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帰蝶の死から八年……。天下統一へ着々と版図を広げる織田信長。妻・煕子が帰蝶に仕えていた明智光秀も、今や織田軍団の出世頭。だが、光秀夫妻は帰蝶の仇を討つことを密かに誓っていた。やがて、信長はひとりの美女を目撃し、直感する。帰蝶だ。生きているのか、それとも幻なのか。すべての「糸」は、本能寺へと繋がってゆく。
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Posted by ブクログ
「謎が謎を呼ぶ」ような一面も在り、また作中世界の「信長の時代」の空気感のようなモノも好く、少し夢中になってドンドン頁を繰った。 上下巻から成り、下巻には「光秀死闘 篇」と副題が在る。下巻は作中で寧ろ「十兵衛」という通称が出て来る場面が多い明智光秀が主要視点人物である。 明智光秀は“大事件”たる<...続きを読む本能寺の変>の主役でありながらも、その経歴に「不詳」としか言い表しようがないものが在り、“時代モノ”の作者による想像の翼が羽ばたく余地は大きい。 そういう訳で、この明智光秀に関しては「主人公またはそれに準じる劇中人物」として色々に活躍する“時代モノ”の小説は多々在る。それらも愉しく読んだ経過は在るが…本作、『ドナ・ビボラの爪』は「これまでに全く見たことがない…」という筋立てである。と言って「知られている歴史」を逸脱するのでもなく、「その(知られている歴史の)裏面で??」という具合に仕上がっている。そして見事な仕上がりなのだ! 下巻は、上巻の最後から数年を経た時期になっている。織田信長の下で重きを成すようになっている「十兵衛」こと明智光秀の動きが在り、他方に上巻の最後の方から前面に押し出されるようになった「謎」が少しずつ明かされる… <本能寺の変>が、何故に「現在知られているような形で進行したのか?更に題名に在る<ドナ・ビボラ>とは一体何なのか?その辺は、本作未読の皆さんの興を殺ぐことのないよう、敢えて言及はしない… 「大きな謎」を孕ませながら、或る程度知られている歴史の「隙間」に想像の翼を大胆に羽ばたかせた…そんな愉しい作品だ!
上巻の悲惨な結末に続き、下巻は一転伝奇小説の様相を呈してくる。 そして、題名の「ドナ・ビボラ」が明らかになる。 本能寺の変は、明智光秀が起こしたというのは史実だが、その黒幕については歴史家や小説家が様々な説を唱え、百家争鳴となっている。 本書では、信長を取り巻く(正妻帰蝶を含め)複数の人物が引き起こ...続きを読むした復讐劇としている。 小説家の想像力の賜物と言っていいこの作品、「本能寺の変」に新しい解釈を提示してくれた。 明智光秀が主人公となる来年の大河ドラマは、帰蝶役で騒がれてもいるが、本能寺の変をどうとらえるか、どんな展開になるか楽しみである。
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ドナ・ビボラの爪
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