【目次】
第1章 読書の今をひもとく データで見る「読まない時代」の現実
第2章 読書がもたらす脳科学的メリット
第3章 文字と言語処理の脳メカニズム
第4章 認知バイアスとセルフトーク 自分を操る脳のしかけ
第5章 脳が喜ぶ読書術
第6章 読書がもたらす共感力と社会性
【感想】
神経生理学や生物物理学を専門とする先生が執筆されています。各章まとめがあり、ざっと一読した後、まとめを読み直すと、理解が深まるような気がしました。
第1章では、読書の今に関する分析や考察がなされています。私たちは、スマホによる情報過多により、じっくり本を読む機会を失っているのかもしれません。これからは、紙ほ本で得られる「深い読書体験」を意識的に取り入れ、情報を自分の知恵へと変える力が重要なようです。
第2章では、読書が脳にもたらす効果について紹介されています。読書は、副交感神経を優位にしてストレスの軽減や心身のリラックスを促すそうです。電車の行きは酔ってしまうのでポッドキャストを、帰りはおおむね座れるので読書をするつもりですが、帰りはその日の仕事で気になったことをついついスマホで調べてしまうので、意識的に読書をしていきたいと思います。
第3章では、日本語がどのように脳内で処理されているか説明されていて、日本語というのは特殊で日本語を読むことは自然と多様な領域を使い分けて認知能力を育むことにつながるそうです。しかしながら、都合のよい情報だけを取り入れる、自らの認知に偏りを持つ「認知バイアス」というクセがあり、注意しなければならないようです。また、読書中は心の中で自分自身との会話「セルフトーク」が行われていて、自分自身の認知や感情を大きく左右するとのことです。
第4章では、認知バイアスのしくみを明らかにし、ポジティブセルフトークは報酬系を活性化して自己効力感を高める効果があることを示されています(ネガティブセルフトークはストレス反応を強化)。つまり、自分の思考や感情をうまく調整することで、読書の効果や精神の安定を大幅に向上させることができるということになります。
第5章では、読書法として、「快読」「精読」「音読」の三つそれぞれの効果が示されており、目的や状況に応じて使い分けるのが重要であるとのこと。「快読」はいわゆる読み飛ばしで、脳は広く浅く情報処理を行う。「精読」は深く情報を分析・精緻化する。「音読」は視覚・聴覚・運動感覚を同時に活性化するため、記憶の定着を促す。ただし、読むだけではもったいなく、アウトプットすることが情報の長期定着を促すとあります。
第6章では、読書は共感力や社会性を養うそうで、特にミラーミューロンの働きがそうさせると考察されています。他者の感情や行動を追体験する「代理体験」が重要になるとのことです。
読書によって、それを読んだそれぞれの人が自分だけの本を創造しているそうで、この「創造する読書」を意識して実践していってもらうことが著者の願いです。仕事の忙しさや疲れ、プライベートの状況によって読書できなくなってしまうこともありますが、人生全体として、本書で学んだことを意識して継続的に読書をしていきたいと思います。「読書の素晴らしさ」というものが本書では紹介されていて、読書が何になるのか、つながるのかという単純なものではないと認識でき、脳のためにもよいことなのだと実感することができました。