父のビスコ

父のビスコ

803円 (税込)

4pt

第73回読売文学賞【随筆・紀行】受賞作待望の文庫化!

父の死。倉敷の時間。白木蓮の咲く家。

三世代の記憶を紡ぐ初めての自伝的随筆集

「金平糖が海を渡り、四人きょうだいが赤い金平糖の取り合いっこをする日が来ていなければ、いまの自分は存在していない。もし、祖父が戦地から帰還できなかったら。もし、岡山大空襲の朝、祖母ときょうだいたちがはぐれたままだったら。もし、父の目前に落ちた射撃弾の位置がずれていたら。『もし』の連打が、私という一個の人間の存在を激しく揺さぶってくる」(『母の金平糖』より)

遠い時間の中に分け入り、生まれ育った倉敷という土地の食と風土と家族について向きあった著者の記念碑的作品。

〈目次より〉
父のどんぐり
母の金平糖
風呂とみかん
冬の鉄棒
白木蓮の家
ピンクの「つ」
ばらばらのすし
「悲しくてやりきれない」
眠狂四郎とコロッケ
流れない川
民藝ととんかつ
祖父の水筒

ほか二十四編

「旅館くらしき」創業者による幻の名随筆を同時収録。

※この作品は過去に単行本として配信されていた『父のビスコ』の文庫版となります。

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父のビスコ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    読んでいる間中、自分の故郷、両親、祖父母のことなどが次々思い浮かんできた。最後の「場所」「父のビスコ」では涙があふれてきた。
    今年の春、母が逝き、父が施設で暮らすという状況の中で読んだものだから、このように振り返ってくれる娘がいて、なんとお幸せなご両親だろうと思った。平松さんと自分を比べても仕方がな

    0
    2025年11月24日

    Posted by ブクログ

    平松さんのお父さんは 昭和3年生まれ
    うちの母も 昭和3年生まれ

    平松さんは 私より4才若いけど
    子供の頃の話しを読むと
    あ、そうそう!
    という気分になりました。

    アミの塩辛
    そういえば 最近食べてないなあ!
    アミの塩辛が歯にあたる感じを読んで
    今 食べた感じがしました。

    わたなべのジュースの

    0
    2025年11月03日

    Posted by ブクログ

    平松洋子さんの本は人生のカンフル剤として定期的に読んでいるので本作は、おや⁉と思った。しゃっきりスッキリど根性みたいなあのテイストと違う。軽やかさより、重たさのある読後感。でもこの重たさが必要な内容なので、ズーンと受け止めた。このテイストでもカンフル剤。読後は、前向いてこう、と腹から感じる。好きです

    0
    2025年02月04日

    Posted by ブクログ

    食エッセイの名手による家族と郷里・倉敷の話。中でも表題作が白眉。だいぶ状況は違うけど、自分が家族を亡くして間がなかったというタイミングだったから、ということもあるかもしれないけれど、「ビスコが食べたい」に笑いながら目頭が熱くなった。

    0
    2025年08月31日

    Posted by ブクログ

    どうしてか心が和む文章。
    ここの生活には目新しいものがないほうがいいと思うとる。
    知りたいことがまだたくさんある。だから死ぬわけにはいかん。自分もこうなりたい。
    柔らかい宝石を食べているようだ。

    無名の人の言葉にも胸を打たれる

    0
    2025年05月28日

    Posted by ブクログ

    しみじみといいエッセイだった。
    著者のバッググランドが少しわかったようなファミリーヒストリーの要素のある名著。
    著者がなんとなく向田邦子の匂いを感じるのは、感性とやっぱ昭和をガッツリ生きた時代背景もあるのかな。
    サクマの缶入りドロップス。懐かしすぎる。
    ハッカでるとがっかりしてね、また戻しちゃったり

    0
    2025年04月10日

    Posted by ブクログ

    生まれ、育った地での思い出を抱きながら、やがてその地を離れ、一旦は新たな土地に順応する為に故郷と疎遠になりかける。
    やがて或る事をきっかけに或いは故郷に帰り、或いは新たな土地で思いを馳せる(著者にとっての或る事とは親の病と死であり、災害であり、一冊の本との出会いであった)
     
    近代の日本、特に戦後の

    0
    2025年01月27日

    Posted by ブクログ

    平松洋子『父のビスコ』小学館文庫。

    第73回読売文学賞受賞作。

    父の死と家族で過ごした倉敷の時間。親子三世代の記憶を紡ぐ初めての自伝的随筆集。

    平松洋子と言えば食のエッセイのイメージが強いが、このようなしっとりとしたエッセイも良いものだ。前半は面白いのだが、『「旅館くらしき」のこと』から最後ま

    0
    2024年12月31日

    Posted by ブクログ

    平松さんのエッセイが何気に好きだ。ちょうどいい塩梅なんだ。いつもの感覚で手に取ったら、趣が異なることに戸惑った。食べ物のことも書かれてはいるが、どちらかというと父母と故郷の思いが詰まっていた。それはどこか石牟礼道子さんのエッセイを思い出させるもので、故郷という故郷を持たない身には憧れに似た感情を抱く

    0
    2025年03月09日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    平松さんのエッセイは、初読み。食品・食事がらみで多くの本が出ていることを知る。併読している幸田文の小説もそうだが、父との思いでを魅力的なエピソードと文体で描いていくエッセイは自分の好みぴったりだった。入院中のエピソードである表題作は、素敵なエッセイの中でも白眉で、穏やかに死期を迎えた父と娘の一コマが

    0
    2025年08月18日

父のビスコ の詳細情報

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