あらすじ
名著『「大日本帝国」崩壊』の著者が描く、帝国の始まりの物語は読むしかない。
――加藤陽子(東京大学大学院教授)
明治維新を世界史で理解する名著。現代世界のなりたちと未来が見えてくる。
――磯田道史(国際日本文化研究センター教授)
アジア初の国民国家は、いかにして「大日本帝国」となったのか。
国家の枠組みが揺れる時代に、世界史的視点から明治維新を捉えなおすことで、日本と世界の現在地が同時に見えてくる。
『海外引揚の研究――忘却された「大日本帝国」』で第43回角川源義賞[歴史研究部門]を受賞した著者による、近代日本の出発点を俯瞰する新しい入門書。
【抜粋】
「国民国家が内包する暴力性を自覚してナショナリズムに振り回されない、そういった足腰の強さが日本には備わっているのか、あるいは備わっていないのか。アジア最初の国民国家である大日本帝国をつくり出した明治維新の歴史の中にそれを見出すことができるでしょう。そして、そこから未来の新しい日本の姿を考えることが可能になるのではないか、と思います。」(「はじめに」より)
※カバー画像が異なる場合があります。
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明治維新とタイトルにあるが、世界史の中の日本近代史といった感じ。ペリー来航から大日本帝国の骨格ができあがるまでをたどっていく。アメリカは南北戦争がなかったらならばアジアへの進出も遅れることはなったかもしれない。日本、清、韓国はそれぞれの国家観や歴史、地政学的な違いにより欧米列強との関係に差が出てしまったような気がする。そして中国、韓国には近代史が無いに等しいという事も重要な観点。琉球、台湾との関係も非常に勉強になった。
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加藤聖文「世界史の中の明治維新」(SB新書)
19世紀にヨーロッパで国民国家が成立し、それが帝国主義勢力として東アジアに到達した。中国・清王朝はアヘン戦争、アロー号戦争に破れ、英・仏による侵略が始まった。日本にも米国が捕鯨船の補給基地を求めて、ロシアも極東進出後の食料等の補給地として日本に通商を求めてきた。徳川幕府は当初は拒否の構えだったが、アロー号戦争の結果をみて開国やむなしとの方向に移行した。
それまで日本は身分制国家で庶民は自分の領主しか目に入っていなかったが、外国を意識することで国民としての意識が生まれてきた。水戸学の伝統や国学がそれを下支えし、尊王思想という形が生じた。それが攘夷と結びついて一気に反幕府のうねりが生じ、明治新政府が生まれた。明治政府は版籍奉還、廃藩置県で一気に中央集権の国民国家を成立させたが、その求心力として天皇を必要とした。
日本は主権・国民・領土からなる国民国家として朝鮮や中国と国交を求めるが、相手側の中華的世界観と真っ向から衝突した。そこから日清、日露戦争を経て日本が帝国主義勢力となるまでを描く。
ところどころ論理の飛躍を感じるところもあるがダイナミックに当時の東アジア世界が描写されている。
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明治日本の歩みの世界史的な意義や世界史の中で日本の明治維新をどう捉えるかがわかりやすく書かれ、中高生でも読みやすい。中学校歴史や高校の歴史総合の学びを補完する副読本としても良い。ところどころ気になる表現はあるが、歴史観(歴史的な見方や考え方)を磨くことができる。日露戦争の勝利で終わっているので続編があれば嬉しい。
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明治維新を世界史の視点から見て書いた本である。明治維新は、日本史として書かれることがほとんどであるが、当時の日本の変化は、他の国から見ても驚異的な事件であったのだ。西欧先進諸国から見れば、他の植民地と違って、自分たちに対抗してくる驚異的な国として映っただろうし、植民地にされている国から見れば、自分たちも日本のようになれるんじゃないかと希望を持つのだ。
事実その当時の日本はアジア諸国にとって留学する対象地として多くの人が留学しているのだ。ベトナムではドンズー(東遊)運動が起き多くの優秀な若者が日本に留学しており、中国からは、孫文、蒋介石、汪兆銘、周恩来などその後活躍するほとんどの人が留学しているのだ。その留学生を大切にすればよかったのだろうが、フランスから日本が留学生を受け入れていることを非難されると、追い返してしまったようだ。
要は日本は西欧諸国に尻尾を振って、東洋人には冷たくしていたのが明治時代なのだ。その西洋諸国から仲間はずれにされて国際的に孤立してから、「大東亜共栄圏」なんて言っても、受け入れられるはずがないのだ。福沢諭吉も最初は東洋諸国が協力して西洋と対抗する姿を描いていたのだが、そんなことは無理と諦めてしまったことは有名である。伊藤博文も韓国や中国との協調を願っていたのだが、維新第二世代である桂太郎や小村寿太郎は、日本を西洋のような大国として振る舞おうとするのだ。
自分の実力以上に背伸びをし、本当は協力すべきところとはうまくやれないというのが島国日本なのだ。他国と揉まれたことのない日本が世界で翻弄されるのは当然だったのだが、国際関係というのは本当に難しいと改めて思いました。とても良い本だと思います。
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<目次>
第1章 世界が動き出す
第2章 中国はなぜ「世界の中心」だったのか
第3章 アメリカがやってくる
第4章 尊王攘夷論はこう生まれた
第5章 「日本」の輪郭ができあがる
第6章 日清戦争~変貌する東アジア世界
第7章 植民地化に抵抗する人たち
第8章 世紀転換期のロシアとアメリカ
第9章 日露戦争~国際的プレゼンスの獲得
第10章 「大日本帝国」の完成~明治維新の終着点
<内容>
朝日カルチャースクールの講義をまとめたもの。語り口がいいので、すっと読むことが出来る。近年の「歴史総合」的切り口で、明治期の歴史を上手くまとめているし、日本史だけでは理解しにくかった視点をカバーしてくれている。