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Posted by ブクログ
「キャンティ」とそこにまつわる人々の物語を描いたノンフィクション。
本書は福澤幸雄の死とそれを回想する松田和子の言葉から幕を開ける。
後藤象二郎のひ孫にあたる創業者の川添浩史がいかにして国際的な文化コネクションを得たのか、その妻である梶子とは何者だったのかずっと謎だったのだけど、本書はその辺りも詳しく記述してあって面白かった。
キャンティは、「六本木にある伝説的なレストラン」「名だたる著名人が集まる文化サロン」「ユーミンのデビューのきっかけとなった店」と様々な形容をされる事が多い。
しかし実際のキャンティはそういう言葉では表現できない程魅力に溢れていた空間であり、浩史・梶子夫妻の美意識と感性の塊であり、それに集った人々が生きた時代であったという。
“レストランともサロンとも一味違った唯一無二の場所”という例えはなかなか想像し難いけれど、本書にはインタビューを基にしたエピソードが沢山綴られていて、まるで自分も60年代の空気の匂いを嗅いでいるかのように想像をかき立てられた。
手が届きそうで届かないもの、掴めそうで掴めないもの。だからこそ人を惹きつける。キャンティはそういう空間だったのかもしれない。
Posted by ブクログ
伝説のイタリアン・レストラン「キャンティ」。名前だけはよく聞いてた。《「キャンティ」とは一軒のイタリア料理店を指すのではなく、そんな人々が集まったあの時代の、あの空間だけを指すのだ。》p.160。《開店から数年の間、夜の十時を過ぎ、常連たちが現れると、「キャンティ」はレストランの風景ではなく、ひとつ屋根の下で暮らす家族が集まった家のようになった。》p.161。
そんな常連たち(多くは今では各ジャンルの著名人)の数々のエピソードを面白おかしく描くのかと思ってたけど、どちらかといえば初代オーナーやった川添浩史と川添梶子、共に国際人で美と文化を愛しプロデュース能力に長けていた二人を描く評伝。毅然としてかつフランクな雰囲気が、まだ何者でもなかったが何者かになりたかった若者たちを惹き寄せたという感じ。
Posted by ブクログ
六本木から東京タワーへ向かう途中、外苑東通り沿い、伝説のレストラン、キャンティの前を通りかかったことがきっかけで、この本を手に取りました。女優加賀まり子さんが、昔、トーク番組でキャンティーの話をしていたことから、昔、有名人が集ったレストランということは、知っていましたが、あまりにもこじんまりとした店構えに、これが…有名なキャンティ? と驚きました。キャンティは、皇族から文化人、六本木で暇をもてあましていた若者まで出入りする店でした。そこで才能を見いだされ、世に出た人も多いといいます。どのような出自であれ、その後の環境により、挽回はいくらでも可能だと私は信じます。人生を階段に例えるなら、その踊り場に、必ず出会いがあるはずです。環境を見つける嗅覚が、キャンティに集った若者にはあったのでしょう。毎日のように集い、食事をし、話をし、お互いの人となりを理解する、また、人の才能を見出し、それを活かすことができる大人がいる。キャンティは、1960年代から70年代、古き良き時代の、才能のある人が偶然に集った溜まり場なのか。現在、キャンティのような溜まり場は、存在するのでしょうか。
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