【感想・ネタバレ】彼の故郷のレビュー

あらすじ

幼年の頃、青年の頃の忘れがたい光景……それは「故郷」という地獄である。「浩」と呼ぶ少年の成長の過程を、夢と現実の巧みな交錯の中に描き、硬質な抒情の世界を創る半自伝的短編連作集。「いわゆる生い立ちの時期に自然と注意が集まって行った。で、特に意識させられたことは、自分の奇妙な姿勢であった。幼年期から青年期の始めにかけての記憶と現在との間には遠い距離がある。私は、普通に眺めれば広い視界の、ごく限られた一劃に望遠鏡のピントを合わせ、陽炎のかなたを見ようとして呼吸を整えるといった具合だった。」(後記より)

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Posted by ブクログ

生死の境が曖昧な世界を立体的に構築する圧倒的描写力。著者の自伝的小説とありましたが、彼の生きてきた土地の実在をはっきりと感じられました。実在の世界なのに、観念の世界である、というと、カートヴォネガットジュニア『タイタンの妖女』に通じるところがあります。
文学を文章の美しさでもって味わえる人には必読。

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2015年12月17日

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