【感想・ネタバレ】ダントツ経営―コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」のレビュー

あらすじ

経営改革を断行し、「右肩上がりを前提にしない経営」を確立。グローバル化を進め、売上高の7割を新興国市場で稼ぎ出す体制に―「世界で勝てる製造業」への取り組みを語る。一足早く“世界経済の大転換”にさらされた建設機械業界。世界で勝つための答えが、ここにある。

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Posted by ブクログ

2001年からコマツのCEOを務めた現特別顧問の坂根正弘氏がコマツでのCEO時代の経営について書いた本。平易な言葉で書かれているが、その内容は濃い。

コマツは日本の会社だが非常にグローバルな会社になっており、日本での売り上げは全体の15%でしかない。またアジアシフトが急激に進み、2000年日米欧の需要が全体の約8割を閉めていたものが、執筆時点では3割になっていてそのトレンドは続いているという。キャタピラー社というジャイアントや国内の住友建機などと戦ってきたコマツはとても強い会社になっている。

また有名な「コムトラックス」というシステムを導入したことでIT企業としても先行している会社である。コムトラックスのシステムでは、建機に実装したGPSでの位置情報とエンジンコントローラやポンプコントローラから集めた情報を通信機能を使ってコマツのデータセンターに贈る仕組みになっている。これらの情報をお客様や代理店と共有することでメンテナンスの参考などいろいろ使えるようになる。このシステムの導入が非常に先見の明があったところである。意外なところでは海外ではコムトラックスが「債権を確保するための強力なツール」になっている。稼働率が分かるので返済猶予が可能なのかどうかなど判定することが可能になるという。しかも、返済が滞ったときにエンジンを止めることも可能になっているとのこと。さらには稼働状況から先行きを予想することもできる。中国全土の建設機械の稼働状況を見える化できる。このことで先んじた在庫調整が可能になる。「情報」の価値を資産化・現金化できているのである。

■ 中国市場
また、この本から学ばなくてはならないことのひとつは中国市場の先進性についてである。コマツは中国市場を遅れた市場であると捉えなかった。中国市場が重要であることは誰もが認めるところであるが、経営者の現地化などいち早く具体的な手を打ってきた。前述のコムトラックスもその仕組みのひとつでもある。また、流通在庫ゼロという先進的取組みをまず中国で行っている。ある意味では中国市場が先進的な市場になっているのだ。2017年の時点では、仮想通貨の利用やバイクシェアなど中国の先進性について疑うものはますます少なっているが、2000年初めの時点では必ずしもそうではなかった。
さらに中国を含む海外で「現地の人に任せる」という方針を取ってきたことが正解であった。ちなみに中国では建設機械の書い手の9割が個人であり、これらの個人需要家の心を捉えることが重要になってくるのである。
またハイブリッド建機は燃費はよいのだが、その分価格が高くなっている。この最新建機は、実質稼働時間が多い中国の方でコスト効果が高くよく売れたという。その際には品質が高く故障率が低く長持ちするというコマツのブランディングも重要であっただという。もちろん現地の代理店との信頼関係も。
ー コマツでは2010年から新入社員研修に中国語を取り入れているという。

建設機器市場はグローバルな変化の先行指標であるという。


■ 経営危機
坂根さんがCEOに付いたとき、コマツは大赤字になっていた。2002年度に大赤字に陥ったときに「成長とコストの分離」というコンセプトを打ち出した。
実際に雇用にも手を付けたが、その際には「大手術は一回限り」という原則を採用したという。この発想は、マキャベリの話にも通じるものだし、IBMなど海外でのリストラ事例にも通じる。

「社長が持つ大きな権限と責任は、犠牲にするところをトップダウンで指示できること」という。「どこを犠牲にしていいのかを言わないと、投入資源が生まれてきません」ー 全体最適はトップにしかできない。

このときの経験は、ポストリーマンショックへの対応にも役に立った。ある程度コムトラックスのおかげでいち早く影響を知ることができたが、それでも大きなものであった。建設機械への契機の影響は、他の産業よりも大きい。乗用車が1割なら建設機械は3割と言われている。ただ、このときに合理化の手をたくさん打つことができた。

