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「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」――OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、食事に誘われればさっさと退社。すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。テルコの片思いは更にエスカレートしていき……。直木賞作家が濃密な筆致で綴る、〈全力疾走〉片思い小説!
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Posted by ブクログ
効く~。
私は夜半に無性に人に会いたくなってしまう側の人間で、そんなとき会いたいと心に思い浮かんだ人の隣には誰かがいるかもしれないから電話するのをグッと堪える側の人間だ。
むしろ名前の無い関係性に安堵して(一度、恋人になってしまった暁には、何らかの形で終止符を打たねばならない日が来る)延命するような心地で会い続けてしまう健気さ、情けなさ。
分かってしまった。
他人事のように読んでいるつもりでも、いつかの自分が思ったことが、そのまま書いてあってうんざりもした。(もちろん角田光代の文章ほど私の思考は滑らかではない)
読書中不名誉ながら(私は片思いの名手なのかもしれない……)と思わせてくれた。
恋(執着)の為に仕事を捨てるテルコを、どうして批判出来よう!?
そもそも生きているということが執着だと思う。
いちばん好きな人と付き合えたら、いちばん好きな人が自分のことだけ見てくれたら、そんな幸せなことは無いかもしれないけど、それってとても怖い。
ウワー。喰らった。
もっと、ちゃんと感想書きたい。
Posted by ブクログ
この人の書く場面転換が嫌いだ。
突然知らない場面になってて、まるで自分が数ページ読み飛ばしてしまったのかと思えるほど唐突に切り替わり、話が見えなくなる。少し経ってからそれを補正するように取り繕うが、あまりにも読者を置いてきぼりにしすぎる文章で好きになれない。そんな場面が2箇所ほどあった。メニューのことをメニュウって表記するのも好きになれない。
話はと言うと、20代後半のアラサー女性テルコが不器用な恋をするお話。片思い相手の田中守(マモちゃん)に夜中に呼び出されたら喜んで会いに行くし、仕事中に電話があったら仕事そっちのけで長電話をする、要するに都合のいい女。テルコは平穏な日常や仕事さらには自分の人生なんかも全て蔑ろにしてマモちゃんだけを優先事項としていた。テルコは行動一つ一つをする上でマモちゃんに嫌われないようにとか、重い女と思われないようにとか、とにかく思考を巡らす。それはすごく計算高いように思えて、実はとても空回りしていて、テルコの思考回路にはマモちゃんと一分一秒でも長くいたいという気持ちしかないためか、想いをぶつけまくるような恋愛ド直球な行動なんかはせずに、長くいるための最善策を考え、空回りしたあげくマモちゃんを怒らせる。
この小説では、好意がある人に対しては下の名前で呼び、好意がない人に対しては苗字で呼ぶという図式が確立しているため分かりやすい。マモちゃんも最初のパーティの時だけはテルちゃんと呼ぶが、それ以降下の名前で呼ぶことは二度となかった。
片想いという「恋」から「愛」に成就させ両想いになることを最後まで追い続けることが不可能となったとき、人はどこかで見切りをつける。何かしらの理由を自分に言い聞かせて諦めようとする。でもテルコは、愛が叶わないなら茨の道だろうと接点が切れない関係性を模索する。「愛がなんだ」と中指立てて、どこまでもマモちゃんを追いかけていく。
Posted by ブクログ
2026.08.24
「昔の私」がテルコの中にたくさん散らばっていて、なんとも言えない感情で心がいっぱいになった。
会えるわけではないのに会えそうかも、の見切り発車で好きな人を無謀にも待とうとしたり。
終電も終わった夜、反対方向にいるのに、あたかもそこに行く予定だったと嘘をついて何千円も払ってタクシーで速攻かけつけたり。
テルコの中に何度も過去の私が垣間見えた。
「都合のいい女」に成り下がってることはわかりつつ、「都合のいい女」でいなきゃ繋ぎ止めて置けない関係もある。他人に何を言われようがこうしてたいんだと思える独りよがりな恋愛だった。
苦しいことのほうがたくさんあったけど、そういう恋愛の方が今の自分を強くしてくれている気がする。
テルコとマモちゃんの不健康な関係は、綺麗な結末に着地するでもなく、ただ形を変えて現状維持をしていく。
共感できることがたくさんあり、当時の自分じゃなく、俯瞰できる今でこそ私に刺さる作品だと思った。
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小説・文芸
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