ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
9pt
経営改革を断行し、「右肩上がりを前提にしない経営」を確立。グローバル化を進め、売上高の7割を新興国市場で稼ぎ出す体制に―「世界で勝てる製造業」への取り組みを語る。一足早く“世界経済の大転換”にさらされた建設機械業界。世界で勝つための答えが、ここにある。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
2001年からコマツのCEOを務めた現特別顧問の坂根正弘氏がコマツでのCEO時代の経営について書いた本。平易な言葉で書かれているが、その内容は濃い。 コマツは日本の会社だが非常にグローバルな会社になっており、日本での売り上げは全体の15%でしかない。またアジアシフトが急激に進み、2000年日米欧の...続きを読む需要が全体の約8割を閉めていたものが、執筆時点では3割になっていてそのトレンドは続いているという。キャタピラー社というジャイアントや国内の住友建機などと戦ってきたコマツはとても強い会社になっている。 また有名な「コムトラックス」というシステムを導入したことでIT企業としても先行している会社である。コムトラックスのシステムでは、建機に実装したGPSでの位置情報とエンジンコントローラやポンプコントローラから集めた情報を通信機能を使ってコマツのデータセンターに贈る仕組みになっている。これらの情報をお客様や代理店と共有することでメンテナンスの参考などいろいろ使えるようになる。このシステムの導入が非常に先見の明があったところである。意外なところでは海外ではコムトラックスが「債権を確保するための強力なツール」になっている。稼働率が分かるので返済猶予が可能なのかどうかなど判定することが可能になるという。しかも、返済が滞ったときにエンジンを止めることも可能になっているとのこと。さらには稼働状況から先行きを予想することもできる。中国全土の建設機械の稼働状況を見える化できる。このことで先んじた在庫調整が可能になる。「情報」の価値を資産化・現金化できているのである。 ■ 中国市場 また、この本から学ばなくてはならないことのひとつは中国市場の先進性についてである。コマツは中国市場を遅れた市場であると捉えなかった。中国市場が重要であることは誰もが認めるところであるが、経営者の現地化などいち早く具体的な手を打ってきた。前述のコムトラックスもその仕組みのひとつでもある。また、流通在庫ゼロという先進的取組みをまず中国で行っている。ある意味では中国市場が先進的な市場になっているのだ。2017年の時点では、仮想通貨の利用やバイクシェアなど中国の先進性について疑うものはますます少なっているが、2000年初めの時点では必ずしもそうではなかった。 さらに中国を含む海外で「現地の人に任せる」という方針を取ってきたことが正解であった。ちなみに中国では建設機械の書い手の9割が個人であり、これらの個人需要家の心を捉えることが重要になってくるのである。 またハイブリッド建機は燃費はよいのだが、その分価格が高くなっている。この最新建機は、実質稼働時間が多い中国の方でコスト効果が高くよく売れたという。その際には品質が高く故障率が低く長持ちするというコマツのブランディングも重要であっただという。もちろん現地の代理店との信頼関係も。 ー コマツでは2010年から新入社員研修に中国語を取り入れているという。 建設機器市場はグローバルな変化の先行指標であるという。 ■ 経営危機 坂根さんがCEOに付いたとき、コマツは大赤字になっていた。2002年度に大赤字に陥ったときに「成長とコストの分離」というコンセプトを打ち出した。 実際に雇用にも手を付けたが、その際には「大手術は一回限り」という原則を採用したという。この発想は、マキャベリの話にも通じるものだし、IBMなど海外でのリストラ事例にも通じる。 「社長が持つ大きな権限と責任は、犠牲にするところをトップダウンで指示できること」という。「どこを犠牲にしていいのかを言わないと、投入資源が生まれてきません」ー 全体最適はトップにしかできない。 このときの経験は、ポストリーマンショックへの対応にも役に立った。ある程度コムトラックスのおかげでいち早く影響を知ることができたが、それでも大きなものであった。建設機械への契機の影響は、他の産業よりも大きい。乗用車が1割なら建設機械は3割と言われている。ただ、このときに合理化の手をたくさん打つことができた。 また、関連会社のサポートも積極的に行い、相手の新設備の買い取りや部品の買い上げなどでサポートした。このときのことが相互信頼の絆を強めることになった。グローバルなコマツであるが、このようなケイレツの機能については積極的に価値を認めて、中国でも現地でこういったケイレツ関係を構築しようとしている。 ■ ダントツ商品 タイトルにもなっている「ダントツ」。どのビジネスでもそれが理想だが、「コマツでないと困る」度合いを増やすことが肝要なのである。そのためには「ダントツ商品」を持つことが重要になる。事業の整理統合で重視をしたのが、どんな事業でも世界1位か2位のポジションを目指して選択と集中を行ったという。コマツの売上の50%は世界1位の製品で、世界2位まで含めると全体売上の85%にまで届く。 「重要な性能やスペックで、競合メーカーが数年かかっても追いつけない」というのがダントツ商品の定義。 「ダントツプロジェクト」では、同時に原価を10%以上引き下げてそのコストをダントツの実現に向ける。キーワードは「環境」「安全性」「ICT」だという。 ■ コマツウェイ 坂根さんは経営を引き継ぐにあたり、「コマツウェイ」を制定した。また「コマツウェイ推進室」という専門の部署も設立している。「強みを磨いて、代を重ねるごとに強くなる」というのがコマツウェイの目的であるという。 【マネジメント編】を作ってまずは経営層・マネジメント層に規範を示す構造になっているところも特徴的である。 【マネジメント編】 ・取締役会を活性化すること ・社員とのコミュニケーションを率先垂範すること ・ビジネス社会のルールを遵守すること ・決してリスクの処理を先送りしないこと ・常に後継者育成を考えること 【全社共通編】 ・品質と信頼性の追求...「ダントツを狙おう」「製品の出来は他人がきめる」 ・顧客重視...「コマツは、お客様のパートナーなのです」「お客様の問題解決を最優先にしよう ・源流管理...「あるべき姿と現実の差を埋める努力をせよ」「ナゼナゼを5回繰り返そう」 ・現場主義...「現場・現物・現実をよく見よう」「見える化しよう」 ・方針展開...「方針展開力は、コマツの強み」「現状が最善と考えないように」 ・ビジネスパートナーとの連携...「Win-Winの関係」「代理店・協力企業群との連携を重視」 ・人材育成・活力...「人材育成は管理職の大事な仕事」「できない理由よい可能にする方法を」 ものづくりはボトムアップが重要。このかつての強みが日本から失われつつあることこそが深刻な問題という。 石川県の企業として地方主権や地方創生にも積極的。成功バイアスがあるとしても、きちんと耳を傾けるべき言葉が含まれていると思う。
【メモ】 ・何を捨てるか、がカギ ・大手術は一回限り ・なぜ子会社でなければならないかを問う ・生産技術だけは現地化できない ・仕事のやり方を標準化する ・後継者育成は社長にしかできない ・全体最適はトップにしかできない ・日本企業の強み→連携の強さ、継続的なきめ細かさ ・日本企業の弱み→経営層レベ...続きを読むルでの連携力の弱さ、1社単独での海外進出の難しさ、管理業務コスト高、部分最適に向かってしまう
小松製作所についてもリサーチ。 ダントツ経営という言葉は、聞いたことがありましたが、 具体的にはよく知らなかったので、まずこの本から読んでみました。 率直な感想は、コマツって、10年くらい先を行った経営をしている印象を受けました。 まず、業界特性でもあるのですが、日本の市場がシュリンクすることが自...続きを読む明なので、 グローバルに行かざるを得ないがゆえに、 グローバル化がすでに進んでいるところ。 さらに、景気の影響をもろに受けるために、 臨機応変に在庫が対応できるような仕組みを作っていかないといけないため、 かなり以前からデータをベースにした在庫管理や顧客への価値提供(コムテックス)が出来ているところ。 まさしく、DXという言葉がない時代から、 DXの先駆け的取り組みをしている企業ということがよく理解できました。 興味深かったのが、コマツウェイの策定は、著者の坂根さんが社長を次に引き継ぐタイミングで制定しようとしたところ。 つまり、以前から存在したわけではないというところも、意外でした。 そして、どうでもいい話ですが、 著者の大学受験の戦略が自分と全く同じだったので、 こんな人おるんや~と急に親近感が湧きました。
失礼な言い方かもしれないけど、現場上がりの社長という感じ。平易な言葉で現場の経験を元に経営を語っていてすごく読みやすい。敢えてだろうし、難しいことを簡単に伝えるって賢くないと出来ないなーと実感。
まだまだあまり知られていない人でも、立派な人は沢山いるんだなぁといった感想が一番最初に思い浮かんだ。 知行合一・・・知ることと行うことは同じで、両者に違いはない。行動や実践を通じてこそ真の知識が身につくし、逆にアタマに知識だけをたくわえても、行動に移さなければ、真に知っているとは言えない。 誰が...続きを読む買ってくれているのか、しっかり分析する。 観光で誰が、来ているのか?
