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西暦1000年。
西ヨーロッパはいまだ暗黒時代からの復興の途上にあり、大航海時代は遠い先のことだ。
しかし本書はその西暦1000年こそが「グローバリゼーションが誕生した年」である、と西欧中心の史観を離れて描き出す。
中国からインド、アラビア半島、さらにアフリカまでの海上交易ルートはこの頃初めて結合した。さらにカナダに到達したバイキングが、南北アメリカで発達していた交易路を、その海上ルートと結びつけた。
史上初めて、異国のもの、技術、情報、宗教が遠く離れた国に到達し、一般の人々まで影響を及ぼす「グローバリゼーション」が始まったのだ。
イェール大学歴史学教授である著者はは西暦1000年の各地の交易品を手がかりに、世界中で同時進行していた変化を生き生きと再現する。世界的な交易は農業生産性を高める反面で感染症を広め、知識を広める反面で固有の文化を分断し、新技術を伝える反面で伝統工芸を消滅させた。
宗教を変え、他国向け製品をつくり、反グローバリゼーション運動を起こす人々の姿は、驚くほど21世紀と似ている面がある。
西暦1000年から、ヨーロッパの支配という世界史の新たな局面が始まる1500年までの500年間、「最初のグローバリゼーション」が世界を大きく変えていた。
バラバラに知っていた世界史の知識が新たなフレームで再定義され、読者に知的興奮を呼び起こす。現代グローバリゼーションの世界を生きる者への教訓に満ちた胸躍る歴史書。
Posted by ブクログ 2021年09月11日
知識というのはある向きからのひとつの断面であることを痛感させられる一冊である。それは常に更新されるべきものであって、更新するというのは単に知っていることを増やすということではなく、時にはひっくり返してしまうものでもある。
日本でいえば平安時代中期から後期にかかる時期、地球規模で起こっていた動きは...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年07月01日
第2章
バイキングの北アメリカ進出と撤退
第3章
マヤ、アンデス、エクアドル
第4章
ルーシ、東ヨーロッパ、スカンジナビア、ヴェネツィア
第5章
アフリカ、イスラム、奴隷
第6章
サーマーン朝(ウズベキスタン) アル・ビールーニー(学者)、マフムード
カラハン朝、契丹、宋
モンゴル帝国、チンギス・ハ...続きを読む
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