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老舗料理屋のひとり娘である14歳の真阿は、胸を病んでいると言われて以来、部屋にこもりがちだ。店に、有名な幽霊絵師・火狂が居候することになる。大柄で悠然とした火狂は、人には見えないものが見えるようだ。彼のもとには、絵に関する奇妙な悩みを持つ客が訪れる。犬の悪夢に怯える男、「帰りたい」という声に悩む旅人、手放しても戻ってくる絵――火狂と真阿は、その謎を解き明かしていく。静かな感動を誘う絵画ミステリ。
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Posted by ブクログ
明治時代になったが、人々はまだ江戸時代の名残りを残しながら暮らしていた。 不気味な幽霊絵師として好事家に売れていた絵師の火狂こと興四郎は、絵を描きながら、料理屋「しの田」へ居候することになる。一人娘の真阿は、幼い頃から床につかされていて外の世界を知らないが、本を読み、想像の世界に遊んでいた。そして不...続きを読む思議な夢見をするのだった。 14歳になる少女の見る夢と、不思議なものを見、ゾッとするような絵を描く絵師の交流から、さまざまな事件が浮かび上がり、解決していく。そして真阿と興四郎の過去も明かされていく。 面白かった!二人の過去が明かされて、これでおしまいになっているけど、シリーズものとしてぜひ続きが読みたい。 単行本の装丁とイラストがとても素敵で、物語の雰囲気にとても合っていた。思わず「ジャケ買い」したが、文庫本では変えられてしまって残念。
近藤史恵さん、初めて読んだ歴史物。と思っていたら、時代は明治だった。 怖い絵はいつの時代も人気なのか⁈水木しげるさんも、北斎の妖怪画も、人気。 確かに、引き込まれていきそうな怖い絵はある。 そんな絵が魅力的に書かれている。
怖い場面もあるにはあるけれど、各話の終わり方が静かで優しい。「悲しまない男」の結末が特に印象的で、人を想う気持ちの表し方が素敵だった。 そして真阿にも特殊能力があるようだ。火狂とのコンビで諸事解決、もっと読みたい。
序幕/座敷小町/犬の絵/荒波の帰路/彫師の地獄/ 悲しまない男/若衆刃傷/夜鷹御前/筆のみが知る/終幕 病弱な真阿はよく部屋にこもっている。そんな時に幽霊絵師が居候するなんて。と思っていた彼女は少しずつ絵師に近づいて行く。そして彼女は筆を取り、そして不思議が始まる。
人間味を感じる
1つ1つの話の中で、人間の弱さ、悩み、儚さなどが垣間見える。悲しみと共に、人間を考えさせられる感じがした。
#切ない #怖い #ダーク
料理屋の一人娘真阿と絵師與四郎とが出会う怪異を描く。 真阿はその感受性の強さから怪異を感じる事がある。その真阿の家に居候としてやってきたのは幽霊画で人気のある火狂こと與四郎。彼もまた常ならぬものを見る事ができるのであった。 そんなふたりの前に現れる怪異とは。 真阿が見る火事の夢の真相、不思議な犬の夢...続きを読むが教えてくれた事件、「帰りたい」と嘆く男とは誰なのか、など様々な怪異が描かれている。 おどろおどろしくではなく淡々と描かれる事件達。ホラーでもありミステリーでもある。
幽霊画とその背景が見える女の子のお話だと思ったら、結構ヒロインにディープな過去があってびっくり。しかもシリーズだった。人の執念って怖いなぁという感想。
読み終えたなら、文庫の厚みを確認していただきたい。薄さに驚くだろう。物語の密度が異常。物語は極めて濃厚だし、その描写もあらすじだけを記すようなものではなく、緻密で濃厚なものだ。なのに、なぜこの分量で収まる。ホントに要らぬ枝葉は一切を切り捨ててるんだろうなあ。
他人には見えないものが見える絵師の火狂とその絵師が居候している料理屋の娘の真阿が、絵に関わる謎を解く。 火狂に関わることで、真阿にも不思議な現象が起こる。 最後に明かされるタイトルの意味。火狂と真阿の今後が気になる。
料理屋の娘。 怪奇もの。 と、いうと、どうしても他の著者さんの三島屋シリーズが頭の中に。 それと、比べるわけではないが、どーしても、最後まで頭の中にそれが浮かんでいたなー。 三島屋と違うのは、一個一個のお話の終わり方が「優しい」こと。 そして、主人公そのものが怪異に思いっきり巻き込まれることがない...続きを読むところ。 読み手としても安全な場所から眺めることができるイメージ。 火狂と、真阿、良いコンビ。 たぶん、長い期間を共にすればするほど、お互いに怪異への反応が良くなるような気がする。 いや、真阿が成長したら、もしかしたら、その反応が薄れるかもしれないなー。 タイトル回収が切なかった。 ああ、だからこのタイトルなのかと。
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