横手慎二の作品一覧
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ユーザーレビュー
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ロシアの源流?
悪の権化といえば思考停止。そんな自分が本人に迫った。実は多くの知識や思想が彼を作り上げていた。必読すべし
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あらゆる世界史に出てくる登場人物の中で最もヤバイ人「スターリン(鋼鉄の人)」の出生から没後まで。
私達非ロシア人のぼんやりとした「独裁・粛清・虐殺の歴史的極悪人」と現代のロシア人一般市民との間でどうしてこれ程スターリンの評価に乖離があるのか(未だに人気は高いとか、賛否両論分かれるとか、少なくともシ
...続きを読むンプルに完全無欠の最大悪呼ばわりされることはない未解決の歴史評価といえる)に一つの納得を与えてくれる実に良いバランスの本。
敬虔な母に良かれと思って神学校へ進められた美しい詩を紡ぎ比較的優等生といえるグルジア人少年「ヨシフ・ジュガシヴィリ」から体制(少年の彼にはとってそれは例えば神学校だ)への不審とそれでも母との親密さ故にそう簡単に爆発には至らぬ葛藤を持つ「ソソ(冒険小説から)」へ、反骨の問題児となり退学後は猛烈なロマン・理想・美意識・思想そして不屈の実行力をもとに革命やひたすら邁進する「コーバ(冒険小説から)」そしてついに至る「スターリン(鋼鉄の人:の意、ジュガシヴィリよりはよりロシア人らしい響きではあるものの普通人名に使う言葉ではないという)」への道、そして第二次世界大戦・冷戦・没後の歴史的評価の混乱へと進む。
特にやや「ロマンに過ぎる」ところすら感じる使命感に燃えた革命思想の「コーバ」時代の、常人なら絶対に折れている度重なる流刑とシベリア送り、その度の脱走と、内部からの密告で破られる何度でも破られる変装(本当に何なんだこの不屈の精神力は)、死を覚悟して金を無心する程の(しかもその手紙を送った相手は実はスパイだった)状況に追い詰められ、当然の如く陥る人間不信故のロマンからリアリズムの人「スターリン」へと至る道は凄まじい。
スターリンに至る頃にはロマンや理想といった遥か彼方の「目的」の為にはもはや一切の「手段」を選ばぬ歩くリアリズム、文字通り鋼鉄の人に至っており、その際の高速で180°転換も厭わない実行手腕の貫徹したリアリズムからはもはやロマンの欠片も感じられない。「ソヴィエト」絶対死守の目的とした工業化の為に、これ程大量の人命を失う事への躊躇の無さ、権力闘争を勝ち抜く為のあらゆる手段のこれまた躊躇の無さ、ロマンなき故に誰にも信頼も寄せずよくもまぁこれ程までと驚く程の徹底的な粛清、晩年のヒトラーの姿もやや感じさせる噴出する猜疑心と狼狽の姿に、やはり私の少ない世界史知識の中ではあらゆる意味で最も「ヤバイ」人であることが再確認出来たと思う。
ではスターリンがいなかったらロシア・ソヴィエトはどうなっていたのか?「歴史にifはない」というこの「歴史のif」と現実に向き合い続けなければいけなかったのがスターリン亡き後のソヴィエト連邦であり現在のロシアである。これに比べれば「ヒトラーがかの交通事故で死亡していたら」のifや、「神国日本ではない大日本帝国」のifの方がまだ簡単に見える程の大難題に感じる。前者は少なくともホロコーストは起きなかったであろうし、なんといっても前者も後者あそこまでヤラかしてドイツも日本も「敗けて」いるのである。しかしスターリンはありとあらゆるものを犠牲にしながら工業化を押し進め、歴史に残る甚大なる犠牲の上で戦争に「勝った」のだ。ではロシア・ソヴィエトはあの状況であの工業化なくして勝利はあったのか(ここにはヒトラーが存在するという前提があり、ifは二重になり更にややこしい)?では戦争に勝利できたならこれ程の犠牲は「致し方なかった」で済む話なのか?ではゴルバチョフが声明を出したように「良いところも悪いところもあった」で済むような次元の話なのか?現在も続くスターリンに対する正当な歴史的評価は最後まで読んでも私には判断出来なかった。
とはいえ、今でもロシア国内でスターリンの評価がこうして国内外とで大きく分かれる理由の一旦は確実に一つ掴むことが出来た実感がある。
本書は資料の少ない少年・青年時代の動向をよくぞここまで詳細に、という点もありつつも、むしろ資料が揃っているはずの「スターリン」時代の動向・思考への記述の少なさがやや気になるものの、著者としては「それは既にありとあらゆる世界で論じられきっているので」という前提なのだろうと納得し、己の基礎知識の無さを恥じ入るのみである。
個人的に、これで大日本帝国・ナチス ヒトラー・ソヴィエト スターリンについての書籍をざっと読み終えたことになるけれど、こうなるとその前提としての世界大恐慌が社会に与えたインパクトと、スターリンに続く毛沢東の知識がなければ理解できないことが多すぎることに気付き(そしてもちろんチャーチルにルーズベルトにも理解が足りない)、読めば読むほど分からない部分が増えていく混乱にのまれている正月だった。
Posted by ブクログ
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【スターリンは今もなおロシアと外部世界の間にあって、両者の関係を示す重要な指標なのである】(文中より引用)
「非道な独裁者」として語られる一方、少なくない数のロシア国民から今なお高く評価されているスターリン。ロシアという窓を通し、スターリンについて、そしてスターリンという窓を通してロシアについて思
...続きを読む考を巡らせた作品です。著者は、『東アジアのロシア』等を世に送り出している横手慎二。
これまで数多くの評伝が数多くの評価と共に著されてきたスターリンですが、近年までに公開された資料に基づき、その評価の幅までをも射程に収めて概観した有意義な作品。スターリンという人物がどのようにロシアにおいて語られているかを考える上でとても参考になりました。
コンパクトにまとまっていて☆5つ
Posted by ブクログ
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日露戦争の勃発した背景や戦争の展開、また日本が勝利した結果によって、日露双方にとってどの様な展開が待ち受けていたのかを分析した一冊です。ロシアのバルチック艦隊が敗れたことは知っていましたが、なぜ大国のロシアがアジアの小国の日本に敗れたのかはまったく知らなかったので本書の分析は為になりました。
Posted by ブクログ
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終章に書かれてあるロシア人のスターリンに対する評価が興味深いです。
これほど手軽にまとまった形でスターリンについて読めることに感謝。
追記)最近某政党の最高幹部がスターリンについてインタビューに答えたものを目にする機会があったけど、この本を読んでから見たせいか、「お気楽だな、おい」という感想しか出て
...続きを読むこなかったです。
Posted by ブクログ
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