吸血鬼

吸血鬼

小説・文芸
2,420円 (税込)

12pt

女性は中学生になると若さや美しさによって「おひつじ」から「うお」までの12等級に順位付けされ、社会的地位と財産のある男性から望まれたら15歳で結婚せねばならず、拒めば「へびつかい」と呼ばれ厳しく迫害される世界。中学生の有紗は、2人の友人と支えあって学校生活を送っていた。ある日、校外学習先の美術館で、アナウンサーの美優と出会い、その夫で開業医の白井とも交流を持つようになる。かつては作家で、今は料理の宅配の仕事をしている父と二人暮らしの有紗は、知らなかった裕福な暮らしに触れるようになるが――。これは架空の物語――? 衝撃のディストピア。【著者略歴】遠野 遥(とおの・はるか)1991年生まれ。慶応義塾大学法学部卒。2019年『改良』で文藝賞を受賞しデビュー。2020年『破局』で芥川賞受賞。他の著書に『教育』『浮遊』。

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吸血鬼 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    まさに狂気の世界。
    ただ、その世界の中では、それが当たり前。何の違和感も抱かずに生きる登場人物と、そこから一歩引いて世界を覗き見る読者。その感覚のズレに、愕然とさせられる。
    読みながら考えるのは、こんな世界が本当にあり得るのか、ということ。男女平等を目指す現代社会とはあまりにもかけ離れた世界が描かれる一方で、だからこそ、いまの私たちに何を問いかけているのだろう、と考えずにはいられない。

    物語を通して劇的な何かが起こるわけではない。だからといって、何も起こらない作品、つまらない作品と片付けてしまうのは、あまりにも早計ではないだろうか。むしろ、この世界に身を置き、そこに漂う違和感を味わうこと自体に意味があるように思う。
    もちろん、こういう作品を「気持ち悪い」と感じる人もいるだろうし、評価が大きく分かれるのも納得できる。万人受けする作品ではないかもしれないけれど、読者の価値観を揺さぶるという点では、なかなか侮れない一冊。

    それにしても、遠野遥さんの作品を読むと、村田沙耶香さんを彷彿とさせられるのは自分だけだろうか。もちろん作風が同じというわけではないけれど、当たり前だと思っている世界をひっくり返し、こちらの常識を揺さぶってくる感覚に、どこか通じるものを感じる。
    こういう独自の世界を生み出す作家は大歓迎。好き嫌いは分かれそうだけれど、だからこそ次は何を読ませてくれるのか気になる。これからも追いかけていきたい作家だと、あらためて思った。 ★4.0

    0
    2026年10月29日

    Posted by ブクログ

    女性が、中学生の時点から若さと美しさによって公的にランク付され、そのランクがそのまま人生に反映されてしまう、男尊女卑極まれりの世界。しかも経済格差も大きい世界だ。
    主に中学生の有紗と、有紗が校外学習先で出会ったアナウンサー美優の夫・白井の語りによって構成される。
    まあ読んでいて不快なほど女性に人権がない。
    中学を卒業する時点で結婚し、高校などに通えるかも、経済力も何もかも夫次第。そして夫に意見したり逆らってはいけない。選挙権などもない。
    筋肉のついていない色白が美人と定義されているらしく、読みながらこの世界の男性は褐色肌の女性に興味がないんだろうか、と思っていたのだが…
    こんな世界大げさだなあと思いたいところだけど、正直今だって権力を握っている大半が男性で、亭主関白なんて言葉もまだまだある時代。無いと言えないところが本当に恐ろしい。
    ただ、恐ろしいと思いながら、それ以上に何をこの作品が訴えたかったのか、私はあまり汲み取れなかった。
    最終章の繋ぐは、章の名前には希望を感じるものの、その語りは男である白井で締められているし、物語の先にある展開を想像しても、この世界は変わりようがないと突きつけられているように感じる。そういう意味で救いがない。
    タイトルにしてもどう受け取ればいいのかわからない。
    解釈するとしたら、若々しくあるべき、という意識が、この世界では男女共にあるようだから、そのあたりが関係してるのかな、といった具合。

