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世界が熱狂。
女と女の衝撃のダーク・スリラー
累計170万部突破。イギリスで4冠達成。
40か国・地域で翻訳された世界的ベストセラー
「脂肪分たっぷり、ミシュラン級の極上の一冊」――Sunday Times
「文学界に旋風を巻き起こした」――BBC
「殺人的に面白い日本小説」――The Times
男たちを虜にし、死へと追いやったとされる
婚活連続殺人事件の女性容疑者・梶井真奈子。
彼女に接見を重ねる週刊誌記者・町田里佳。
拘置所のアクリル板越しに語られる、濃厚なバターと食の快楽に、
里佳の日常は静かに崩れ始めるーー
女性の欲望と痛みを鮮烈に問い直す傑作長篇
「どうしても、許せないものが二つだけある。フェミニストとマーガリンです」
◎「日本人初」続出、イギリスで4冠!
・Books Are My Bag Readers Awards 2024 Breakthrough Author
・Waterstones Book of the Year 2024
・The British Book Awards 2025 Debut Fiction部門
・The Bestseller Awards 2026 Gold Award
河出文庫版 新規収録:
・野間出版文化賞受賞スピーチ「帝国ホテルですてきな立食パーティーを」
・イギリスツアー日記「どんな場所にも小説とカラオケはある」
解説=鴻巣友季子
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
後輩がおすすめして貸してくれた本です。
題名の「BUTTER」に象徴されるように、本作は食に関するシーンが数多く登場します。
週刊誌の記者として働く主人公の里佳は、激務に煽られ不摂生な生活を送り、特別好きでもない彼氏と関係を続けています。
そんな中、婚活連続殺人事件の容疑者である梶井真奈子に取材を取り付けるのですが、彼女の巧みな言葉に魅せられ食の世界に落ちていきます。
初めて自らの手で作り上げたご飯を通して、彼女の価値観は段々と変わりはじめます。
「マーガリンとフェミニストが嫌い」というセリフに衝撃を受けました。食を通じて、女性への偏見、性差への価値観、人生への向き合い方などをリアルに描いている本作の代名詞だと思います。
自分で自分を認める強さを大切にしたいと強く感じました。
Posted by ブクログ
この本は私に今足りなかった栄養
あなたの好きなものは何ですか?
人によって、好きなものは違う。
でも、みんな共通して食事はする。
そんな食事を今、あなたはどれだけ味わっているのだろうか?
授業に間に合わせるためコンビニで目についた物をパッと買う。スーパーで安かった野菜を適当に炒める。課題をしながら片手間に食べやすいという理由で選んだサンドイッチ。タンパク質を取るために機械的に口に運ぶサラダチキン。
私はこんな食事が多い。
最後に、自分の好きな物を選んで口にしたのはいつだろうか?
そもそも、私は、今、自分の食べたいものがちゃんと分かっているんだろうか?
そして、それは、食事だけではない。
「自分の」好きな物を選ぶ。
難しい事だ。
今年22歳になった私にとって、それは難しいというよりは、忘れてしまっていたことにも気づかない。そんな感覚だ。
服も食事も体型も振る舞いも。
社会に好まれる物を選ぶ。強制されているというより、それが私にとっても楽で最適。誰かのためにも私のためにも、その程度の好みを貫くことに何にも意味はない。そんなセルフネグレクトは、他人の目から見ると「正しい努力」として評価される。
そんなふうに考えて生きているうちに、好きな物や好み、何かが欲しいという感覚さえ忘れてしまう。
この本は、そんな風に自分の欲望に鈍感に生きていた主人公が、常に貪欲に他者を顧みず生きてきたカジマリと関わり変わっていく話である。
私は主人公の感覚に非常に共鳴した。
誰よりも自分を認めて許すカジマリに強く憧れ、彼女を受け入れない社会に首を傾げる。
でも、我を貫くカジマリが、社会から弾かれるのを見ると、ほらな。ざまぁみろ。とどこかで胸のすくような安心も覚える。
私はこの本に影響されて、ひっさしぶりに手の込んだ自炊(当社比)(親子丼、パリパリおつまみキャベツ、鶏皮の甘焼き)をした。でも、食べにくる友達に何を出すかとか、安いお野菜、肉。という考えを排除して、自分が何を食べたいのかを考えると、意外と難しくて、この思考回路はしばらく使っていなかったんだと今更ながら実感した。
私も主人公も、自分の反対側にいるカジマリを通して、鏡越しに自分の生き方、欲望を見つめた。
私達とカジマリ、どちらが正しいんですか?
この普遍的な疑問に対して、答えは一見、つまらない。
結局、程度が大事。
「適量」が重要。
ただし、この「適量」とは程々がいい。そんな意味ではない。
必要な量が必要。
つまり、食事も友情も愛情も、時には莫大に必要なのだ。
程々の量を摂取してお利口さんにしていましょうねー。という、ありきたりなお話とは全く逆なのである。
そして、そんな自分の「適量」を知るためには、自分の心の声、「欲望」に耳を傾ける必要があるのだ。
私たちは、「欲望」を満たすために、別の「欲望」を我慢する時がある。それを続けるうちに、「欲望」に標準が合わなくなっているのに、目標に走り続けてしまう時もあるだろう。しかし、最終的に、私たちの生活を豊かにするのは、私たちの「欲望」なのだ。
この小説のテーマの一つには、明らかにジェンダーがある。
それは、ジェンダーにまつわるバイアスや、ロールが私達の「欲望」を押さえつける事に特化しすぎているからだろう。
でも、男性、女性として(社会が望むように)立派になる。仕事と家庭を両立した女になる。
こんな事は、そもそも出来ないし、出来ても幸福ではない。
生意気、身の程知らず、効率的でない、似合わない、年齢に合わない、高い、無駄、私が選ばれるのか
ジェンダーや現代社会の生活は私にこうした欲望を否定する事ばかり教え込んでいないだろうか。(私がそっちばっかり吸収してるだけかもしれない笑)
あえて男女で分けるとすれば、、、
女性は、自分が「選ぶ側」であるという感覚を失っていないか?
