養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する

養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する

ビジネス・実用
990円 (税込)

4pt

3.7

「脳」「からだ(人体)」「ヒト」をめぐって「生きるとはどういうことか」を問い続けてきた解剖学者・養老孟司の代表的著作を読みなおし、その探求・思想の世界を一望する。「脳より大切なものがある」、「塀の上を歩け」、「あたりまえ」の本質、「無思想」という思想、「ヒトとはなにか?」……知的刺激に満ちた数々の至言とともに、東大医学部解剖学教室からの愛弟子である著者が、各著作が書かれた当時のエピソードも交え評伝風に語る。一冊でわかる、養老孟司のすべて!

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  • カテゴリ
    :
    ビジネス・実用
  • ジャンル
    :
    学術・語学 / 理工
  • 出版社
    :
    筑摩書房
  • 掲載誌・レーベル
    :
    ちくま新書
  • タイトル
    :
    養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する
  • タイトルID
    :
    921004
  • 電子版発売日
    :
    2021年03月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    7MB

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養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    『養老先生がその中の一ページを開く。内臓を取り去った解剖体が描かれている。「布施くん、ここにハエが止まっているだろう」養老先生は、その解剖体の男の、足にかけられた布の部分を指す。たしかに、左足の付け根あたりにハエが一匹、描かれている。「どうして、ここにハエがいると思う。考えてみなさい」それが養老先生のアドバイス法だ。あとは、自分が答えを出すしかない』―『序章 ― 一九八五年』

    養老孟司の著作は少なからず読んできたので、本書で布施英利が整理分析する養老哲学について違和感はない。平易な言葉で、かつ、論理的に、養老孟司が数多くの著作で記してきた少し急いたような論理展開について解きほぐす作業は、著者と分析の対象者の学問上の師弟関係もあってか、言外の意図を違(たが)うことなく汲み取り、導き出された答えは正鵠を射ているように思う。それでも何か脳の中で軋むような雑音がするのが聞こえる。

    本書の中でも触れられているように、養老孟司の思想の根底には仏教的な思想が流れているように思う。しかもそれは自身の信仰に基づくものではなく、その思想の成り立ちそのものが「脳と身体」の関係性、ひいては「自意識と社会」の関係性を的確に捉えていると結論した結果の指向だ。都市化とは「脳化」であると看破し、脳が嫌う自然=身体(思い通りにならないもの)との折り合いが悪くなることの救済として、洋の東西を問わず信仰が存在するのは必然とも説く養老は、古い中欧の教会に見られる伽藍の構造や採光の様式や焚香の習慣と仏教の定型との共通性を指摘しつつも、敢えてその二つを分け、一神教に与しない。その仏教的な視点によく似た二元論な思考についても本書では丁寧に語られる。

    そこで、ふと、妙なことを思いつく。本書が養老孟司の哲学を知るための良書であることは確かなのだが、これはどこかで養老孟司の考えについての「福音書」的な定式化となっていないか、と。

    ものすごく単純に言えば、ブッダの目指したものは自我からの解脱であり「悟り」の境地に至るということ。根本においては、脳の言うことだけを信じるのを止め、環境からの身体的入力情報(=感覚)に敏感になれ、ということとも捉えられる。一方、一神教が求めるのは唯一絶対神への信仰であり、それは取りも直さず、脳の言うこと=言葉を全面的に信じるということに違いない。信じ易くするために秘跡などの証拠を示し、本書の言葉に従うなら「強制了解」の様式を取って三段論法的に信じさせるのが福音書だ。

    だが、養老孟司の哲学はそのような「判り易さ」を必要とするものなのか、という雑念が湧いてくる。もちろん本書が解きほぐしたような知の巨人の思考の要素分解とその理解は重要と認識しつつも、般若心経が語る世界観である「色」と「空」の同義性のような感覚を持ちながら師の語る言葉を受け止めた方がいいのではないか、とも思うのだ。絡み合ったものは絡み合ったままに受け止めるべきなのではないか、と。

