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戦後最年少の52歳で首相に就任、8年8ヵ月の史上最長政権を誇った安倍晋三。祖父に岸信介を持つ政界のエリートは、自民党最右派として憲法改正を掲げたが一次政権では挫折する。
しかし政権復帰後、「アベノミクス」など経済政策により支持を獲得、6度の国政選挙に連勝し「安倍一強」体制を築く。彼の威光はG7でも際立ち、トランプ米大統領への対応など国際的評価も高かった。だが、安保法制など敵と味方を峻別する政治姿勢や、森友・加計学園、桜を見る会など権力の私物化への批判が付きまとった。
本書は波乱と毀誉褒貶に満ちた安倍の生涯を辿り、彼の政治を総括する。
目次
はしがき
序 章 ブルーブラッドの「使命」
第1章 傍流から主流へ――安倍と森喜朗・小泉純一郎
第2章戦後レジームからの脱却――第1次内閣の挫折
第3章 アベノミクスから積極的平和主義へ――第2次内閣 2012~
第4章 外交の充実、国内の分断――第3次内閣 2014~
第5章 瓦解する「一強」――第4次内閣 2017~
終 章 突然の死と安倍の遺産
あとがき
安倍晋三 略年譜
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Posted by ブクログ
中公新書から2026年に出版。安倍晋三の評伝である。200頁程の本文のみで描くには、安倍晋三の生涯はあまりに濃密である。本書で指摘の通り、FOIP構想と平和安全法制は安倍政権の最大のレガシーであることは衆目の一致するところだろう。一方で、各国との個別の交渉の場面では、不用意な譲歩や判断の揺らぎがあったことも本書は指摘している。「外交の安倍」の内実の端的な評価だろう。
あとがきでも述べているとおり、これから安倍晋三の評価は上がり続けるだろう。吉田茂がそうであったように、時の経過とともに、外交面の成果は高く評価され、「もり・かけ・さくら」問題や清和会の政治資金虚偽記載問題といった、政治不信を招いた諸問題は矮小化されていくことが予想される。2022年に安倍晋三が亡くなり、安倍晋三の負の記憶が人々の間にまだ残っている2026年に出版された本書は、同時代的評伝ともいえる。
Posted by ブクログ
安倍元総理の政治家としての歩みを振り返る。安倍氏の政治家としての原点は祖父岸信介氏への畏敬にある。総理になる前からの強気の政治姿勢を改めて認識した。総理になってからの地球儀を俯瞰するような外交は誰もが評価するところだが、意外に個別の国との課題はどれも上手く行っていない。ロシア、中国、韓国、北朝鮮。必要以上に強気になったり、逆に変に妥協してしまったり、結果として失敗している。内政では官邸主導の強行姿勢が官僚の忖度を生み、モリカケサクラとスキャンダルを生んだ。安倍氏の長期政権は功罪あると思うが、保守派の政治家は評価する人が多い。この本では、アベノミクスの是非についてはあまり触れていないのが残念。
Posted by ブクログ
本書は、安倍晋三元総理の生涯における軌跡を包括的に辿りつつ、政治家としての客観的な評価を試みた一冊である。
従来出されてきた関連書籍の多くが第二次政権期に焦点を当てているのに対し、本書では生い立ちや学生時代、会社員時代といった初期の歩みにも紙幅が割かれている。政治家としてのスタートから注目の若手として頭角を現した時期、さらには第一次政権での挫折と退陣に至る経緯が詳細に描かれている点は新鮮であり、その人物像への解像度を高める内容となっている。
もっとも、政治家としての評価を下す上での主軸が第二次政権期になるのは必然であり、本書においてもこの時期に起きた事象への対応と総括が記述の中心を占める。具体的に起きた個々の出来事自体は既存の文献で語り尽くされているため目新しさには欠けるが、著者による評価のフレームワークには概ね首肯できる。特に、著者の見解がコンパクトに凝縮された終章を読むだけでも、一読の価値は十分にあると言える。
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