主にインターネットがどう世界を変え,ゆえにこれからどのようにインターネットを使って生きていくべきかが書かれているが,”インターネット”を”AI”に置き換えても概ね成立する内容.
・どんな分野でも学習の高速道路を進めばある程度のレベルまでは誰でもスッと進める.ただしそこで大渋滞が発生していることがあるので,そこで粘るか高速道路を降りてその知識を別で活用するかを選択すればよい.まずは好きな分野でどんどん進もう
・グーグルが成功した理由は,広告産業をどう変えるかという「経済のゲーム」ではなく世界の情報をどう整理すべきかという「知と情報のゲーム」を戦ったから.
・流しそうめん型情報処理.そうめん(情報)は無限なので,食べたいときに食べ,それ以外は流しておく.「無限の情報」と「自らの有限の志向性」を直感的にマッピングする感覚=膨大な情報を遮断せず大切な情報を探し続ける能力=パーソナルカミオカンデ
→信号をキャッチしたら行動に移す.①時間の使い方の優先順位を変えて勝負する②そのためにやめることを先に決める(時間は有限)③長期になりたい自分と短期になれる自分を意識する
・「in the right place at the right time(正しいときに正しい場所にいる)」が人生のすべて.突き詰めて言えば,誰かの心に印象を残し,大切なときにその誰かから誘われる力.そのためには,常識的に,少し積極的に日常を丁寧に生きることにほかならない.
今。世の中の変わり目であり、そこに思い切って飛び込むことを薦める作品。"ネットに知恵を預けると利子を返す銀行"とは面白い表現だと思う。"Only the Paranoid Survive"(病的なまでに心配性な人だけが生き残る)や"Vantagepoint"(見晴らしの良い場所)等といった興味深い言葉がちりばめられている。最後にnet社会と新大陸(U.S.)に共通項を見出して論じている点は新鮮な考え方だと感じた。
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2018年11月23日
Posted by ブクログ
本書から学んだ点は、以下の三点。1.好きを貫く精神 好きなことを貫き通すことこそ、人生の目的。何かを探求し極めることこそ男(女)の本懐である。ネット社会はそれを実現する手段になりえる。Rubyの開発者まつもとゆきひろ氏はこれの実現者である。 この言葉は、論語の名言「それを知るものはそれを好むものに如かず、それを好むものはこれを楽しむものに如かず」に通じる人類不変の真理である。2.オープンソースの成功の陰に「人生をうずめている人」あり。 emacsの著者ストールマンからも高い評価を受ける日本を代表するハッカー石黒邦宏氏の言葉である。オープンソースプロジェクトを成功と失敗とに二分するファクターが、この「人生をうずめている人」がいるかどうかということ。ビジネスにおいても正にそうだろう。私が尊敬するビジネスパーソンもそういう人だった。3.Only the paranoid survive intelの元CEOアンディ・グローブの言葉。paranoidとは病的なまでの心配性。ゴルゴ13の「俺はラビットだから生き延びた。タイガーだったらここにはいない」を髣髴させる。グローブほどの頭脳の持ち主でさえ、こういうことをプラクティスにあげる。強い精神こそ、すべてに優先される最重要事項である。 本書は間違いなく一級品。ソフトウエア開発者のみならず、ネット社会に適応して、知的好奇心を満足させながら生きて行きたい人にお勧めしたい本である。
2007年出版
没頭-群衆の叡智-オープンソース
人生の幸福とは「好きを貫いて生涯を送ること」
In the right place at right time.
多様なロールモデルを見つける。どこに惹かれるのか吟味する。時間の使い方の優先順位を変える。やめることを先に決める。短期的に「なれる自分」を積み重ねる。