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ウケるプレゼンをしたい。斬新な企画を考えたい。人の心をつかみたい。誰もがそう思うけれども、そう簡単にはいかないもの。どうすれば「面白い」と思ってもらえるのか。ポイントはどこにあるのか。「安易な共感を狙うな」「アイデアは蓄積から生まれる」「人と会う前に学習せよ」――長年、ひたすら「面白い」を追求してきた著者がそのノウハウ、発想法を惜しげもなく披露した全く新しいアウトプット論。
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Posted by ブクログ
「面白いとは、差違と共感の両輪である」 アイデアは組み合わせによって出来上がる。組み合わせとは足し算や、掛け算のことだけを言うのではなくて、引き算も含まれる。たとえばツイッターは「従来のブログ機能」にあえて「文字数の制限」を組み合わせた結果成功した。 「合わせ鏡の法則」取材をする時、自分自身の姿勢が...続きを読む相手にも反映される。テンション高く聞けば相手も高く、抽象的に聞けば抽象的に、論理的り聞けば論理的に答えが得れる。相手の本音を引き出したければまず自分が本音を語ることが大切。 「わかりやすさ」=「面白さ」ではない。しかし、「わかりそうでわからない」というものは吸引力を持っており、興味を持続させる。「モナリザ」のように、わかりそうでわからないものは面白い。 あらゆるコンテンツは「構成」から逃げられない。ほぼ全てのコンテンツは「時間」という概念に縛られている。始まりがあって終わりがあるコンテンツはすべて「構成」が関わってくる。 構成する上で役に立つ手法がペタペタ、壁一面に場面を書いた付箋をはって、それを見て貼り替えて全体を構成する。この方法は全体を俯瞰できるので良い。プレゼン、本の内容など幅広く転用できる。 世の中の名作と言われている創作物に共通する構造として三幕構成がある。「問題提起」「問題の複雑化」「問題の解決」の順番に進む。25.50.25パーセントぐらいの割合である。前の幕が次の幕を押し進める形が理想である。問題提起(問い・謎)が一番大切であり、物語の芯になるのでしっかり考えるべきである。 世の中のコンテンツは「人間とは何か?」というテーマを大なり小なり内包している。 人間の視細胞は中心にあつまり、主観的な視点では中心のものは大きく見える。ジブリなどはその特性に合わせ主観的な世界を描いている。 単純作業では金、クリエイティブな作業では内発的動機がモチベーションになる。 「現場の人間が、前のめりで取り組む状況をいかに作れるか」これが本来あるべきプロデュースやマネジメントの肝であり、そうした中から革新的な作品も生まれる。 リモコンを押すだけで気楽に見られるテレビ番組をきっかけに、時に自分でも予測しなかった「新たな自分」が掘り起こされ、世界が広がる。そうした「偶然の出会い」を演出できるのがテレビの醍醐味である。負荷が少ないのも強み、自分から検索しなくても良い受動メディアのため楽である。 コンテンツが競い合う時代。テレビは大量生産・消費型のスタイル。ネットの動画配信サービスは、会員制で顧客を抱え込む方向。お客さんを逃さないために優れた作品を独占配信しようと動いている。長い間多くの人が好きな時に見ることが出来る。この流れが進むと、これからは個々の作品のクオリティーがより重視される時代が訪れる。その時問われるのは「作品を生み出す人=クリエイター」の存在価値。一つの作品と一つの人格は不可分。一方日本のテレビ業界は、分業制で署名性が乏しい。誰の作品か曖昧で矜持が失われる。 各媒体は今後、他と違う良質なコンテンツをどれだけ抱えているかが勝負になる。客を呼び込める魅力的な作品ラインナップをどれだけ揃えられるかによって視聴者数や契約者数も変動する。 世界ではコンテンツ優位な状況でクリエイターに還元されるようになっている。しかし、日本では「番組の著作権が放送局に帰属している」ためあまり還元されない。すると、手間をかけてクオリティーの高い番組を作っても、次々に新作を作らなければ収益が上がらない。利益を上げるために予算を切り詰めるという発想になり、演出も挑戦的なものを避けるようになる。その結果、現場は疲弊して、面白いコンテンツも生まれなくなる。いい作品を作り、ヒットした場合、制作した当事者に利益が還元されるなら、クリエイターは「より良いもの」を作ろうとするのは当然。良質なコンテンツができるとお互いに得をする。動画配信サービスはそのことについてわかっているのでそっちに流れてしまう。権利の問題は業界全体の問題、業界の活性化のためにも考えなければならない。
著者はNHKで長くテレビの制作に関わってきた 人です。ゆえにテレビにおける『面白さ』につ いて語っています。 テレビ番組と言ってもバラエティではないです。 主にドキュメンタリー、ノンフィクションです。 その種の番組において『面白い』と視聴者に感 じさせるにはどうするべきか。 そもそも『面白い』...続きを読むと人が感じるのは、どうい う時なのか、あらゆる角度から考察します。 何もテレビ関係の人だけに対してではなく、最 近よく聞くクリエティブさを求められるビジネ スパーソンにも、大いに学びと気づきを与えて くれる一冊です。
著者があとがきで書いているように、仕事に対する哲学書だと思った。自分の仕事にも当てはまる内容だった。
ドキュメンタリーをもっと観てみたいと思った。「取材」という概念はジャーナリストだけのものでなく、今すぐに自分の日常に取り入れられる事だと知った。日々取材に取り組んで生きていきたい。
