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「不平等の世界」に、私たちは何をすべきか 貧困や差別に苦しむ家族や人々といった、社会の見過ごされがちな側面を一貫して撮り続けてきた二人の映画監督。彼らの目に、不寛容・不平等の増す世界はどのように見えているのか。コロナ禍で拍車がかかる分断と格差をいかに乗り越るべきか。搾取する側・される側という、単純な二項対立に終わらない複雑な現実の姿を、深い洞察と想像力によって浮かび上がらせた対話と書き下ろしを収載した一冊。
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Posted by ブクログ
イギリスと日本、歴史的にも異なる文化のなかで育ってきた2人の対談。どちらもお互いを尊敬しながらも市民として映画監督として自分の意見を持っていると感じる内容だった。 日本はイギリスほど明確に階級というものが見えやすいわけではないので、そこで双方の映画に対する捉え方の差のようなものがあったが、それは対談...続きを読むした本人たちが一番わかっているだろう。 映画というものが、少しでも人を動かす力になればいいというケン・ローチの言葉から、この人は清々しいほどブレないなと尊敬の念を抱いた。 ケン・ローチが描きたいと思っていることや敬意をもって人と接する姿勢は少なくとも私には届いている。 わたしも彼を1人の人間として尊敬している。少しでも未来を良くしていけるように間違いながらも進んでいこうと思う。
ケン・ローチのはっきりとした物言いがとても好感持てた。是枝裕和氏も明らかな政治批判をしているが、ケン・ローチより優しい(笑)こういう影響力のある人がはっきりと発言してくれるととても勇気がでる。 また、このような方々が作る映画は信頼して観ることもできるし、応援しようと思う。
明確なイデオロギーのもと映画制作を続けるケンローチ監督と、我らが是枝監督との対談。 お二方の作品に表れる鋭くも優しい眼差し、怒り、さぁどうする?と向けられる問い。 社会的に生きるということを考えていきたい。
番組も拝見していた&ケン•ローチのコロナ禍でのインタビューも国際報道で拝見していたので、新しい記事というか語りは是枝さんの語りが個人的には多かったです。 ケン•ローチさんのラディカルさは是枝さんの言うように、正直僕にもピンと来ない部分はあります。でも、社会に怒っている、という点ではやっぱり同...続きを読むじだし、それをやり切ることにもめちゃめちゃかっこよさを感じます。作品は毎回最高にラディカルで示唆に富み、何より面白いのですから。 でも何より、やはり是枝さんの作品づくりへの姿勢。これにものすごく信頼できるな、と改めて感じました。言うべきはいい、やるべきことをする。それは映画人としても一市民としても。多分是枝さんのやろうとしていることは僕たち一市民ができることと地続き何だと思います。 うまく言葉にできないけど、自分の思考を整理するいい機会になりました。
よく似た作風で同様のテーマを扱っているとされるケン・ローチを対置することで、是枝裕和とは何者かを、是枝自身にかなり明快に語らせることになっていて面白い。ケン・ローチが語ることも是枝が語ることもどちらも魅力的だ。
改めて二項対立的に社会を見るのは良くないと思った。ナショナルに回収されやすい気質であることを自覚しなくちゃならないし、不要不急かどうかは「私」が決めるものでなくちゃならないと思った。
読んだあとに、ケン・ローチ監督の映画「家族を想うとき」を観ました。とても余韻が残る良い映画でした。主義主張の押し付けではなく、考えさせられる余白のある映画は良いなあ...と思いました。
是枝監督とケン・ローチ監督のテレビでの対談録を中心に、それぞれのインタビューや短い文章をまぜこぜした一冊。対談部分は、まあ実際に尊敬しあっているんだろうけど、ほめ合いが中心のような感じ。文章に起こすのならここまでしなくていいんじゃないかという無駄に思えるやり取りまで入っていてダラける。 それぞれへの...続きを読むインタビューは対談部分に比べればなかなか。ケン・ローチという人を寡聞にして知らないまま読んでいたので、「ウイルスも気候変動も、その解決策や対応策が、私たちで自己管理できるものでなくてはならない、という点では同じです。しかし、それは自由市場経済のなかではできないのです。~中略~ 私たちは自由市場経済から脱却しなければなりません。共同所有・集団所有による計画された生産と流通に基づいた経済に、移行しなければならないのです。」(p.148)なんて言っててびっくりした。実はケン・ローチは筋金入りの社会主義者だそうで、是枝監督によれば(直接聞いたわけではないとことわってるけど)、「ある記者会見で意地悪な記者が、「もう社会主義なんて終わっているのに、なぜあなたはまだそれを信奉しているのか」という質問をした。そうしたらローチ監督は、「皆さんはまだ本当の社会主義を見たことがない。それはこれから生まれてくるものだ。過去のものではなく、未来のものだ」と答えた」(p.203)そうで、これには思わずうなずけた。確かに、100年もたたずに頓挫した例しか知らないけど、「みんなで作ってみんなのもの」的な共産の考え方・思想は悪くない気がする。 こんな感じにラディカルなケン・ローチと是枝監督とだとちょっと役者が違うって感じ(監督だけど)。是枝監督も自分にとっては、日本ではわりとまっとうなもの申す監督って印象なんだけど、この本のなかではある程度空気を読んだりしながらの言動のよう。まあ、そんな清濁併せ吞むというか、小心っぽいこと言ってくれるのも、ちょっと残念なようで等身大っぽくて好印象だった。
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是枝裕和
ケン・ローチ
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