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Posted by ブクログ
塔山郁『蠱毒の家』宝島社文庫。
2014年に宝島社文庫から刊行された『人喰いの家』の加筆修正、改題作。個人的には、改題作を知らずに再び掴まされ、困惑することが多いのだが、『人喰いの家』は未読だったので助かった。
塔山郁の作品は何作か読んでいるのだが、本作はその中でも群を抜いて面白い。描かれる事件は『尼崎事件』にも似ているのだが、呪術を使う霊能者が登場する辺りは『尼崎事件』よりもさらに恐ろしさを感じる。
タイトルにある『蠱毒』だが、今村翔吾の『イクサガミ』の下地にもなっており、毒虫や蛇、蠍を何匹も一つの器に閉じ込めて共食いさせ、最後に生き残った一匹を呪いの道具にするというものだ。それを本当に人間でやろうとするのだから、何とも恐ろしい。
次々と襲って来る恐怖の波と畳み掛けるような最悪最恐の結末。
恋人に裏切られて仕事と住む場所までも失い、実家に戻って友人から紹介されたフリーライターの仕事で何とか生活を続ける滝川美優は、実家の近くで、今にも倒れそうな森口幸枝を助ける。
美優は、これから困窮した女性のシェルターとなっている家に向かう途中だと言う幸枝をその家まで送り届ける。その家は近所でもエリート一家として有名な早瀬家だった。
その早瀬家には羽田ヨシエという美貌の女性とその息子というリョウと何人かの女性が暮らしていた。リョウに誘われ、家に入った美優は早瀬家の主人が医師を辞め、家族4人でアメリカに行ったと知らされる。そして、霊能者だと言うヨシエは美優の過去を全て言い当て、美優は愕然とする。
美優はそのことを友人でライターの真琴に話すと昔、騒ぎとなったある事件に羽田ヨシエが関わっていたことを口にする。真琴は羽田ヨシエを長年追い続けている知人のフリーライターの八坂耕平とコンタクトを取り、美優に引き合わせる。
少しずつ見えて来る羽田ヨシエとリョウの正体……そして、美優に迫る恐怖の真相とは……
本体価格900円
★★★★★
Posted by ブクログ
その界隈では有名な家がある。三階建てのその豪邸は医者夫婦とその子どもが住んでいたはずなのだが、いまそこに自称霊能者の美女とその息子が住んでいるらしい。しかもその家は行き場のない女性を迎えてくれる、シェルターとしても機能しているそうだ。近所のひとは新興宗教の集会所のようだ、と噂していて、ご近所トラブルのあった隣の家の住人は不審な死を遂げている。滝川美優は偶然出会った女性から、その家についての話を聞いたことをきっかけに、その家の人間と関わりを持つようになる。そんな美優も、母親や義理の弟との間に問題を抱えていて……。
家族間の不和に起因する不快感が丁寧に描写される導入、(ネタバラシになるので具体的な言及はさけますが)密室空間での凄絶なドラマが描かれる後半、そして明らかになるある人物の本性……、最初から最後まで、緩むことなく続く容赦のない展開と描写に強く牽引されて、手を休めることなく、気付けば最後まで読んでいる、そんなまさに一気読み、という言葉が似合うホラーサスペンスでした。
Posted by ブクログ
悍ましく恐ろしいサスペンス・ホラー。
いままでにも幾冊か塔山郁さんの著書を読んだが、なかでも薬剤師・毒島花織の名推理は好きなシリーズだが、それとは全く趣きも異なり驚いた。
滝川美優がフリーのライターになり、家族とは疎遠だったがとりあえず実家に戻る。
近所のエリート一家が住んでいた家が、いつからか霊能力者の母子に乗っ取られていると気づいたときから、そこに住んでいた早瀬一家の行方が気になり…。
最初から滝川美優は、嵌められていたのか…
蠱毒という呪術がある。
毒虫などを一つの器のなかに閉じ込めて、お互いに食らわせる。最後に生き残った一匹を呪いの道具にするというものだ。
それを虫ではなく猿を使ったのを猿蠱(エンコ)というが…この乗っ取りの女・ヨシエが企てた計画が、なんとも常軌を逸しているといった恐ろしいものだった。
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小説・文芸
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