加藤聖文のレビュー一覧

  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    8月15日の東アジアに何が起きていたかをテーマにした、ありそうでなかった本。
    この本を読んでまず思うのが、現代の日本人の認識する「日本」と太平洋戦争時の「大日本帝国」の地理的概念が大きくかけ離れていることだ。終戦時点でさえ朝鮮・台湾・樺太・千島などは明確に日本領土で、満洲や中国華北、インドネシアにおいても実質的に日本が統治をおこなっていた場所が存在するのであり、その各所に「終戦」が存在する。そしてその内情は百種百様であり、「終戦」という一言だけでは到底片付けえない多彩さがある。
    敗戦する側が多種多様であれば、勝った側も多種多様である。ポツダム宣言に関するアメリカ・中華民国・ソ連のグダグダとしか

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    2024年08月18日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    [瓦解の日々に]1945年8月15日前後の韓国や台湾、中国などでの情勢をつぶさに観察することにより、かつて実在した「大日本帝国」がいかに崩壊し、それが日本人のメンタリティにどのような影響をもたらしたのかを研究した作品。「内地」の歴史だけからは知り得ない、大きな、そして異なる文脈での戦時・戦後史が浮かび上がる良書です。著者は、日本近現代史を専攻し、近著には『1945年の歴史認識』などがある加藤聖文。


    力作。「アジア」という、いわば大世界的な文脈から先の大戦を振り返るという作品はいくつか見たことがあったのですが、本作のように、国や地域といった小世界的な文脈をいくつか並列させることにより、日本の

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    2015年08月14日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    終戦のタイミングで、東京、ソウル、台北、新京、パラオ、南樺太・千島という当時の「内地」で何が起こったのか。戦後に日本という枠で残った東京以外では、統治の移行が行われていくのだが、そこでの権力委譲が行われたストーリーがそのまま戦後の各国史に大きな影響を与えていたことはあまり知られていない。ソウルでの韓国人への権力移行は受け皿に失敗し、米軍への権力移行へと転換され、米軍に後押しされた李承晩が初代大統領となる。台北では、台湾人民主家への権力委譲が画策され、平穏な移行が進むが、蒋介石の命を受けた陳儀により外省人国民党の権力統括が進み、台湾民主化は排除され二二八事件へとつながり、日本人は最終的に日本へ引

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    2014年04月23日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    日本が敗戦した1945年8月15日前後の
    大日本帝国勢力内の事情を概説する。
    地域によって異なる政情、背景とその後の展開が
    コンパクトにまとめられており、
    それぞれを比較しながら理解できることもあり
    非常にわかりやすく、おもしろい。
    個人的には今まで触れる機会のなかった
    南洋諸島に関する項が興味深かった。
    また日本がポツダム宣言を受託する経緯は
    もっと詳細に学びたいと感じた。

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    2013年03月04日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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     人間文化研究機構国文学研究資料館助教(東アジア国際関係史)の加藤聖文(1966-)による、太平洋戦争終結時の東アジア国際関係。

    【構成】
    序章 ポツダム宣言-トルーマンの独善とソ連の蠢動
    第1章 東京-「帝国」解体への道
    第2章 京城-幻の「解放」
    第3章 台北-「降伏」と「光復」のあいだ
    第4章 重慶・新京-「連合国」中国の苦悩
    第5章 南洋群島・樺太-忘れられた「帝国」
    終章 「帝国」崩壊と東アジア

     1945年の夏、大日本帝国は事実上解体した。この解体の過程を通じて、「大日本帝国」とは何であったのかを論じようとするのが本書である。東京(内地)のみならず、樺太、朝鮮、台湾、南洋諸島、

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    2012年02月18日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    1945年8月15日から観る「大日本帝国」。
    帝国末期のこの日に「本土・日本」はどのような姿を現したのか。
    この日は、朝鮮、台湾、満州、樺太、南洋諸島といった植民地にどのように影響を与え、その後の国家建設にどのように繋がっていったのか。
    時間の縦軸と、世界の横軸を柔軟に使い、そのときの世界を描き出そうとするこの本。
    新書のなかでも、しっかりした内容を持ちながら、文章も読みやすくとても良い本です。

    目次を見てもそのきちんとした内容は想像できますが、地図、参考文献、参考資料、年表、と新書レベルでは珍しく丁寧に補足資料が揃えられており、著者の真摯な態度が伺えます。

    また、あとがきに、

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    2009年11月01日
  • 満蒙開拓団 国策の虜囚

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    満州への移民が,どのような経緯で国策とされたか,を辿る.
    発端は,貧困に苦しむ農村を救うという善意と熱意である.そこに,対ソ防衛網を築きたい関東軍と,省益を拡大させたい政府機関とが乗っかり,移民策は拡大してゆく.
    そこで起こったことは,都会しか知らない人間が立案した,実情を無視した入植拡大,達成が無理な目標数値,現地に元々住んでいた中国人との軋轢,等々で,最後にはソ連の参戦,および国民党に対する共産党の勝利で,悲劇はさらに拡大した.
    戦争が始まって,働き手が残っていない状態で,夢を見て満州に入植する人などいない,なんてことは考えたこともなかった.