    0
    2026年06月19日

    Posted by ブクログ

    若干大袈裟なだけで、今現在もこんなもんじゃないのか?金持ちが得する世界。
    色白から健康的な女性へと流行りは変化し、今後はちょっと強めの女性が好みなんてことにもなって来そうだし。

    一見まともな美容外科医の白井先生だが、クリニックで働く女性がストッキングを穿いていないことに動揺したり、有紗が左足を出す際につま先が外側を向くことを指摘したりする。なんだかとっても気持ち悪い。

    もう一つの「平等ではない世界」の物語と言った感じか。

    0
    2026年05月14日

    Posted by ブクログ

    この世界とは社会システムがずれているけど微妙に同じところもある、すぐ隣の並行世界の話を読んでいるようだった。
    強烈な格差社会で女性は商品のように扱われていた。「おひつじ」が最上位ランクで、12星座の順にランクが下がるシステム。自分は「うお」かな、と思う。

    0
    2026年05月13日

    Posted by ブクログ

    設定は面白かった!!!有り得るかもしれないと思える世界の話だった。うお座の私は複雑な気持ちになったけど、笑
    でも、へびつかいのことも物語の中でもっと活きてくるのかなと思いながら読んでいたら、そんなことなくて、ちょっと肩透かしをくらったまま終わってしまった。

    0
    2026年07月25日

    Posted by ブクログ

    美優が死んだあたりでこの主人公は『異邦人』のムルソーだと思い、一度そう思うともうムルソー以外の何者でもなかった。そういえばこの作家の一人称は基本的にムルソーなのかもしれない。へびつかいをあえて登場させずに余韻を残すあたりが、純文学という感じ。犯罪者の刑罰(串刺し)について議員同士で会話するくだりなど、筆が乗っているのが伝わってよかった。不意に止まらなくなる狂気じみた独白がこの作家の真骨頂かなと思う。

    0
    2026年07月25日

    Posted by ブクログ

    変わった状況設定に読み始めは面白そうと思いましたが、盛り上がりに欠け落ちも無いままに終わってしまった感じです
    中学生辺りの女性がメインキャラクターですが、同年代の男性はどうしているのでしょうか?
    ひょっとしてこの作品は現実を極端に表現して、親ガチャに代表されるような貧富の格差がじわじわと拡がる現代社会と日本政府への批判がしたいのかな?と思いました

    0
    2026年06月30日

    Posted by ブクログ

    男尊女卑社会のめっちゃグロい設定。それだけで読むのにすごい時間かかった。女子高生も美容整形外科医も、健全に生きてるのに狂ってる。

    0
    2026年05月26日

    Posted by ブクログ

    コロナ禍の日本で、女性の存在価値をいかにステータスのある男性と番うことができるかに据え、それを社会全体の幸福としているディストピア小説。
    父子家庭で切り詰めた生活を送りながらも、未来のトロフィーワイフを純粋培養する学院に通う女生徒の無垢な視点にやるせなさを覚えた。
    語り手の一人である医師・白井先生の信頼できなさを匂わせるような作風には好感を持って読むことができたものの、最後まで消化不良だった。
    そこそこの分量があったけれど、著者はこの設定で何が書きたかったんだろう?まさか美容医療業界の展望についてではあるまい。

    0
    2026年05月17日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    女性は12等級に順位付けされ、社会的地位と財産を持った男性から望まれたら結婚しなければいけない世界
    恐ろしい世界だが、ありえない世界ではないのかもしれない
    この世界では、女性だけでなく男性も差別される
    お金がなければ、結婚ができないからだ
    一方、お金がある男性は、毎年のように結婚相手を取り替えることができる
    主人公の中学生の女性は、男性に選んでもらうために高額な私立中学に通う
    もちろんリアルではあり得ないのだが、現代社会を表していないとも言えない
    そもそも結婚とはなんだろう? と言ったことも考えさせられた

    0
    2026年08月02日

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