Posted by ブクログ
2010年05月31日
大手観光バス会社をリストラされた町田藍は超弱小“すずめバス”に再就職。
初仕事は何と幽霊を観に行く“怪奇ツアー”。
霊感体質の藍はやはり、霊に遭遇してしまう。
5つのツアーが綴られた、霊感バスガイドシリーズの第一弾。
イラストが南Q太さんなので、思わず。
菊川怜さん主演でドラマ化もされていた本作。...続きを読む
“霊”、という部分で怖くて、ドラマは観なかった。
幽霊が出てくるものの、怖いだけでなく、ユーモラス。
主人公の町田藍は「私は霊が見えます!」と自分から進んで霊感をアピールしているわけではなく、最初のツアーで遭遇したことをきっかけに続々と周囲から“霊”関係を押し付けられることに。
極めて、一般的な、常識人である。
その、ひとり、テンションが高すぎず、低すぎないところがいい。
“霊感がある”という部分を除くと、主人公が一番平凡でもある。
でも、特に“霊”に対して怯えて震える、ということもなく、生きている人間に対するふるまいと変わらず接することができるあたりは主人公らしく、カッコイイ。
解説で細谷正充さんが述べられていたように、作者のメッセージがひそんでいる部分には私も考えさせられた。
読みやすく、親しみが持てる赤川次郎作品。
でも、時折、きらりと鋭い部分も。