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Posted by ブクログ
詩人三木卓氏が、同じく詩人だったKこと妻の福井桂子氏との出会いからその死までを描いた私小説。夫婦(家族)のことは夫婦(家族)にしかわからないというけれど、それはこういうことなのだなぁという感慨、そして陰惨にもなりかねないこの物語をそうは描かない(またはそうは受け取らない)著者のスタンスとセンスの絶妙さ。切なく滑稽で、深く頷いてしまうような。数十年間ほとんど家に帰らず別々に暮らしながらも離婚はせず、しかし当然のように乞われて最期を看取る。惚れ抜いた伴侶と共に歩んだ人生"ではない"、としてもそれを失敗とはせず、むしろそこから得たものがなんと豊かに描かれていることか。人の生と情の様々なあり方に静かに感嘆する。
Posted by ブクログ
芥川賞作家の三木卓さんが、奥様で詩人の福井桂子さんについて書いた本。
小説家と詩人の夫婦ということで、
創作を優先して三木さんが仕事部屋にばかり居て、
別居同然の生活が長く続いたり、
具体的な夫婦生活を描いている部分もあるけれど、
夫からのワンサイドの話なので、
これで三木夫妻のすべてがわかる、という作りではない。
はじめては淡々とすこし突き放したような文体だけれども、
最後のほうで奥様kの闘病記に差しかかると、
たまらず、といった風に感情がこぼれ出てくる様子が、
夫婦の深みや不思議を感じさせる。
読み終わったあと検索して知ったのは、
三木さんが「震える舌」の作者なのだということ。
子供の頃に映画化されたものを観て、そのインパクトの強さをすぐに思い出した。
娘さんのことは切れ切れにしか書かれていないが、
有名な作家を父に持ち、自分の破傷風の闘病生活が作品として広く知られて、
いろいろとご苦労があったのではないかと、
おせっかいながら思わず心配になってしまった。
三木さんと娘さんがこれからもお元気ですごせますようにと
思わずにはいられない読後感だった。
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