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すべての色は、三原色をもとに作られる。これが、四色でも二色でもいけないのはなぜか。そもそも「色」とは何なのか――。ニュートンのような物理学者、ゲーテなどの文学者をはじめ、美術やデザインまで、様々な分野の専門家が取り組んできた色彩学。その理論の基本は難しそうに見えて、実はとてもシンプルである。北欧デザインの色彩美、遠近法との関係、印象派の絵画における光の見方など、色彩をテーマに美術鑑賞の知性を養う。
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Posted by ブクログ
勉強しなきゃと思っていた色彩学の基礎。 しかし、色相環だの補色だのなんだのと、耳にしたことがある言葉が出てきた途端、なぜか興味を失ってしまった。 そんな色彩学の基礎を洗い出すように説明してくれていて、ゲーテや利休に触れたり、著者の体験談などが過不足なく混じっていて最後まで興味をもって読み切ることが...続きを読む出来た。 特に、色彩学の観点から見た絵画の解説は面白い。 今まで説明されてきたことが、絵画解説によってある意味実践というような形で理解できる。 色を学ぶ第一歩の時に、この本に出会えてよかったと思う。
絵を見るときだけではなく、生きているときの色の見え方が変わる。著者はとても丁寧に「色とは何か」を「言葉を尽くして」説明しているから。 著者曰く「 色は、言葉で見るものだ」(p.178)。 私たちは目で見ているのではなく脳で色を見ている。網膜に届いた光はそのままでは単なる刺激でしかない。それを意味のあ...続きを読むる形や色や輝きや質感のある何かに統合しているのは脳の働き。 色を誰かと共有するには、描いて再現するか言葉で再現するかしかない。言葉で受け取った色を感じることができるのも言葉の力。 ふむ。 とはいえ、本人の名誉のために付け加えると、著者は脳内「だけ」で何かわかったつもりになることは厳しく戒めている。体験しろ、手を動かせ、と。 ふむふむ。 その一方で、言葉の世界の前に、純粋に科学的な色の世界があるのもまた事実。著者は丁寧に色の三原色(四原色)や補色とは何か、そしてそれをヒトが見る時にどうなっているかも解説してくれる。 著者のスタンスがよく現れているのが、第三章。色彩(調和)論をニュートンとゲーテを使って説明している。 色彩とは「そういう話し」なんだということがよくわかる。 おかげで今まで何度も読んでいたはずの、印象派の絵が意味したもの(=題材は脱常識で、手法は最先端の科学を芸術と融合させたもの)がストンと腑に落ちた。なるほど。 私は小さい頃から絵を描くのが好きで、デザインにかんする知識もそれなりに持っているつもりだったけど、それが単なるバラバラの豆知識や小手先のテクニックの寄せ集めにすぎなかったんだ、モノゴトをリベラルアーツ的に理解することって面白いっ、という読後感ももてた。 同じ著者の構図論も読まねば。
色彩の成り立ちや歴史,絵画における実践例について書かれた本で,理論についてはいろいろ羅列してある感じ。気軽に読める本である。
あの独特な髪型の、布施先生の色彩学についての本。 色の三原色とか、三属性(明度、色度、彩度)とかは、どこかで見知っていたことだ。 でも、ここにはそれ以上のことがある。 心理学者カッツによる、色の現れ方の九分類。 表面色、面色、空間色なんていう概念が出てくる。 布施さんの説明は、本書だけにとどまら...続きを読むずとても明晰なのだが、その布施さんの説明でさえ、頭がでんぐり返りそうになる概念なのだ。 表面色は、物の表面についている、私たちが目にしている色。 空間色は、透き通っているけれど色がついているもの―例えば色水のようなもの。 これら二つは質感を伴うものだが、これに対して面色は物の質感のない、「空間そのものの色」なんだそうだ。 こういう実感しづらい色の感覚を見ていくと、やはり色は学習して、そのようにみるものだなあ、と感じる。 暖色、寒色などは、それを見て暖かいと感じるかどうか、正直に言って微妙だと思う。 そういうものとして、どこかで学習したものとしか思えない。 そう思いながら読み進めていくと、色は言葉で見る、ということ(つまり、言葉として分節できるものをまず認識しよう、ということ)がでてきて、はあ、やはりそうか、と納得。 赤が人にとっての根源的な色だという話も、とても印象的だった。
色彩学に用いられる言葉が、とても新鮮に感じた。 色彩に関わる言葉は、色彩という枠を越えた現象について語る際にも使えるのではないかと思った。 色彩について考えることは、想像以上に広い思考であるようだ。 色彩は、物、知覚、身体、言語、いろいろなことに関わっている。 色彩で世界を語る。 そのようなこと...続きを読むをしてみたくなる。
勉強になった。 これらを頭に入れて絵を見たらもっと絵が楽しめるんだろうなぁ。 色の遠近の例として使われた、ゴッホの「カラスのいる麦畑」なんてまさにそうだし。 ただ、私の乏しい脳みそでは全部を覚えていられないのが悲しいところ・・・。
昔、中学校の美術の授業で「色彩学」の話を少し聞いた。それをもう少し詳しく解説してくれている本である。三原色、四原色について、理解が深まった。文章のノリは、色彩学の"実況中継”(受験参考書によくある、なんだかわかったつもりになるようなアレ)といった趣き。知らないことが多いのでなるほどと読んだ...続きを読むが、”実況中継"モノにありがちな、強引な展開・思いつき的な話の飛躍等、気になる部分も多々あった。
「色」の勉強になりました。読みやすく分かり易かったです。 ただ、「絵画」の話にあまり紙数は割かれていません。同じ著者の前著『構図がわかれば絵画が分かる』は絵を題材に「構図」の考え方が解説されていましたが、こちらはあくまで色彩の解説が主で絵は事例程度。 「構図」と「色彩」、写真を撮る上での勉強にもなり...続きを読むます。
三原色を中心に、色彩の基本中の基本を解説する新書。 原色と補色、色相、明度、彩度といった義務教育時代に習ったことを思い出しながら読み進めることができた。解説が丁寧である。自分がいかに何も覚えていないか、基本的な知識がないかがわかる。 ただ、 とくに強烈な原色を目に焼き付ける時、頭がバランスを求め...続きを読むて補色を足す作用が働くという点はなるほどと思わされる。 ところで、本書は徹底的に色について解説がなされているし、多くの作品を色つきで紹介をしてくれているが、作品を鑑賞する眼はこれだけでは養われないだろう。ただ、抽象性の高い現代芸術を鑑賞する際、本書で提示されている色彩感覚がヒントになると思う。 光文社新書に羊頭狗肉はありがちだが、勉強になったからいいやという感想。
偶然手に取ったが、読み始めたら意外と面白かった。 しかも読みやすい。 「色」の本だから、4色刷りは必須だったのだろうが、新書でカラー印刷はなかなか勇気がいる。 企画を通した編集者に拍手。
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