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千日出版の教育部門で課長を務める秋吉に衝撃的な情報が入った。事業を率いる梶原局長の中3の息子が、謎の転落
死を遂げたというのだ。部署が一大プロジェクト――大手進学塾と合併し社を独立、IT企業との提携のもと、最新技
術を駆使した[引きこもり・不登校対策]を打ち出す新時代の高校を開校――に臨んでいたときだった。プロジェクトは一
時中止になり、事故ではなく自殺という噂が社内では急速に広まる。梶原とは家族ぐるみの付き合いだった秋吉は、部
下の前島と調査を開始するが、人事課の飴屋から警告される。以前から、社長派と専務派が対立する社内。会社の上層
部は秋吉に隠蔽を働きかける。少年の死という状況のもと、彼らが気にするのは自社の利益追求と保身だった。信頼でき
ない上司、暴走する部下、情報戦の様相を呈す社内派閥抗争……。もはや社内に信用できる者はいない――。子どもた
ちの未来のために新しい学校をつくる、その志を持って教育事業を推進してきた秋吉の運命は。少年の死の真相は。
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Posted by ブクログ
派閥争いの中で苦悩するサラリーマンが主人公だ。
教育事業に取りんでいる出版社で、新規プロジェクトの立ち上げの最中に起こる事件…社長派と専務派の主権争いの中で、人事部がゲシュタポのように監視の目を光らせ探りを入れてくる。部下からもどうするんですか!と突き上げが続き…あらゆる苦難が中間管理職の身に襲いかかる。どうしても僕の好みはこんな感じの小説が多いなあ。
無責任を貫いても平気でいられたらいいのだろうが、真面目な小心者はそうはいかない。トラブルを解決するために、正面から立ち向かい、ボディーブローをまともに受け、荒波の中で呼吸困難になり、精神が蝕まれていく…ところどころサラリーマン第一線で仕事をしていた頃の自分を思い出した。
いま、第一線をリタイアした立場で思うのは、仕事をする上でどうしても譲れないボーダーラインは守るとしても、体を壊しては身も蓋も無い。自分がいなくては回らないと思うのは過信であり、企業には自分の代わりなんて、いくらでもいるものだ。
ラストの展開はいまいち物足りなく、あたかも2時間ドラマで完結する絵面が頭に浮かんでしまった。が、どこの企業にもありそうな派閥人事のシーンには胃にじわじわくるようなザラザラした感覚が何とも言えなかった。
Posted by ブクログ
黄道学園は実在の「N高校」をモデルにしたのだろうか?バイト先の塾の生徒が通っていたが、自由な校風で楽しそうだった。やはり通信制の学校や不登校生徒に対する偏見を無くすことは難しい。黄道学園の開校プロジェクトを進め、その理念を誇りに思う秋吉ですらその偏見を完全には払拭できていなかった。そこまでの自家撞着に陥るまでの流れが上手かったが、結末はやや安直か。
月村了衛作品は初めてですが、解説によると「らしくない作品」だそうです。退屈になりかねないビジネス小説を一気読みさせる力量は前評判通り。他のスケールの大きそうな作品も読みます。
〜会社でのいじめは、学校でのいじめの比ではない〜
『七つの会議』や本作を読むと、不正問題や派閥争い、出世競争などで溢れかえる世界に40年間身を置くという現実から目を背けたくなる
Posted by ブクログ
※
フリースクールを更に進化させた
理想の学校作りに心血を注ぐ出版社社員が、
社会抗争に巻き込まれる中で自分自身の偏見と
本懐に向き合う物語。
いじめにあった子どもたちが、安心して過ごす
居場所となる学校という名の場所作り。
一人ひとりの尊厳を守り、自主性を育てる
希望に満ちた学園。
期待に溢れる構想に大人も子どもも心を
掴まれるが、そこに会社の利益や体裁が影を
落として足枷を作る。
綺麗事だけでは叶えることのできない
社会の現実に打ちのめされながらも、
子どものため、己の信念のため必死で抗う主人公。
立場を危ぶみ恐る姿、心の芯が揺れる様は
人間そのもので、それでも弱さは受け入れて
乗り越える強さがリアルでした。
Posted by ブクログ
月村さんの社会派小説に関心があって本作を手に取りました。私も会社員という立場ではありますが、中間管理職の苦悩や派閥争いとは縁遠い人であるので、なかなか感情移入しづらかったかなぁと。ただ、エンタメとしては面白いし、今まで自分が読んできた本とは毛色が違うので少し新鮮味もありました。
物語の主人公は出版社の教育部門で働く課長の秋吉。その出版社では、不登校やいじめの被害児童がノビノビ過ごせるオンライン学校の設立プロジェクトを推進しており、秋吉はその一端を担っていた。そんな時、局長の息子が転落死したという知らせを受け、プロジェクトの中心人物であった局長が休暇すると同時に、プロジェクトの一時休止が決まる。そして、それを不審に思った秋吉は死因や背景を探り始めるという内容。
読んだ感想としては、ミステリーベースなので、比較的読みやすかったように感じました。特に、テッパンの展開ではあると思うのですが、派閥争いが激化する中での内通者の存在は、物語にミステリーのエッセンスを加えているように感じました。個人的には、物語の結末がとても現実味があって、ここは社会派っぽいなぁと思いました。
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