタも羨望のまなざしを向けられるわけですが、当の両親はラーの胃袋の中で、なにも知らぬまま村の人々に助けを請われます。
チキタはラーと相談しては解決する、ということを繰り返すのです。
最終巻で涙腺が崩壊した。
いやもう、なんか、ね。
クリップやニッケルに関して、そこまで酷いようには見えなかったのは、きっとTONOさんのほんわかした絵柄のせいなのだと思う。
オルグの、おなかがすいてないからまた明日、を繰り返し、繰り返し、でもとても幸せそうな冒頭は、嗚呼、いっしょにいたいのね、と。
そしてまた、シャルボンヌ、水玉模様のくまは、無知だったがために自分を受け入れてくれた村の人々を死に至らしめてしまった。哀しい。
ニッケルも、女性であることは彼女のせいでもなんでもないのに凌辱されてしまうとか、わけのわからない一族に生まれてしまったがためなのだろうけれども、まあむなくそ悪いわよね。
キサス。彼はただただニッケルを愛おしんでいただけだのに、素直になれず、でも最期にはニッケルを救うために生きた。
ただ、ニッケルは、死にに行くとき、キサスや、母親や、キサスの弟チグルと向かうことになった。
そこが、とてもうれしくて、ほっとして、ほんとうに、つらい現実じゃ酷い目にあったけれど、みな、幸せになれるのだと、だから四巻は哀しくもありうれしくて、涙がとまらない。だから外では読めない。