古い井戸から溢れだす水は≪雁木亭≫前の小路を水路に変え、月光に照らされ小舟が漕ぎ来る。この町に戻れなかった魂は懐かしき町と人を巡り夜明けに浄土へ旅立つ(「帰去来の井戸」)。瀬戸の海と山に囲まれた町でおこる小さな奇跡。著者の故郷・尾道をモデルとし、柔らかな方言や日本の情景に心温まる、ファンタジックな連作短篇集。広島の魅力を描いた本を、地元書店員が中心になって選ぶ賞として立ち上げた広島本大賞、第1回受賞作。
Posted by ブクログ 2016年09月18日
瀬戸内の風光明媚な町、潮ノ道(あとがきを読まずともモデルは明らかですね)を舞台としたファンタジー作品集。
何気ない日常、でもちょっと不可思議な日常。町のそこここに人ではない"何か"が普通に存在し、ごく自然に溶け込んでいる。中には厄介者も居るけれど、大半のものたちは町にそっと寄り...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年04月05日
不思議な力に満ちた、瀬戸内海にほど近い山に囲まれた町、潮ノ道。
小さな奇跡に溢れるこの町は、人間でないものも呼び寄せたり、本来力を持たないものにも力を与える。
読んでいるだけで、素敵な町だなと心底惚れこんでしまうような町でした。
引き寄せられるように集まってくる個性的な面々もいいですね。
もちろん...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年10月25日
「潮ノ道」という瀬戸内海に面した町を舞台にした和風ファンタジー。
ほどよくリアルで懐かしいような田舎町の描写と、ちょっと不思議な出来事が自然に溶け合っています。
好きになりました。
「帰去来の井戸」
地元の大学に通う由宇は、伯母の七重の店「雁木亭」という店を時々手伝っている。
店の裏には井戸があり...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年10月06日
第1回広島本大賞受賞作ということで購入。装丁も内容に合わせて幻想的で綺麗。
内容としては尾道をモデルにした「潮ノ道」という昔の面影が残る街を舞台にしたファンタジー。
ファンタジーなんだけど、モデルとなった尾道にも、こんな不思議なことがあっても別に不自然ではないと思わせるような雰囲気があります。きっ...続きを読む