また、関連会社のサポートも積極的に行い、相手の新設備の買い取りや部品の買い上げなどでサポートした。このときのことが相互信頼の絆を強めることになった。グローバルなコマツであるが、このようなケイレツの機能については積極的に価値を認めて、中国でも現地でこういったケイレツ関係を構築しようとしている。

■ ダントツ商品
タイトルにもなっている「ダントツ」。どのビジネスでもそれが理想だが、「コマツでないと困る」度合いを増やすことが肝要なのである。そのためには「ダントツ商品」を持つことが重要になる。事業の整理統合で重視をしたのが、どんな事業でも世界1位か2位のポジションを目指して選択と集中を行ったという。コマツの売上の50%は世界1位の製品で、世界2位まで含めると全体売上の85%にまで届く。

「重要な性能やスペックで、競合メーカーが数年かかっても追いつけない」というのがダントツ商品の定義。
「ダントツプロジェクト」では、同時に原価を10%以上引き下げてそのコストをダントツの実現に向ける。キーワードは「環境」「安全性」「ICT」だという。


■ コマツウェイ
坂根さんは経営を引き継ぐにあたり、「コマツウェイ」を制定した。また「コマツウェイ推進室」という専門の部署も設立している。「強みを磨いて、代を重ねるごとに強くなる」というのがコマツウェイの目的であるという。
【マネジメント編】を作ってまずは経営層・マネジメント層に規範を示す構造になっているところも特徴的である。

【マネジメント編】
・取締役会を活性化すること
・社員とのコミュニケーションを率先垂範すること
・ビジネス社会のルールを遵守すること
・決してリスクの処理を先送りしないこと
・常に後継者育成を考えること
【全社共通編】
・品質と信頼性の追求...「ダントツを狙おう」「製品の出来は他人がきめる」
・顧客重視...「コマツは、お客様のパートナーなのです」「お客様の問題解決を最優先にしよう
・源流管理...「あるべき姿と現実の差を埋める努力をせよ」「ナゼナゼを5回繰り返そう」
・現場主義...「現場・現物・現実をよく見よう」「見える化しよう」
・方針展開...「方針展開力は、コマツの強み」「現状が最善と考えないように」
・ビジネスパートナーとの連携...「Win-Winの関係」「代理店・協力企業群との連携を重視」
・人材育成・活力...「人材育成は管理職の大事な仕事」「できない理由よい可能にする方法を」

ものづくりはボトムアップが重要。このかつての強みが日本から失われつつあることこそが深刻な問題という。

石川県の企業として地方主権や地方創生にも積極的。成功バイアスがあるとしても、きちんと耳を傾けるべき言葉が含まれていると思う。

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2018年01月01日

Posted by ブクログ

【メモ】
・何を捨てるか、がカギ
・大手術は一回限り
・なぜ子会社でなければならないかを問う
・生産技術だけは現地化できない
・仕事のやり方を標準化する
・後継者育成は社長にしかできない
・全体最適はトップにしかできない
・日本企業の強み→連携の強さ、継続的なきめ細かさ
・日本企業の弱み→経営層レベルでの連携力の弱さ、1社単独での海外進出の難しさ、管理業務コスト高、部分最適に向かってしまう

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2024年12月13日

Posted by ブクログ

小松製作所についてもリサーチ。
ダントツ経営という言葉は、聞いたことがありましたが、
具体的にはよく知らなかったので、まずこの本から読んでみました。

率直な感想は、コマツって、10年くらい先を行った経営をしている印象を受けました。
まず、業界特性でもあるのですが、日本の市場がシュリンクすることが自明なので、
グローバルに行かざるを得ないがゆえに、
グローバル化がすでに進んでいるところ。
さらに、景気の影響をもろに受けるために、
臨機応変に在庫が対応できるような仕組みを作っていかないといけないため、
かなり以前からデータをベースにした在庫管理や顧客への価値提供(コムテックス)が出来ているところ。
まさしく、DXという言葉がない時代から、
DXの先駆け的取り組みをしている企業ということがよく理解できました。

