小川国夫のレビュー一覧

  • 彼の故郷

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    生死の境が曖昧な世界を立体的に構築する圧倒的描写力。著者の自伝的小説とありましたが、彼の生きてきた土地の実在をはっきりと感じられました。実在の世界なのに、観念の世界である、というと、カートヴォネガットジュニア『タイタンの妖女』に通じるところがあります。
    文学を文章の美しさでもって味わえる人には必読。

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    2015年12月17日
  • マグレブ、誘惑として

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    モロッコ、チュニジア、アルジェリア……アフリカ諸国をマグレブと呼ぶ。
    土色の土地と独特の熱気を持ち、妖艶な目をもつ女たちが住むモロッコを舞台にしながらエログロはない。爽やかささえある。

    旅のお供。幻想と現実の間。生活の差。
    読中、頭に浮かんだ言葉。

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    2010年09月11日
  • アポロンの島

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    日本人版ビートニクのようでもあり、もっと儚げで、清々しい小説。
    淡々と綴られる装飾性のない文体から、ギリシャの強い日差しや土埃の舞うでこぼこ道、霧に煙った港などが迫ってくる。

    この作家の作品は難解で、途中で止めちゃうものが多いのだが、このデビュー作は何度も手にとってしまう不思議な魅力がある。

    他の方のレビューにあった「激情しないランボオ」という表現がぴったりです。

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    2010年05月06日
  • アポロンの島

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    素直な文章ゆえにヨーロッパの情緒が漂ってきます。私小説ですが、放浪する小さなバイク、ヴェスパで走り回る作者の姿はまるで実体の無い煙のように感じられ、ロマンがあります。
    これも慥かに、幻想小説を冠せられる文学だと感じます。

    名著。朝靄の中にいるような雰囲気を楽しんでください。

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    2010年09月11日
  • アポロンの島

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    僕の読む、ごく限られた日本の作家のひとり。地中海世界を旅する作家の若き日の記録。形容詞のない、肉体の運動のような文章。立った。走った。殴った。疲れた。即物的な行動の記述が聖書世界とつらなる内海の光を現前させる。あるいはこれは平易な言葉で綴られた散文詩なのか。激情しないランボオ、空想しないロートレアモンのような世界。

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    2009年10月09日
  • 虹よ消えるな

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    小川国夫の最後のエッセイ集。
    最後に2つの短編も収録されています。

    初めて小川国夫のエッセイを読みましたが、なんとも詩的ですが虚飾がない、なめらかな文体が好きになりました。

    短編の方は、全体的に沈み込むような重さがありながら、フランスの地方を舞台にした旅情が相まって、爽やかさも感じさせる不思議な感覚になりました。

    重いのに爽やかな不思議な文章がよても良い。

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    2025年03月27日
  • 試みの岸

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    三部からなる連作中篇。人生の苦悶に行き当たったとき、ある者は自らを殺め、ある者は他者を殺め、またある者は人間存在を逸脱して馬に転身し……馬 に、転 身 し ! 冒頭からいぶし銀な文体と内容が展開されるところ、第二篇では突然のぶっとんだ、怪奇的な脱皮におののかされた。

    物語は海辺の集落が舞台。命のやりとりはすべて海に面した崖や岩場で繰り広げられるし、彼らの思考は波に弄ばれているような、風に煽られているような、そんな逼迫した趣がある。
    とにかく人の心のあり様は重苦しく、海も黒黒と不気味である。
    ただ、人物ひとりひとりの心理を細やかに描く一方で、広大な太平洋、原初としての海の存在感が圧倒的で、人の生のあはれというものを感じずにはいられない。

    また、はじめ二篇は三人称小説でごりごり攻めてくるのだけど、最後の一篇だけ今度は村娘の一人称語りに転じ、つまり急にころっとかわいげがでてくるのも印象的。終末的に暗い情景に、好きな人に抱きかかえてもらえるなら怪我もうれしい、なんて思ってる自分おかしい、と胸キュン独白が飛び出してくるからいろんな意味で胸に迫る。

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    2017年12月24日
  • アポロンの島

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    途中まで読んでちょっと放置状態。
    小川国夫の文がとても好きなので購入。あとで読む。
    ともかくも現行で買えるのは嬉しいんだけど、このシリーズはとにかく高いのが厳しいのよね……

