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Posted by ブクログ
「主人公とヒロインが結ばれてめでたしめでたし。二人は末永く幸せに暮らしましたとさ。とっぴんぱらりのぷう。」から始まる物語。
主人公とヒロインが結ばれるところまではっきり書き切れない作品がよく見られる中、主人公とヒロインの娘が新ヒロインになる新シリーズが始まるというのはなかなか壮大です。ドラゴンクエストVみたい。
主人公役にはコル坊が抜擢されました。前シリーズは商人ロレンスとの行商の旅という大枠があり、助けた恩、孤独の支えなんて縛りもあった上での結びつきだったので、ホロとロレンスのお互いに対する思いのバランスが取れていたのだと思います。それが、コル坊主人公では互いの思いのバランスが取れない、または、互いの思いが深まらないのではないか(お互いがお互いを、もしくはヒロインが主人公を好きになる理由がないのではないか)と心配していたのですが、杞憂でした。
というか、逆にミューリのコル坊に対する思いの方が大きいうえに、コル坊には聖職者としての縛りがあるので、「うる星やつら」的展開になりそうな予感がします。
そんな事情もあって、とにかくミューリの天衣無縫な振る舞いが際立って好ましいです。後書きで作者が「作中の手紙の向こうに、すでにミューリがいるような気がした」と書いているとおり、舞台設定とキャラクターが決まった瞬間、どんどん一人で動き出してしまうタイプのキャラクターです。
旅立ちの経緯から、ラストの立ち回り、そしてコル坊を嵌め損なったラスト近くまで、とにかく読んでいて楽しいです。手練手管でロレンスを振り回したホロとは違い、元気さとテンションでコル坊を振り回しまくってくれます。
舞台はどうもカトリックからのプロテスタントの分離あたりが背景になっています。あ、コル坊がプロテスタントだったら、聖職者であっても結婚しても大丈夫ですね!いっそのこと、ラストは2人で新大陸に旅立ってはどうでしょう。
Posted by ブクログ
あの世界が返ってきたよ!
うん、面白かったあ。
本作は『狼と香辛料』のいわば正当な続編。
青年になったコルと、ホロとロレンスの娘ミューリの物語。
なんていうか、こういうの好きなんだよね。
一度終わった物語の、その後。
物語は終わっても、彼らはその後も生きているわけで。
もちろん物語によっては蛇足になってしまうこともあるのだけど、この物語は全然そうじゃない。
それは主人公が次の世代であることもあるのだろう。
(いやまあホロとロレンスの物語でも全然いいのだけど。)
こんなその後の物語が読めるなんて、とても幸せ。
実に嬉しい。
物語的には、イギリス国教会やプロテスタントの事績をモデルに宗教と国家の争いというなかなか壮大なテーマ。
行商人ロレンスを主人公にある意味経済物語でもあった前シリーズとは違って、これはまさしく神学徒コルが主人公の話ならではと言える。
コルは予想通りちょっと真面目すぎる青年に育っていたわけだけど、ホロの娘ミューリの方も、いやもう、予想通りすぎて愉しくなってくる。
明るくてお転婆で、それでいてちょっと寂しがり屋で、そのくせ大人よりも聡く度胸もある。
コルもたじたじだ。
それでも、ホロとロレンスの互いに丁々発止としたやり取りに比べ、コルとミューリのやり取りには兄と妹の家族の絆や思いやりが強く感じられてなんとも優しい気持ちになる。
それにミューリは大人顔負けの聡さだけど、恋する少女の部分のなんという可愛いさ!
自分の恋心を告げる場面とか、そのあとの照れた様とか。
その言葉を聞く前に「たとえ困ったとしても解決してみせます」と誓ったコルは、やっぱり責任を取って結婚するべきでは?(笑)
挙げ句の果てにコルに勘違いさせてキスさせようとするミューリの、いや、もういたずら好きと言うかしたたかというか。
さすがホロの娘だな。
まだ若いミューリにはホロのような影の部分(喪失への怖れ)がないだけに、二人の旅はもっと明るいものになりそうだ。
新たな旅が楽しみ。
Posted by ブクログ
「狼と香辛料」は、昔のアニメシリーズが気に入って当時観ていた。最近(昨年?)、リメイク版のアニメが2ターン連続で放映されて、懐かしさもあって全話を見て楽しませてもらった。
基本的には昔のシリーズの話のままで、絵は全て作り直しの感じではあるが、一部登場人物が違ったり、ストーリーにアレンジが入っていたりして面白かった。
その新アニメの冒頭と最後に、主人公であるホロとロレンスの娘と思われる女の子が、ホロらしい母親から昔の冒険談(お話)を聴くシーンが挿入されていた。
私自身、「狼と香辛料」の小説は興味は、あったものの未読のままなのだ。ただ昔のアニメシリーズが途中で終わっており、小説の完結まで行っていないことは知っていた。今回の新シリーズアニメで、二人の娘がいるらしいことから、狼と香辛料はハッピーエンドだったんだなと知ったぐらいだ。
で、今回の「狼と羊皮紙」ですが、、、。このホロとロレンスの娘と「狼と香辛料」の後半に登場するらしいコル(成長して聖職者を目指している)が一緒に旅をする冒険談のようだ。
この1巻からすると、主人公二人の年齢が若いこともあり、怖さや緊張感が少く優しさに溢れたストーリーが展開されていた。暫くこのシリーズを読み続けてみたい。
Posted by ブクログ
前作『狼と香辛料』から十数年後の世界を舞台にした、ホロの娘ミューリと聖職者の卵コルの物語。舞台設定としては、教会の税金に対する不満が沸々としていたり、聖書の俗語訳について語られていたりするあたり、教皇の力が強いままに突入した宗教改革期といったところだろうか。
前作とは大きく異なる点としては、やはり主人公の職業(または志すもの)かと思う。ロレンスは行商人であり、対するコルは聖職者を目指している。前作から、これら二つの立場は時として対照的に表現されていた。脱俗と世俗、清貧と強欲、などなど。
どちらがどうというわけではないが、冒険の旅に向いているのは、行商人ではないかと思ってしまう。登場のしかたからして、コルは詐欺に引っかかり文無しで途方に暮れていた。彼自身、「自分には紙の上の知識しかなく、ミューリのような力も、ハイランド(聖書の口語訳を進めるウィンフィール王国のイケメン貴族)のような崇高さも、かつて目の当たりにした大冒険の主役である、ホロやロレンスたちのような才」もない、「ただの一人の、理想的な世界を思い描く夢追い人」(p.284)だと言う。
しかし、聖職者を志す彼には、彼だからこそ持っている武器があるし、彼とは違う強みや弱さを持つパートナーがおり、それが物語を推し進めてゆく原動力になっている。
まだまだ聖職者の卵であり冒険者の卵であるコルがどのように成長し、魑魅魍魎の蠢く宗教界に切り込んでゆくのか、そしてミューリとの関係はどうなってゆくのか。期待に胸膨らむ第1巻だった。
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