興味深かったのが、コマツウェイの策定は、著者の坂根さんが社長を次に引き継ぐタイミングで制定しようとしたところ。
つまり、以前から存在したわけではないというところも、意外でした。

そして、どうでもいい話ですが、
著者の大学受験の戦略が自分と全く同じだったので、
こんな人おるんや~と急に親近感が湧きました。

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2022年12月19日

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失礼な言い方かもしれないけど、現場上がりの社長という感じ。平易な言葉で現場の経験を元に経営を語っていてすごく読みやすい。敢えてだろうし、難しいことを簡単に伝えるって賢くないと出来ないなーと実感。

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2015年12月08日

Posted by ブクログ

まだまだあまり知られていない人でも、立派な人は沢山いるんだなぁといった感想が一番最初に思い浮かんだ。

知行合一・・・知ることと行うことは同じで、両者に違いはない。行動や実践を通じてこそ真の知識が身につくし、逆にアタマに知識だけをたくわえても、行動に移さなければ、真に知っているとは言えない。

誰が買ってくれているのか、しっかり分析する。
観光で誰が、来ているのか?

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2015年11月15日

Posted by ブクログ

「企業の経営も国の経営も共通項があります。これまでも何度か触れたように、トップリーダーの仕事は、できる限り多くの人を同じ方向に向かわせ、汗と知恵を有機的に結集させることです。そうした観点から、いまの日本のリーダーは、次の4点についてビジョンを明確に示すことからすべてが始まると思っています。
1.世界の本質的な変化は何か
2.そのうえで日本の基本的課題は何か
3.そして、自分たちの強み・弱みは何か
4.どこから具体的に着手していけばいいか」

すごいな〜。本当の危機に直面して本気になったコマツは違うな〜。

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2013年12月07日

Posted by ブクログ

ものづくり企業における国際経営の典型的な成功例。
国際経営論などではさまざまな理論が展開されているが、
この本では実際の経営でどのように取り組み、成功させたのかが具体的な事例を元に書かれている。
いくつか参考になった点を書いていこう。

ジョイントベンチャーで新市場に進出し(ここまでは普通)、現地法人には積極的な権限移譲も行っていて、それが成功の要因となっている。(どこまで任せるかが重要で、コマツはその辺もしっかりしている)
しかし、現地化を行う上でなるべく現地の人間に任せることを重視しているコマツだが、生産性の高い日本の現場で発見された(カイゼン)効率的な方法を世界の工場に共有する仕組みとして生産技術者だけは日本人を派遣しているというのも非常に面白い。

バックオフィス機能は全世界共通にすることで、人材の管理も評価基準の統一によりグローバルで行うことが出来るようになり、地域毎でヒト・モノ・カネ・情報の融通と共有を容易にした。
新市場に進出する際には現地の有力なパートナーを見つけるということが重要で、多くの企業が実際に実行しているわけだが、
コマツのようにバックオフィスシステムの共有までを行っている多国籍企業は少ないのではないか。
これはコンサルファームなどの知識集約型産業であれば、比較的簡単に取り組むことが出来そうな気がするが、
コマツのようにメーカーが取り組み、上手くいっている(と言っている)のは珍しいのではないだろうか。

開発と生産は同じ場所で行い、擦り合わせによってイノベーションの確率を高めるのも大切。これがダントツ商品に繋がっている。

基幹部品は日本で生産し、海外に輸出・販売してノウハウの流失を防いでいるというのもものづくり企業にとっては重要なことだ。
マザー工場という考え方も世界中の現場を高いレベルでまとめるために非常に効果的な仕組みだ。

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2013年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後のほうはビジネスというより政治問題とか、作者の日本あるべき論