残り物を美味しくいただく。選ばれるショートケーキである。献立は家族に合わせて考える。
男性は、自らにも、欲望を叶える力があると知らないのではないか?
温かい家庭料理、片付いた部屋、人や社会とのコミュニケーション。
こうした物は、提供する「女性」がいなくても、自分で拵える事もできる。
(とはいえ、私も自分の面倒を見切れてないので、完璧にするのは、マジでいい奥さんがいないと難しいのはよく分かります)
私は、自分の心の声に耳を傾けて、欲望を否定しない訓練が必要だ。
そのためには、1番身近で思い出しやすい欲望。食事が大事なキーワードだ。
毎食、フルコースでなくていい。私の気分、舌、気力、体調。
丁寧に耳を澄ませて私のための食卓を作るところから始めたいと思った。
一つだけ、納得がいかないとしたら。
この小説には、自分の欲望に素直になって、「自分で叶える」。他者に押し付けない、依存しない。そういうニュアンスがあると思う。
でも、私は人に押し付けたっていいと思う。そういう図々しさこそ、私には必要なんじゃないかな。
男女ともに、人の手料理でしか満腹になれない、そんな瞬間だってあると思う。
「私は私の求める物を作れる、選べる、整えられる」こんな自負は、1人で立っていく支えにはなるかもしれない。
でも、多くの人にとって1番豊かな人生は、1人では作れない、自立した関係性の人間とも作れない。そういう物なのではないか?
3食バターだけを食べていたら死んでしまうけど、でも、私の豊かさは、そこにしかないのではないか?
今の私はそう思う。
また、本当に文章が素晴らしい!
素晴らしい比喩や、美味しそうな表現、人物の描写も具体ではなく、主人公の目を通した雰囲気が伝わってくる。
人物に関しては、これにより主人公の認知の歪み(言い方は悪いけど)を一緒に味わえるため、彼女の考え方が揺れ動くのを体感できて楽しかった。
本当にセリフも地の文もお気に入りの文章が多くて、たくさん線を引いた小説。
おすすめです。
Posted by ブクログ
男と女、女の容姿、食べ物、女の友情、そしてバター。とても濃厚な小説でした。
美味しいお肉を食べた後の、満たされた気持ちと指先と髪の毛の艶は、やはりダイエットフードとは全然違うのを身をもって知っています。なぜ、太って美人でもない容疑者がたくさんの男性を誑かすことができたのか。小説でもグルグルと思考は回ってますが、私としてはやはり満たされている余裕ではないかと思っています。バターとマーガリンは別物!!!
食べ物の描写も、とっても美味しそうで、作中の事件とのギャップが大きかったように感じます。ダイエット中に読むのはよくありませんでした。ダイエットは誰の為?って思い始めてしまったり。体重に余裕のある時(?)にまた再読したいです。
Posted by ブクログ
「食」というものは、私たちが毎日当たり前のように向き合っている存在だ。しかし、何を食べるか、どのように食べるかという行為には、その人の価値観や人生観が思っている以上に色濃く表れる。食べ物の好みは単なる嗜好ではなく、その人自身を映し出す鏡のようなものなのかもしれない。私自身は食材など食に対してのこだわりはないものの、「食事をきちんととることは自分を大切にしていること」だと考えているので、「好きな食事をゆっくりと食べる」ということを心がけている。
柚木麻子さんが書かれた「BUTTER 」は、実際に起きた事件から着想を得て書かれた長編小説だ。
男性たちを次々と手玉にとり、死へと追いやったとされる女性・梶井真奈子。その取材を担当する若手女性記者の町田里佳は、事件の真相に迫ろうとするが、梶井はほとんど取材に応じようとしない。しかし、「おいしいバター醤油ご飯を作って食べること」をきっかけに、二人の距離は少しずつ縮まっていく。
本書を読んでまず印象的だったのは、食べ物の描写の巧みさだ。バターをたっぷり使った料理や丁寧に作られた家庭料理の数々が登場するが、その描写は驚くほど生き生きとしている。読んでいるだけで香りや味が伝わってくるようで、思わず同じものを食べたくなってしまうほどだ。単なるグルメ小説であれば食欲を刺激するだけで終わるかもしれないが、本書では食が人間関係や社会の価値観と深く結びついていることが描かれている。
また、本作の大きなテーマの一つは「女性らしさ」ではないだろうか。痩せていることが美しいとされる風潮や、女性に求められる振る舞い、仕事と結婚に関する価値観など、現代社会に存在するさまざまな固定観念が作中で浮かび上がってくる。主人公の里佳もまた、そうした価値観に知らず知らずのうちに縛られている一人だ。取材を通じて梶井と向き合うなかで、自分自身の生き方や考え方を見つめ直していく姿が印象的だった。
決して軽い内容の作品ではないが、単なるミステリーや事件小説として読むだけではもったいない一冊である。食べることの楽しさや、人が社会の中で抱える生きづらさについて深く考えさせられる。読み終えたあとには、自分にとって本当に大切なものは何かを改めて問いかけられているような気持ちになった。
おいしい料理の描写を楽しみたい人はもちろん、社会が求める価値観や「自分らしさ」について考えてみたい人にもおすすめしたい一冊だ。読む前と読んだ後では、普段の食事に対する見方が少し変わるかもしれない。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
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