    イエスの弟子であったマタイらが記した福音書は、イエスの言行録という意味合いよりも、その言葉自体がギリシア語のユーアンゲリオン(=エヴァンゲリオン)、すなわち「良い知らせ」を意味するように、布教のための書である。これに対して、仏教においてもブッダの法話などを弟子たちが集め仏典が編集されたと考えられているようだが、仏典はその境地に至る準備として世界を理解するための基礎、知恵を集めたものとの意味合いが強い。守るべき律も、その行い自体の意味を問うことが重要なのではなく、蒙を啓く―今まで見えていなかったもの、すなわち自意識が邪魔(無視)をして見え(聞こえ、感じ)ていなかったものを知覚する―ための型を示したものに過ぎない。ならば養老孟司の書も心を無にして読むことが肝要ではないだろうか、などと考えて見たりする。もちろん、著者が目指したものは養老教を広めるための福音の言葉ではなく、養老孟司の言葉の仏典的整理であるとは思うけれども。

    「解ったようで判らない、分からないようで解った気になる」
    自分の頭で考えるとはその繰り返しに他ならないと思う。

    0
    2021年03月18日

    Posted by ブクログ

     本書は、養老孟司の弟子である著者が、養老先生の書き下ろしの著作を読み解いていくことによって、その思想の世界を明らかにしていこうとするもの。

     取り上げられる著作は、書き下ろしの5冊に、代表作と目される『唯脳論』と『バカの壁』を合わせた以下の7冊。
     ①『形を読む』(1986年)
     ②『唯脳論』(1989年)
     ③『解剖学教室へようこそ』(1993年)
     ④『考えるヒト』(1996年)
     ⑤『バカの壁』(2003年)
     ⑥『無思想の発見』(2005年)
     ⑦『遺言。』(2017年)

     読んだのはほぼ半分くらいか。脳から身体、身体から脳へと、養老先生の思考は著作を通して語られていると作者は言う。久し振りに養老先生の本を読みたくなった。

    0
    2025年03月11日

    Posted by ブクログ

    養老孟司の代表作7冊の内容を紹介し、養老がその生涯を通してどのような問題を考えつづけてきたのかということをまとめた本です。

    著者は東京藝術大学の大学院生だったときに、特別研究生として東京大学解剖学教室の養老のもとで学ぶことになります。本書では、そのころの養老にかんする回想も織り交ぜつつ、彼の思索の展開が語られています。

    ただし、こうした著者の経歴からわかるように、本書は哲学や思想の観点から養老の議論の解説をおこなったものではありません。養老の著作から多くの文章が引用されており、いわば養老自身に語らせる養老孟司入門というべき内容になっています。五音と七音の短い文で養老の思想を要約する試みがなされているものの、著者自身の養老解釈が前面に提示されることはありません。とはいうものの、わたくし自身はこれまで養老の著作を読んでいると、しばしば具体的なエピソードに翻弄されてしまい、なかなかその真意をつかむことがむずかしいように感じることがあったので、本書のように彼の思想を簡潔にまとめられたものを読むことで、頭の整理ができたように感じています。

    著者は、養老がしばしば「塀の上を歩け」と語っていたと述べています。塀の内側に入ればインサイダーとして閉じてしまい、だからといって塀の外側に落ちたらアウトサイダーに終わってしまいます。養老はこれまで、脳の一元論へとますます突き進んでいくかのように思える現代の社会状況をシニカルにながめつつ、自然と身体に目を向けることのたいせつさを語っていたという印象をもっていたのですが、現代社会を否定し自然に回帰することが養老の本意ではなく、危うい綱わたりのような思索をつづけてきたことに、あらためて気づかされたように思います。

    0
    2024年02月09日

養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    ビジネス・実用
  • ジャンル
    :
    学術・語学 / 理工
  • 出版社
    :
    筑摩書房
  • 掲載誌・レーベル
    :
    ちくま新書
  • タイトル
    :
    養老孟司入門 ――脳・からだ・ヒトを解剖する
  • タイトルID
    :
    921004
  • 電子版発売日
    :
    2021年03月19日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    7MB

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