「面白いとはなにか」、クリエイターという立場で“個性”や“視点”を養ってきたつもりだったが、突き抜けた「何か」を見出せなかった。そんな暗中模索状態の中、シンプルに出会ったこの題名の本。求めていることが書かれているのではないかと、手に取ると早速目から鱗。ページ数も少なく、すぐに読み終えられるわかりやす...続きを読むいクリエイターの技術本といえる。 ・「面白い」は共感と差異 ・徹底した取材から見出す「さらなる問い」 ・紡いだ練りに練った構成から見出す非・予定調和 ・優れた作品は期せずして三幕構成 比率は1:2:1 特になるほどと感じたのは ・アイデアは記憶と記憶の掛け合わせ クリエイターとしての視点を肥やしていく教科書と言ってもいいだろう。読んでよかった。
テレビ番組ディレクター経験者による仕事の哲学 ドキュメンタリーの作り方論が主となるが、 表現や仕事に対する思いが熱く、 作り手側としてでなくても多くのことに参考になりそう。
テレビ番組(主にドキュメンタリー)の面白さとは、という視点でまとめられた本。 興味深かった点はいくつかあったが、最も納得したのは以下の点。 === テレビは、googleの逆をいけ。 多くの視聴者がテレビに求めているのは、いい番組や面白い番組を見せてくれること。dボタンで何ができたり取ってつけたよ...続きを読むうな双方向性(tiwtterのコメントを載せたり)をテレビに求めてはいない。 一方通行の受動メディアであるテレビの最大の強みは、視聴者に「偶然の出会い」を提供できること。「たまたま見た番組が面白かった」これである。
著者はテレビ番組制作会社のディレクターとして、これまで主にNHKの番組において綿密な取材に裏打ちされたドキュメンタリーを数多く手がけてきた。 代表作として、実在の国語辞書編纂者の秘話に迫った「ケンボー先生と山田先生~辞書に人生を捧げた二人の男~」等、その守備範囲は実に広く、「言葉」「哲学」「医学」...続きを読む「気象学」「司法」と…多岐に及ぶ。 また、肝心な表現方法も演劇的演出やアニメを使うなどユニークな手法を駆使し、視聴者を佐々木ワールドに引き込んでいく。昨今は手がけた作品の礎となった膨大な取材を元に執筆もこなし、現在ではノンフィクション作家としても活躍。 本書は、これまでの番組制作に関わる上で常に思索、追求してきた「いかにして面白いコンテンツを創る」かを語った技術論。 具体的には、発想・企画・取材・制作…それぞれのフェーズについての思索は深く、極めて実践的である。創作分野のみならず様々なビジネスシーンに置換できる普遍性に富んだ「仕事に対する哲学」を叙述。 そんな敏腕ディレクターが説く「はたして面白いとは何なのか?」。 「差異と共感」であると断言する。要するに、世間一般の常識や先入観とのズレ(差異)を視聴者に提示することで、新たな「気づき(発見)」を知る。その結果、モノの見方を広げ、これまで異質なものと見なしていたものを受け入れ、より深い共感へと導くことに至る。 【本書の中で最も突き刺さった言葉】 『妄執こそがクリエィティブの源泉』 視聴者の「心に刺さる作品とは、結局のところ作り手側の人生や妄執が反映された作品が大半。つまり、作り手が「本当に作りたいと思って作った作品を観た際に視聴者は心を揺さぶられる」。 ぶっちゃけて言えば「思い込み、思い入れ」が創作の牽引力となるということ。それに加え、著者は『アイデアとは「既存の要素の組み合わせ以外の何ものでもない』」とも語る。そのためには地道な取材や学びを徹底かつ執拗に行うことは不可欠で、古いものを知ってはじめて斬新なものが生まれる。型破りの第一歩は、まずは型を知ること。また、企画成立に立ちはだかる課題や悪条件が 「価値あるアイデア(打開策)」を生む。良いアイデアは「必然性」から生まれるんだと畳み込む。 逆説的に言えば、できない理由を列挙するという行為は何としても成し遂げるんだという思い入れが希薄であることの表れであるということですな。 企画、発想、アイデアはとかく「斬新さ」「ユニークさ」に目を奪われがちだけど、著者は世にはびこるそんな通念を一掃し、「ヒントはあなたの前にあるんだよ!」ってことを教示してくれる一冊でありました。
・「見るつもりはなかったのに、偶然見たら面白かった」 受動メディアとしてのテレビが生き残るには、 逆説的に、コンテンツの質を上げること。 そのために、事前の下調べをすること、制作主体を明らかにすること、 チームのモチベーションをコントロールすること。 ・面白さは、共感×差異 ・インタビューで問わ...続きを読むれているのは自分自身である。 自分が緊張していれば相手も緊張する。 ・演出とは、状況設定である ・「ペタペタ」で構成を考える ・三幕構成。問題提起、問題の複雑化、問題の解決。 ・作品のクオリティは、「観客が受け取る」情報量で決まる。ジブリなど。 記憶を引き出すとか、そういうのも主観情報。 ・
テレビ番組の現場から生まれた「面白いとは何か」という論考。「面白い」は”差異”と”共感”の両輪、アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ、良いアイデアは「制約」と「必然性」から生まれる、演出とは”状況設定”、作品の「質」の高さは情報量が支えている、”負荷”の少なさは(テレビの)強み等、納得のいく解説...続きを読む。政策をやっている現場でも応用可能な部分を感じる。紹介されているコンテンツなども見ながら読んだ。一読をお勧めしたい。
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「面白い」のつくりかた(新潮新書)
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佐々木健一
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