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Posted by ブクログ
信仰を深め全うするために世俗的・肉体的な欲望(特に性的なそれ)から離れようとする志向は、洋の東西を問わず多くの宗教に共通する。そうした「禁欲」の中でも、キリスト教における代表的なあり方である「修道院」制度の成立を追った一冊。
修道院という制度は、どのような理論や信念のもと成立したのか。そして、それらはどのようにして受容され広くヨーロッパ全土へ広がっていったのか。
著者はまずその前提としてギリシア文化や帝政ローマの状況から始める。ギリシアやローマにおいてもやはり禁欲は重要な位置を占め、それがキリスト教的な修道院制度の萌芽を支えたという。
そして、後半では4世紀以降、修道院制度がガリア地方に広く伝播していく過程を分析する。そこでは、聖マルティヌスとレランス修道院における宗教的実践の重要性が強調される。
こうして見ると、禁欲というものがいかに切実な問題であったかということがわかる。性的な快感や興奮抜きの性行為を模索したり、夢精は信仰的にいいのか悪いのか議論したりというのは、現代の視点から見ればしょうもないことではあるが、当時の状況、当時の倫理観にとってみれば信仰を守るために禁欲とは極めて重要なことだった。そうした信仰の実践の極北として結実したのが修道院という制度だったと。
かなり細かい議論が多いので前提知識がないと難しいが、信仰のあり方を再考するにはとてもいい一冊だと思う。
Posted by ブクログ
6世紀までのキリスト教修道院の歴史的思想的背景を考察。新書にしては極めてマニアック。
ギリシア時代の肉体の鍛錬、食事への関心が大元となり、その後ローマ時代でのより官僚的な状況での形式化された欲望の統制に変容していく。一方婦女子の抑圧された状況から彼女らがキリスト教とそれと結びついた禁欲主義に傾倒していき、ローマ世界のキリスト教化の契機となる。一方同時期のエジプトでは町を離れた僧が砂漠に庵を構えて修道生活に入り、それが大量化集団化し修道院の源流となる。寄進と労働によって質素な食料をまかない、生活道具の政策/写本などの労働を行う。
ローマがゲルマン人に駆逐される中で流動化した貴族層が修道生活を選択する場面も出てくる。またキリスト教ヒエラルキーの中で修道院が司教制度のもとに組み入れられていく一方で地方荘園/封建制と結びついた独立機運も生まれてくる。
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