常陸の国はらどまりの浜に流れついたガラス張りの〈うつろ舟〉。そのなかには、金髪碧眼の若い女人が、一個の筥とともに閉じ込められていた。そして繰りひろげられる少年との夢幻的な交歓―古典に題材をとりながらもそれを自由自在に組み換え、さらに美しくも妖しい一つの〈球体幻想〉として結晶させた表題作のほか、珠玉の八編。澁澤龍彦、晩年の代表作。
Posted by ブクログ 2017年11月30日
Tasso再読祭継続。
『ねむり姫』同様、様々な典籍に材を取った幻想時代劇、
全8編。
『ねむり姫』が「陽」なら、こちらは「陰」。
凄惨な怪談の気配が濃厚だが、表題作は
キーワードの「多幸感」が示すとおり、妙に朗らか。
以下、特に印象深い作品について。
■「魚鱗記」
江戸時代の長崎で流行したと...続きを読む
Posted by ブクログ 2012年08月16日
最近知り合った文学部の方に澁澤龍彦の『うつろ舟』を勧められ早速手に取った。現代版、今昔物語といったところだろうか。婆さんが明瞭に朗読するのを脳内再生させながら読んだ。
女の性器にあてがうと物凄い官能が到来するという珍物を売る商人がいた。その珍物の効果が本当か賭けをしようとある男が言い、その男の連れの...続きを読む