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その予感は娘の発作で始まった。極限の恐怖に誘われる衝撃の作品――平和な家庭での、いつもの風景の中に忍び込む、ある予兆。それは、幼い娘の、いつもと違う行動だった。やがて、その予感は、激しい発作として表れる。<破傷風>に罹った娘の想像を絶する病いと、疲労困憊し感染への恐怖に取りつかれる夫婦。平穏な日常から不条理な災厄に襲われた崇高な人間ドラマを、見事に描いた衝撃作。
◎距離が伸びる時には父親として病気に向き合い、距離が縮む時、一人の人間として感染症の恐怖に怯える中で語られる心の葛藤は、医学小説のそれではなく、もちろん恐怖小説のものでもなく、強いて言うなら、極めて純粋な戦記文学を読んでいる印象です。確かに、今まで読んだ全ての小説の中で、病棟という「戦場」の真実がここまで正確に描かれた作品を知りません。<石黒達昌「解説」より>
Posted by ブクログ 2023年08月01日
映画は割と怖いらしいけど見たことがない。得体の知れないものに侵され娘が得体の知れないものになっていく恐怖、診断と治療、破傷風との戦いと家族をめぐる環境、冷静であろうとして感情のこもった雰囲気がうまく書かれている。万が一、何かの実体験を書くことになったらこういう文章を書きたいと思う。子供ができてから、...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年11月01日
破傷風の恐怖!
子供が破傷風にもしかかってしまったら、この夫婦のように頑張れるか自信がない。子どもvs病魔、夫婦間のいさかい、子どもは助かっててほしいが、自分も感染してしまうのではないかという、抑えがたいジレンマ・・・等々、リアルな人間の本質が描き出されています。映画にもなった感動的ドラマです。外遊...続きを読む
Posted by ブクログ 2011年06月03日
許さんの授業課題作品。じっくり味わうほど名作なんだなあ、と納得。破傷風の恐ろしさ、家族の不安定な感じ。緊張感。不快な生活匂いが充満した文体。色んな意味で生臭い。詩人ならではの独特な言葉選びも凄い。
病に冒されて舌を噛み、血だらけになりながら痛いよう痛いよう…と泣き叫ぶ娘。
看病疲れで狂ってしまう妻...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年11月16日
映画が強烈で、「エクソシスト」並のホラーという印象だったので、大人になってから三木卓原作と知って驚いた。
読んでみると、精神的に追い詰められていく夫婦を描くという点ではサイコサスペンスとは言えるかもしれないが、ホラーではもちろんない。
娘の異常の原因が、病院に行っても分からず、躾の行きすぎでおかしく...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年01月02日
一人娘にある日突然現れた異変。悪魔に憑かれたかの如く激しい発作に暴れ苦しむ娘の病はやがて破傷風と判明し、入院し本格的な治療が開始されるも、付ききりで必死の看護に当たる両親の精神は次第に蝕まれていきます。
作家の実体験を元にしたというこの小説は、娘の病状がリアルで本当にしんどそうで心が痛んだのはもちろ...続きを読む
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