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    2010年10月17日
  • 止島

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    のりしろの多い物語というか、書かれていない物語に圧倒される。淡々と書かれた文章の背後から立ち上がってくる物語に、頭の中が一杯になってしまった。良いものを読ませていただきました。

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    2011年07月17日
  • アポロンの島

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    ミコノス島に、行きたくなりました。
    この島で、徳永英明の「MYKONOS」を聴きながらこの本が読めたら、幸せだなぁ。

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    2009年10月04日
  • アポロンの島

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    小川国夫の処女作。短編集。

    これでもかというくらい説明を排除し、装飾的な言葉も皆無。中学生の作文かと思うほどシンプルな文章ですが、不思議に哲学的で深い知性が感じられる。

    ベースは私小説ですが、かなり断片的で超パーソナルな内容が続くので、正直なんのこっちゃわからない状態になり、面白い!とはすぐにならないので⭐️3つにしました。

    ただ、著者自身の知性が滲み出ているような文体がすごいと思うし好きではある。


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    2025年07月07日
  • アポロンの島

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    シチリア・ギリシャのオートバイ旅行体験を
    志賀直哉ふうの「筋のない小説」としてあらわした連作に
    加えて、戦時下すごした灰色の青春もの数点
    昭和32年に私家版として500部製作したが一冊も売れず
    同人誌を通じて島尾敏雄に拾い上げられるまで、8年かかったという
    執筆時期から、日本流ビート・ジェネレーションと見ることも
    可能かもしれない

    「枯木」 どんな理不尽も神の与えた試練だから受け入れなくてはならない えー 「貝の声」 間男に見間違えられたことがきっかけで おっさんと少し仲良くなる 「エリコヘ下る道」 オートバイ事故の被害者と加害者が ともに死にかけて互いを思いやる 「重い疲れ」 夕方までに目的地を目指す急ぎの旅だが いくつかの出会いはあった 「ナフプリオン」 子供の頃に聞いた伝説の地がいまここにあると知った 「寄港」 港町でつまらないものを売りつけてくる乞食にぶちきれた 「スイスにて」 スイスでは会話のテンポがゆっくりになった 「シシリー島の人々」 知らない人にガソリンを分けてもらったが 宿屋ではぼったくられそうになりずうずうしい子供につきまとわれる 「エレウシスの美術館」 日本人とドイツ人がギリシャの美術館で知り合う 「アポロンの島」 各国からミコノス島に集まった若い旅行者と共に自由を満喫する しかし後事を恐れて欲望に身を任すことはできない 「海と鰻」 著者の実家は有力な商家なので 周辺住民はつまらぬことにも気を使ってくるのだった 「箱船」 喧嘩の加勢かなにかを頼みにパシリが来る話 よくわからん 「東海のほとり」 親友が人妻と仲良くやってるような気がする しかし自分はどちらに嫉妬してるのかよくわからない 「雪の日」 実家の工場で働いてたやつに命令される夢をみた これだから戦争は嫌なんです 「お麦」 死に掛かってる友人を見舞って 変な夢の話を聞かされる 「夕日と草」 生活の不安と男性嫌悪 「動員時代」 不良の仲間を抜け出して徴兵のがれの道を選んだ自分はなんにも間違ってない ナメんな 「海の声」 他国言語を学んでも使い道がなきゃ宝のもちぐされ 教師にでもなるしかない 「遊歩道」 旅に理由が必要か? 男の子は冒険のロマンが好きなんだ 「大きな恵み」 家畜消費の帳尻合わせにもロマンが必要 これは闘牛のお話だよ 「ボス」 悪のロマンチストたちが腹をさぐりあう 「大きな森」 仲間が増えることは自分をバカにする人間が増えることだ その現実に耐えられない

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    2017年05月26日
  • アポロンの島

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    学生時代に行った欧州放浪旅行のギリシャ編を"復習"し、満を持して挑戦しましたが、氏の書くこの散文体旅行記の価値をどういうふうに受け止めたらよいのか。。。故郷藤枝での情景が語られる「東海のほとり」もちょっと期待と違いました。

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    2015年03月14日
  • 試みの岸

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    行動や会話を客観的に描写するだけの書き方は、きちんと読まないと主人公の意図や話の流れがつかみづらい。いつの間に日が変わったの!?なんて時もあった。

    さりげなく足掻いても、力尽きて砂に沈んじゃう感じ。
    たまに出てくる健康的な命が眩しい。

    2、3の方が良かった。

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    2011年12月14日