齋藤なずなのレビュー一覧
-
匿名
購入済み読み応えのある一冊です。
作品はオムニバス形式になっており、ありきたりな日常に見えて他にないセンスを感じる会話劇が人生をなぞるように繰り広げられていきます。
どのお話も端々でくすりと笑えて、特に第3話では何度も泣けてしまいました。キャラクターの一人ひとりがとても愛おしいです。
また、紹介文に76歳の作家さんの御本とありましたが、古さはまったく感じられません(もし失礼な物言いだったらすみません…)
漫画の中にも時代を語り、その時の波を楽しむキャラクターが登場するようにいくつになっても感性はアップデート出来る。歳を重ねるほど物事の本質へ近づき、心に響く言葉を紡いでゆける。そんな未来への希望と尊敬の念を持ちました。
私は恐らく作者さんの孫世代にあたりますが、こんな風に老いていきたいです。素晴らしい時間をありがとうございました。 -
Posted by ブクログ
下巻も上巻に劣らず内容が濃い。冒頭の2章「落天女」「聖家族」
で描かれる岡本一平・かの子・太郎の芸術家一家の話だけでお腹
いっぱいになる。
それぞれに才能を持ち、それを開花させた家族の肖像はあまりに
も常識からかけ離れている。もしかして、岡本太郎氏が生涯、
独身を通したのは一平・かの子夫妻の影響があるのだろうかと
の読後感を抱いた。
「木曽路はすべて山のなかである。」で始まる『夜明け前』を
書いた島崎藤村。作品は好きなんだよ、私は。『夜明け前』を
携えて、実際に木曽路へ行ったことだってあるくらいに。
でも、人間として最低。姪の駒子さんに手を出して妊娠させた
のに、責任も取らずに自分は海外へ逃げ出しているんだもの。
本書では駒子さん関連でしか描かれていないが、藤村は確か
「戦陣訓」の作成に協力しているはず。
心の弱さを売りにして女性をたらし込んで、次々に心中未遂事件
を引き起こした太宰治を描いた「傷にしてナイフ」も秀逸。
「文人の愛と死」をテーマとしている本書だが、作者自身が
告白しているように宮沢賢治に関しては女性関連の内容を
描くことが出来ず、親友・保坂嘉内へ宛てた手紙を下敷きに、
男性同士の友情を描くのが精いっぱいだった模様。
代表作である『銀河鉄道の夜』のカンパネラのモデルであったと
言われる保坂氏。ならば賢治はジョバンニなのか。所謂、婦女子
が喜びそうな作品でもある。
北原白秋と2番目の奥様・江口章子さんを描いた「子象と雀」の、
章子さんの最期にボロボロと涙を流し、武者小路実篤の最初の
奥様・房子さんは「美しい村」に住み続け、平成元年まで
ご存命だったことに驚く。
ある程度は知っていた文人たちの生涯でも、異性への愛を視点
(宮沢賢治を除く)にすると違った側面が見えて来る。
それにしても取り上げられている文人の皆さん、やっていること
が滅茶苦茶すぎる。原題に置き換えたら炎上案件ばっかりなので
はないだろうか。
まあ、それが魅力と言えば魅力なのかもしれないが。 -
Posted by ブクログ
カラスのアップから始まる団地の日常?
ゴミ袋で満杯になったトラック。
一人で死んで、見つかって、ご近所さんが噂話をする。
家猫と外猫それぞれお世話する人。
6話とも死人の話し。
気分が落ちこんだらドーシヨウ?と恐る恐る読みはじめました。
「牛の行く」
泣いてしまった。
妻に先立たれ、一人で生活しているジジイ
今の「バァさん」って中身はケッコー豊かよ
と幽霊奥さんに言われても、バァさんを下に見ているインテリジジイ。が、
バス停で「律気な方」と言われて涙ぐみ、
バァさん達の仲間に。
私が先に行ったら?夫は大丈夫かしら?
最後のページに
何もかもみーんな
順ぐり順ぐり
なんだよね。
そう、死なない人はいないんだもの。