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    2023年09月30日
  • 満鉄全史 「国策会社」の全貌

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    「満鉄」

    この言葉から受けるイメージは、中国東北部を支配した機関というものがあるが、この本を読んでみると、そう言う通りいっぺんの事柄では語れないほど複雑な組織であったことがよくわかる。

    そして、満鉄と言えば“アジア号”であるが、その高速列車と中国東北部を支配したと言うイメージが、どうも一致しなかったが、ま「いろいろあったんだな」と言う事がよくわかった。

    驚いたのが、戦後、東海道新幹線を実限させた十河信二が、満鉄の理事経験者であったと言う事。不勉強でした。十河に限らず、あの当時の政財界の重鎮達は、多かれ少なかれ、どこかで交わっているんですね。

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    2019年11月07日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    本書は、1945年8月15日前後に、日本、朝鮮、台湾、満州、樺太、南洋諸島という「大日本帝国」を構成していた諸地域がどのように敗戦を迎えていったのかを描くことで、大日本帝国とは何だったのか、その本質はどこにあるのか、どういうかたちで滅亡していったのか、そして帝国の記憶の何が喪われてしまったのか、そのことが現在のわれわれにとってどう関わっているのか、といったことを明らかにしている。
    トルーマンのほぼ独断だったポツダム宣言の作成経緯、米英に見捨てられての自主的な朝鮮独立の動きの挫折、30分で決められた「38度線」、蒋介石の当初の台湾軽視に起因する台湾に上陸した国府軍への台湾人の失望、満州国崩壊に伴

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    2019年09月14日
  • 満鉄全史 「国策会社」の全貌

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    満鉄ってアジア号か満鉄調査部、しかも名前くらいしか知らなかったんやけど、松岡洋右とか十河信二とか出て来てびっくり。いや、松岡洋右は時代的に納得やけど、十河信二って新幹線の人としか知らんかったから。

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    2019年09月08日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    ネタバレ

    [ 内容 ]
    「大日本帝国」とは何だったのか。
    本書は、日本、朝鮮、台湾、満洲、樺太、南洋群島といった帝国の「版図」が、一九四五年八月一五日、どのように敗戦を迎えたのかを追うことによって、帝国の本質を描き出す。
    ポツダム宣言の通告、原爆投下、ソ連参戦、玉音放送、九月二日の降伏調印。
    この間、各地域で日本への憎悪、同情、憐憫があり、その温度差に帝国への意識差があった。
    帝国崩壊は、東アジアに何を生み、何を喪わせたのか。

    [ 目次 ]
    序章 ポツダム宣言―トルーマンの独善とソ連の蠢動
    第1章 東京―「帝国」解体への道
    第2章 京城―幻の「解放」
    第3章 台北―「降伏」と「光復」のあいだ
    第4章 

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    2011年04月01日
  • 満蒙開拓団 国策の虜囚

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     ”満蒙開拓団”、戦前に移民として満州にわたり農業に従事するも敗戦後すべてを失い何とか帰国、中には残留孤児問題として後々まで続く悲劇もあった、イメージとして持っていたのはこのようなこと。
     
     本書は、この満蒙開拓団に関する国策が、いかに立案され実施されていったかを、政策史の観点からまとめた通史である。
     「はじめに」にあるとおり、「政策当事者は、…その当時の置かれた状況で自身では最善と思われる政策を立案するのであって、むしろ「善意」や「熱意」が政策実現の推進力になっていることが多い。満州開拓政策も農村救済に熱心な人物であればあるほどのめり込んでいった」

     満州移民の契機となったのは、もちろ

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    2023年05月23日
  • 満鉄全史 「国策会社」の全貌

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    植民地経営の主力となる民間の会社、という意味では、オランダ、イギリスにおける東インド会社に当たるような位置付けの満鉄のお話。

    有名どころでは、満鉄OBとして、後藤新平、松岡洋右、十河信二(初代国鉄総裁にして新幹線の生みの親)、岸信介、宮崎正義(石原莞爾の”先生”)、などが登場。

    外務省、陸軍省、陸軍参謀本部、関東軍、拓務省に翻弄されながらも、大陸最高のシンクタンクとして奮闘した満鉄調査部の活躍は良い。

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    2022年09月28日
  • 「大日本帝国」崩壊 東アジアの1945年

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    ネタバレ

    「大日本帝国」というのは何だったのかというのが、ここ数年の興味の一つで、本屋で見つけた時は大喜びだった。小熊英二「『日本人』の境界」と対をなすような本で、「『日本人』の境界」が大日本帝国の形成過程を描いたものだとしたら、この本は1945年8月15日を起点にしての、大日本帝国の崩壊過程を描いている。
    漠然と、日本人一般がもっているイメージはなんか、8月15日の白昼にに玉音放送が流れて、戦争がぶっつりと終わり、暫くするとアジア各地から日本人が続々と帰って来たイメージだけど、それはあくまで「内地」から見た終戦であって、「帝国」の「外地」では具体的にどういう状況で玉音放送を聞き、どういう顛末を経て帰っ

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    2012年03月06日