「企業の経営も国の経営も共通項があります。これまでも何度か触れたように、トップリーダーの仕事は、できる限り多くの人を同じ方向に向かわせ、汗と知恵を有機的に結集させることです。そうした観点から、いまの日本のリーダーは、次の4点についてビジョンを明確に示すことからすべてが始まると思っています。 1.世界...続きを読むの本質的な変化は何か 2.そのうえで日本の基本的課題は何か 3.そして、自分たちの強み・弱みは何か 4.どこから具体的に着手していけばいいか」 すごいな〜。本当の危機に直面して本気になったコマツは違うな〜。
ものづくり企業における国際経営の典型的な成功例。 国際経営論などではさまざまな理論が展開されているが、 この本では実際の経営でどのように取り組み、成功させたのかが具体的な事例を元に書かれている。 いくつか参考になった点を書いていこう。 ジョイントベンチャーで新市場に進出し(ここまでは普通)、現地法...続きを読む人には積極的な権限移譲も行っていて、それが成功の要因となっている。(どこまで任せるかが重要で、コマツはその辺もしっかりしている) しかし、現地化を行う上でなるべく現地の人間に任せることを重視しているコマツだが、生産性の高い日本の現場で発見された(カイゼン)効率的な方法を世界の工場に共有する仕組みとして生産技術者だけは日本人を派遣しているというのも非常に面白い。 バックオフィス機能は全世界共通にすることで、人材の管理も評価基準の統一によりグローバルで行うことが出来るようになり、地域毎でヒト・モノ・カネ・情報の融通と共有を容易にした。 新市場に進出する際には現地の有力なパートナーを見つけるということが重要で、多くの企業が実際に実行しているわけだが、 コマツのようにバックオフィスシステムの共有までを行っている多国籍企業は少ないのではないか。 これはコンサルファームなどの知識集約型産業であれば、比較的簡単に取り組むことが出来そうな気がするが、 コマツのようにメーカーが取り組み、上手くいっている(と言っている)のは珍しいのではないだろうか。 開発と生産は同じ場所で行い、擦り合わせによってイノベーションの確率を高めるのも大切。これがダントツ商品に繋がっている。 基幹部品は日本で生産し、海外に輸出・販売してノウハウの流失を防いでいるというのもものづくり企業にとっては重要なことだ。 マザー工場という考え方も世界中の現場を高いレベルでまとめるために非常に効果的な仕組みだ。
建設機械を取り扱う世界的な企業「コマツ」について、元社長がまとめたもの。SWOT分析、固定費の削減、取引先との信頼関係、トップダウンとボトムアップのバランス等々、ロジックとしては正しいんだけど、日本の企業が実現できていないことを実施して成功している。 日本は景気が良くなると人を雇い、景気が悪くなって...続きを読むもリストラしないから、余剰を活かすために関係のない事業にまで手を広げていく。景気が持ち直すとまた人を雇う。結果として競争力を失っていく。これって考えてみたら当たり前の問題なんだけど、この本を読むまで考えてみたことがなかった。 坂根さんからは経営のセンスをすごく感じる。不景気になったら資金的に補助をする等、取引先との関係構築にも注力していて、やり方が日本的。日本人にとってはとても参考になる経営者だと思う。 テレビや自動車で韓国製品が日本の製品を押し始めている。でも実際は、韓国が秀でているのは一部の産業に特化しているからで、日本には建設機械だとかスパコンだとか環境技術だとか、韓国が手も出せないような製造業の強みをたくさん持っている。そういう新聞記事を見て、読もうと思った一冊でした。
坂根会長の経営者としての深い洞察力やリーダーシップの姿に感銘を受けた。 同時多発テロ後の赤字転落、リーマンショック後の世界経済低迷、超円高のなかでどのようにして大きな危機を乗り越えてきたかの具体的事実から、コマツの「ダントツ」ぶりが読み取れる。 本書を読む前は、優れたトップのリーダーシップや独自...続きを読むの意思決定によるトップダウン的な会社なのかなと思いきや、むしろまったく逆で、「報告、討議、決定」といった意思決定プロセスを機能させ、取締役会を中心に現場に議論させる文化を作っていたり、社内の熟練工から徹底的に話を聞き、ノウハウを文書化しているところ(コマツウェイ)などから、いかに坂根会長が組織を育て、社員を大切にしており、経営スタイルも決してワンマンではないことを伺わせる。特に取締役会が機能している会社が一体どれだけあるのかと首を傾げたくなる事件が多い昨今、同社の事例は経営の本質とは何かを改めて考えさせられる。 最後の章には今の世界の課題、日本の課題と解決への道筋などを綴っており、非常に勉強になった。
コマツの坂根会長といえば、産業競争力会議のメンバーにもなっており、依然注目を集める名経営者。最近よくコマツの「コムトラックス」がICT活用事例としてよく出てくることもあり、読んでみた。ICTの話で言うと、以下が強烈に記憶に残った。 「アメリカの企業は、業務用のICTシステムに汎用ソフトを入れて、多少...続きを読むカスタマイズしているだけですから、新入社員でもすぐ使えるようになります。… ところが、当時のコマツもそうでしたが、日本企業は、給料計算にしても生産管理にしてもすべて自社専用のソフトやシステムを使いたがります。… ですから、開発コストがかかるうえ、新しい社員が入ったときには、その都度、システム部門の社員がやってきて、手取り足取り教えなければなりません。 …常務だった私は、当時の安崎社長に進言し、コマツ全体のICTシステムをグローバルスタンダードに近いものに変えるよう提案したのです。」 1995年にそれを提案できる坂根社長もすごいが、今こそさらに的を得ている視点だと思う。 商品開発で、平均点主義ではうまくいかず、「何を犠牲にするか」という視点も、ブルーオーシャン戦略が思い出され、なるほどと思った。
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」
新刊情報をお知らせします。
坂根正弘
フォロー機能について
「日本経済新聞出版」の最新刊一覧へ
「ビジネス・経済」無料一覧へ
「ビジネス・経済」ランキングの一覧へ
「経営」が見える魔法のメガネ
試し読み
言葉力が人を動かす 結果を出すリーダーの見方・考え方・話し方
ダントツの強みを磨け 私の履歴書
「坂根正弘」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」 ページトップヘ