40 完成品の輸出→現地メーカーへの技術供与→直接投資(工場の開設)
42 売ればおしまい=売り切りの製品、販売網
43 代理店はハンターでなくファーマーであるべき 模倣困難な競争優位性
45 フルーガルイノベーション:新興国で同じ性能のものを品質を落とさず安く作る
46 流通在庫 代理店の自前の在庫
50 
57 基幹部品(要求される技術が高い、将来の差別化のポテンシャルが大きいので、日本で生産)
58 大物部品は現地調達
66 「発展空間」いまの仕事を続けて自分がさらに成長できる空間があるか
82 インハウス子会社 社内向けメール便
100 生産財は景気による変動が激しい
104 ディーラー(代理店)在庫 メーカーが把握していない場合も多い
113 same boat 運命共同体
117 上場企業の平均OM(対売上高営業利益率 5.4%)
120 建設機械は数千点の部品 中枢部品は内製 過半数は外部から調達。増産できるか否かは協力企業との関係。残業では対応できず投資が必要になったときに、コマツのためにリスクをとってくれるか。1点でも部品を各くと、それがボトルネックになって作れない
121 コマツの生産=需要のあるところで作る。
基幹部品を日本で生産する理由
開発と生産が近いとイノベーションが生まれる
素材など社外のネットワークも国内にある
123マザー工場 海外で同じ機種を生産するとき、QCD(品質・コスト・納期)に責任をもつ
124
134 合弁企業で経営者としてのものの見方が身についた。出資比率は50対50でも、人員の比率が経営手法の違いに現れてた
137 アメリカでは新しく入ってきた人から順番にレイオフするのが伝統
138 どんな優れた経営者でもQCDの問題は解決できない
140 工場は生産技術者、日本で育てて送り込むほうがよい
アメリカでは机上で考える設計技術者のステータスが上
142 日本はミドル(中間管理職)が強い
144 日本は自前主義 給料計算や生産管理を、外部の汎用システムにしないと、コストもかかるし労働力が流動的な市場では致命的
147 仕様パターン削減による固定費圧縮効果
148 
156
160 企業人にとってコミュニケーション力は不可欠だが、言葉を流暢に話せることとは似て非なるもの
165 営業と開発はまず何を犠牲にするかで合意しろ 社長にしかできない犠牲の指示
167 為替が競争力に与える影響を冷静に判断すべき 中国メーカーも基幹部品も日本で作っているなら、逆風は同じ
178 
179 selling売るだけ marketing顧客のニーズを満たす商品を販売する branding売れ続けるための仕組み
190 大企業の100%子会社はまじめに取締役会を開いているところは少ない
192 報告はバッドニュースから
219日本企業は雇用に手をつけることを最後の手段と考えている 景気のピーク時に合わせて雇用を確保すると、事業の多角化をする。不採算事業と子会社が増える

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2013年01月11日

Posted by ブクログ

建設機械を取り扱う世界的な企業「コマツ」について、元社長がまとめたもの。SWOT分析、固定費の削減、取引先との信頼関係、トップダウンとボトムアップのバランス等々、ロジックとしては正しいんだけど、日本の企業が実現できていないことを実施して成功している。
日本は景気が良くなると人を雇い、景気が悪くなってもリストラしないから、余剰を活かすために関係のない事業にまで手を広げていく。景気が持ち直すとまた人を雇う。結果として競争力を失っていく。これって考えてみたら当たり前の問題なんだけど、この本を読むまで考えてみたことがなかった。
坂根さんからは経営のセンスをすごく感じる。不景気になったら資金的に補助をする等、取引先との関係構築にも注力していて、やり方が日本的。日本人にとってはとても参考になる経営者だと思う。
テレビや自動車で韓国製品が日本の製品を押し始めている。でも実際は、韓国が秀でているのは一部の産業に特化しているからで、日本には建設機械だとかスパコンだとか環境技術だとか、韓国が手も出せないような製造業の強みをたくさん持っている。そういう新聞記事を見て、読もうと思った一冊でした。

