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Posted by ブクログ
澁澤龍彦の書くエッセイは文章が軽やかですんなりと心に入っていくように思える。とくに旅のエッセイが私は好きである。「滞欧日記」は何度も読み返しては自分が旅に行くときに鞄につめる一冊である。そして、今回「旅のモザイク」を読んで日記とはまた違ったよみやすさと豊富につめこまれた知性を感じることができたように思える。本人は無精者で旅に出るまでは空港にも行きたくないと言っているが、彼とする旅はとても面白いだろうと思うのだ。そして何より旅を楽しんでいる様子が文章から伝わってくる。私は乗り物が得意ではないから正直海外旅行は御免こうむりたいところなのであるが、それでも彼の過ごした時間を感じていると外国の風に吹かれて旅をしてみたくなる。題名の「旅のモザイク」は彼の奥様である龍子さんがつけたそうだが素晴らしい題名だと読み終わった後にホクホクしたものである。旅で見た事、得たことを全て覚えておけるわけでも語れるわけでもない…だがモザイクが一見何も描いていないように見えて遠くから見ればその比類なき美しさに感動をするるように…旅も似たようなものだと思う。深く覚えているわけではなくても旅に行ったという記憶のかけらは何時か大きな物を作り上げるのだと…そんなことを考えた。澁澤龍彦が後年書いた物語にもきっと旅で得たことがちりばめられているのだろうと想像をしながら…
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