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2012年05月27日

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ネタバレ

メーカーの中で好調と言える「コマツ」の経営方針について書かれた本。

生産財メーカーは顧客のことを顧客以上に知らなければならない。
難しい事ではあるが、これをできた企業は成功へ進むことができる。

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2012年03月24日

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坂根会長の経営者としての深い洞察力やリーダーシップの姿に感銘を受けた。

同時多発テロ後の赤字転落、リーマンショック後の世界経済低迷、超円高のなかでどのようにして大きな危機を乗り越えてきたかの具体的事実から、コマツの「ダントツ」ぶりが読み取れる。

本書を読む前は、優れたトップのリーダーシップや独自の意思決定によるトップダウン的な会社なのかなと思いきや、むしろまったく逆で、「報告、討議、決定」といった意思決定プロセスを機能させ、取締役会を中心に現場に議論させる文化を作っていたり、社内の熟練工から徹底的に話を聞き、ノウハウを文書化しているところ(コマツウェイ)などから、いかに坂根会長が組織を育て、社員を大切にしており、経営スタイルも決してワンマンではないことを伺わせる。特に取締役会が機能している会社が一体どれだけあるのかと首を傾げたくなる事件が多い昨今、同社の事例は経営の本質とは何かを改めて考えさせられる。

最後の章には今の世界の課題、日本の課題と解決への道筋などを綴っており、非常に勉強になった。

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2012年01月15日

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コマツの坂根会長といえば、産業競争力会議のメンバーにもなっており、依然注目を集める名経営者。最近よくコマツの「コムトラックス」がICT活用事例としてよく出てくることもあり、読んでみた。ICTの話で言うと、以下が強烈に記憶に残った。
「アメリカの企業は、業務用のICTシステムに汎用ソフトを入れて、多少カスタマイズしているだけですから、新入社員でもすぐ使えるようになります。…
 ところが、当時のコマツもそうでしたが、日本企業は、給料計算にしても生産管理にしてもすべて自社専用のソフトやシステムを使いたがります。…
 ですから、開発コストがかかるうえ、新しい社員が入ったときには、その都度、システム部門の社員がやってきて、手取り足取り教えなければなりません。
 …常務だった私は、当時の安崎社長に進言し、コマツ全体のICTシステムをグローバルスタンダードに近いものに変えるよう提案したのです。」
1995年にそれを提案できる坂根社長もすごいが、今こそさらに的を得ている視点だと思う。
商品開発で、平均点主義ではうまくいかず、「何を犠牲にするか」という視点も、ブルーオーシャン戦略が思い出され、なるほどと思った。

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2021年08月08日

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知行合一 知ることと行うことは同一で、両者に違いはない

ハバード大学 マイケル・ポーター 戦略の本質とは、何を捨てるかの決断である

土地の整備 ブルドーザーの出現まではブル(牛)がやっていた。それが新しい機械の出現で牛のすることがなくなり、居眠り(ドーズ)するようになったので、ブルドーザと命名

コムトラックス GPS,エンジンコントローラー、ポンプコントローラからの情報を通信機能をつかってデータセンターにおくる仕組み

機械の稼動状態から先行きを予測

企業のコスト、固定費と変動費 根本の原因は固定費

改革の原則 大手術は一回限り

社内向け業務を思い切ってアウトソーシング

リーマン・ショック 需要が消失

ダンプの無人走行システム

ハイブリッド建機 バッテリーの代わりに回収した伝記を効率よく貯めこむ、キャパシタという装置をくみこむ

1.5倍の価格になるが、燃料費が抑えられる

コマツの事業責任者や子会社のトップはそれぞれ毎月一回フラッシュレポートを社長に提出 バッドニュースを一番上に書かせた

リスクの先送りをしない

日本の弱み 部分最適が横行しやすい。全体最適を進めるには、必ず犠牲が伴う。全体最適はトップにしかできないこと。

業務の合理化と固定費の削減が最優先課題

批判するばかりの傍観者でなく、当事者になろう

先進国の中で、最も正社員が守られ、持っとも非正規社員が守られていない国が日本であることを忘れていないか

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2014年02月17日

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「平均点主義を止め、まず何を犠牲にするか合意すること。ライバルに負けていいところ、同じでいいところを決めて、強みに磨きをかけることは、私にとって大きな大転換です」
当事者ひとりひとりが思えばダントツ経営が実現できるんだと、勇気をもらいました。

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2013年04月29日

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コマツ。私の勤務先とは全く業種が違いますが、指摘はいろいろと参考になります。
中でも、「ダントツ商品」を作る。日本企業では放っておくと競合他社や自社の過去の商品よりも各スペックを少しずつよくしたような全体としてバランスは良いが取り立てて強い魅力の無い商品が出来てしまう。なので、まずは「何は犠牲にしてもよいのか」を各部門間で共有し、原価管理も「総原価管理ではなく、固定費と変動費を分けて管理」することで、ある部分では競合が数年掛かっても追いつけないような「ダントツ」の商品を出す、という考え方は多くの業種に当てはまる考え方だろう。
また、建機にGPSをつけて稼働状況と位置情報を把握出来るシステムのことは知っていたが、コマツの建機の多くが大深度化のなった金沢港から(日本の港でなく)釜山港を経て世界へ輸出されているとは知らなかった。
本を読む限り、坂根氏の経営は実直そのもの。目新しいことは言っていないのだが、これらをここまで「徹底」出来ていることがすごいところであり、同社の強さの理由だろう。

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2013年02月11日

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日本発のグローバル企業になるために、何をしてきたのか、どうすればいいのかについて、コマツで実践してきたことを元に説く。クリステンセン的には、持続的なイノベーションを常におこないながら、GPSをつけるなど、破壊的イノベーションをおこなっているというところなのだろう。(『イノベーションのジレンマ』に、この市場の分析があるが、10年以上前の本で、GPSに関する記述はない。) BtoBでのブランディングの大切さについても語っている。

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2012年04月19日

Posted by ブクログ

コマツの強さの秘密がびっしり詰まった良書。
こちらも非常に読みやすかった。

日本人は弱みの議論が多いが、自分の強みは何かという発想に切り替えて強みを伸ばす努力をするという点に、大いに共感した。
いつ頃からか、弱い点を伸ばそうとしてもしんどいだけで、やっていても面白くなく、自分の限界も見えてきたので、なるべく自分が好きで面白いと思えるものに、周りの評価は気にせず取り組むようになった。結果的にそれで良かったと思う。

また、ものづくりにおいて、「トップダウン」と「ボトムアップ」のどちらが強いかといえば、「ボトムアップ」とのこと。理由は、いい人材さえ得られればトップダウンは可能だがボトムアップは一朝一夕には作れないから。なるほど、そうかと目からウロコだった。ボトムの一人ひとりの能力が、ものづくりに活かされていることにもっと自信を持っても良いのでは?と思った。

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2012年04月05日

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ネタバレ

なぜ、コマツは中国でのトップシェアなどいち早く海外に展開できたのだろうか。
本書では、坂根氏の重点を置くよりもコマツがどのように成長していったのかが記されている。
「為替レートがドルに対して70円でも負けない」などタイムリーな発言も目立つ。

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2012年03月29日

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ライバル商品より少し上を狙う、平均点主義ではなく強みを徹底的に磨くダントツ経営。商品戦略などのビジネス環境におけるものだけでなく、個人の成長にも置き換え、そういう風にあれたらと思う。

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2012年02月26日

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建設機械メーカーのコマツ会長の坂根さんの社長・会長時代の実体験に基づく経営論です☆
建機ビジネスからわかる世界の市場状況。
コマツが直面した2度の危機をいかにして乗り切ったのか。。
そこから見えた日本企業の強みと弱みなど、業界は違えど学べる考え方が垣間見れました。
ダントツの強みを磨くことを目指していきたいと思います☆

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2012年02月25日

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インフラ整備、開発に用いられる建設機械分野で世界2位の小松製作所が直面した20年間の変化への対応策をまとめたもの。(1)戦略市場(売上高構成比約70%)の中国(同約20%)での対応。現地に任せる、現地担当者に販売網を任せ、経営(総経理)も任せるという時間をかけて、急がば回れの対応。(2)構造改革の要点。①経営の見える化、②成長とコストの分離、③強み(ダントツ)を磨き弱みを改革(「…新製品の開発に当たっては営業と開発は、まず何を犠牲にするかで合意しろ」を社長自ら指示)、④大手術は1回だけ。固定費と変動費を切り分けた上での切除処置。総原価方式だけでなく2つのメガネから見て、業務コストを思考し、議論する。代を重ねるごとに強くなる会社、を目指したコマツウェイの提示から見ても、Nippon企業のベンチマークの作り方、運営の参考になるモデルだと思う。

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2012年01月09日

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コマツの企業経営について会長が語った本。どのように工夫し、グローバルな競合と戦ってきたのかについて、わかりやすく説明されている。

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2022年05月07日

Posted by ブクログ

経営者は思考と実践を繰り返し成長し、成果を残していく、という当たり前のことが、すっと入ってくる本。
成功した経営者の自慢本のようには全くなっておらず、極めて客観的に何を考え何をもって実行したかが語られる。
少し前の世代の経営者だが、現在でも通じる考えをもっていて、人柄も非常に魅力的で、すいすい読み進められ、爽やかな読後感を得られる。

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2020年01月18日

Posted by ブクログ

自らの強みを活かした経営をすることが重要というのは最近はかなり言われるようになったことで、コマツという企業もそれをダントツプロジェクトという仕組みとして導入している点は参考になった。
ただどのようにグローバル化していき、グローバルにマネージメントをしているのかという点を知りたかったので、その点では若干期待外れ。
建設機械の市場動向が経済の先行指標になっているというのは、確かに言われればその通りで、目からうろこだった。こういう指標はまだまだ他にもありそう。

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2019年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コマツのダントツ坂根さんの本。数字で把握する重要性を改めて学んだ。ビッグデータで需要の把握を建機業界で初めて取り入れていたので、先進的だった。

以下、引用。
建設機械は経済全体の先行指標
ブル牛がドーズ居眠りする。ブルドーザー。
ユンボは1tあたり50万~70万
建設機械はハンターではなく、ファーマー。
ファクトファインディング。
win-win。same boat。
コムトラックスで、データ収集するために、標準装備した。

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2017年12月24日

Posted by ブクログ

ダントツを目指すには?

→成長とコストを分けて考える
コストはコストで厳格に管理することで売上増が見込めなくてもしっかり利益が出る体制をつくる

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2015年12月12日

Posted by ブクログ

コマツのGPSを使った管理システムに興味があったので読んでみた。固定費削減に関して直接だけでなく間接に対して数値評価を入れる手法には感心させられる。ただ、特に目立った内容はここだけで、あとは徹底したリストラ、基幹部品の国内生産など目新しい感はないが、実行することに価値があったのだろう。

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2015年10月12日

Posted by ブクログ

コマツの強さの根本がわかった気がする。
何事も弱みを見るのではなく,
強みはなにか。
どうしたらよりよいのか
を考えることが大事。

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2014年08月17日

Posted by ブクログ

コマツ会長である坂根氏の経営書。
氏はその社長時代にコマツをV字回復させ,コムトラックスという有名な通信装置を建設機械に標準装備させ,コマツウェイを樹立した。ダントツでなければ勝てない,としてダントツ商品の開発を命じ,社内を活性化させもした。
その考え方が細かく書かれており,非常に読みやすい。しかし,読み易すぎて,すぐに読み終わってしまった。

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2012年02月26日

Posted by ブクログ

基本をきっちりと実践させることが経営者の役割であると強く感じた。
決算集計の迅速化にまで「数値化=見える化」を導入し、成功させた実績には感激した。
また他社に代え難い商品力の追求についても重要な戦略であると感じた。他に代わりがあるということは、安売りの価格競争力を付けるしかなく、先行きには不安が残る。独自の技術力を持つ会社に注目したい。

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2012年01月15日

「ビジネス・経済」ランキング